1月28日付
『ロイター通信』:「日本企業の60%が東京大会を予定どおり今夏開催を希望」
『NHK』の1月28日報道によると、直近で日本企業100社に対して行ったアンケートの結果、約60%が東京大会を今夏に予定どおり開催することを望んでいることが分かった。
それによると、48社が規模縮小しての開催を主張し、従来どおりの規模での開催希望は13社であったという。
これらの会社に共通しているのは、仮に競技場での来場観戦者をゼロにしても、新型コロナウィルス(COVID-19)感染症問題に伴う景気後退を回復させることや、世界のアスリートに競技の機会を提供することが大事だという意見である。
一方、中止希望と回答したのは僅か3社で、残りの36社は、COVID-19感染抑制状況がどなるのか注視する必要があるとして、開催・中止のどちらとも表明しなかった。
直近の世論調査では、約80%が中止か、あるいは再度の延期を望んでいることから、その結果に大きな違いが出ている。
日本は現在、COVID-19感染抑制のため、首都圏初め大都市圏で緊急事態宣言が再発出されているが、日本政府や大会組織委員会は、予定どおりの開催に向けて準備を進めていくと宣言している。
なお、大会組織委員会は先月、東京大会の日本スポンサー企業全68社が、今夏に延期となったものの、引き続きスポンサーに留まることを了解していると発表しているが、『NHK』のアンケート対象企業にこのスポンサー企業が含まれているのかどうかは明らかにされていない。
一方、1月27日付『ウォールストリート・ジャーナル』紙:「大会組織委員会理事、予定どおりの開催は“バイデン大統領頼み”とコメント」
大会組織委員会は、海外メディアを含めた“大会中止は止む無し”との報道の火消しに躍起である。
そうした中、同委員会の高橋治之理事(76歳、広告大手電通元役員)が『ウォールストリート・ジャーナル』紙のインタビューに答えて、“バイデン大統領は目下、COVID-19対策に最も頭を悩ませている”としながらも、“もし同大統領が、大会の開催に向けて支持するコメントを出してくれたら、(開催に向けて)勢いがつくだろう”と表明した。
米国は、大会に最も多くのアスリートを送り出しているだけでなく、米テレビ局が大会の最大のスポンサー(放送権料拠出)である。
また、日本は米国の同盟国で安全保障面でも支援を受けていることから、大会開催に懐疑的な世論に対して、米国大統領の発言が大きな影響力をもたらすと考えられる。
なお、同理事は、“正直言って、IOCやIOC会長は、開催するかどうかの判断ができるとは思えず、米国次第だ”とも付言している。
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3週間余り前の前回報告時より、世界の感染者は1,535万人余りも増えて8,960万3,838人に、死者も28万人近く増えて192万6,228人(致死率はほぼ横ばいの2.1%)となっている。各国の直近の状況は以下どおりである(米ジョンズ・ホプキンズ大の1月10日午後2時現在の集計データ引用)。
1月9日付
『AP通信』他:「COVID-19感染流行問題に関わる直近の状況」
<ハイライト>
●インド:1月中旬、医療従事者等必要不可欠な業務に就く人たち約3千万人を対象とした、同国最初のワクチン接種開始。
●英国:一日の死者1,325人の最多記録更新もあって死者総数がいよいよ8万人超え。
●ドイツ:アンゲラ・メルケル首相(66歳)にとって任期最終年ながら、感染抑制策が奏功せず、一方、追加行動制限措置への不満の声は高まる一方のため、受難の年の幕あけ。
●メキシコ:一日の感染者1万6,105人、死者1,135人といずれも最多記録更新。
●カナダ:ケベック州で50万円近い高額罰金を科す夜間外出禁止措置発令。
●イスラエル:最初にワクチン接種を受けたベンヤミン・ネタニヤフ首相(71歳)が2回目の接種。
●日本:野党代表らからは、緊急事態宣言発出が遅いだけでなく、制限対象も中途半端で効果が期待できないと猛批判。
●バチカン市国:フランシスコ教皇(84歳、アルゼンチン出身)が、全国民にワクチン接種が可能となるよう手当て済みと表明。
<インド>(感染者1,045万1,346人、死者15万1,048人、致死率1.4%)
・保健省は1月9日、医療従事者等必要不可欠な業務に就く約3千万人の市民を対象に、1月16日より同国初のワクチン接種を開始すると発表。
・次に対象となるのが、50歳以上及び基礎疾患のある人たち約2億7千万人。
・先週、医薬品局が英オックスフォード大・アストラゼネカ共同開発のワクチンを緊急承認し、更に国内バラット・バイオテック(1996年設立の製薬会社)製ワクチンも承認済み。
<英国>(感染者301万7,409人、死者8万868人、致死率2.7%)
・1月8日の死者が1,325人と最多記録更新。その結果、死者総数が8万人超え(イタリアを抜き欧州最多)。
・国内の病院でのCOVID-19感染患者の医療体制がひっ迫していて、ロンドン市長も1月8日、市内医療体制危機状態と表明。
<ドイツ>(感染者191万4,328人、死者4万1,061人、致死率2.1%)
・メルケル首相は今年の任期満了での政界引退を表明しているが、昨年半ばまでうまくいっていた感染症抑制対策が、冬季の訪れとともに深刻度が増し、追加抑制政策を施すものの、行動抑制措置に不満を抱く市民の声が高まっており、受難の年の幕あけ。
・従って、今年9月に予定されている総選挙で、与党連合の勝利に暗雲。
<メキシコ>(感染者152万4,036人、死者13万3,204人、致死率8.7%)
・1月8日の感染者1万6,105人、死者1,135人といずれも最多記録更新。
・専門家によると、感染症検査が不十分であるため、実際の死者は18万人超と推測。
・1月8日接種の6,722人含めて、これまでに約7万5千人がワクチン接種。
・一方、患者数最多のメキシコシティでは、病床の90%が埋まる程極限に近い状態。
<カナダ>(感染者65万2,473人、死者1万6,833人、致死率2.6%)
・ケベック州(人口約840万人)のフランソワ・ルゴール首相は1月9日、当日夜から実施の夜間外出禁止措置について、感染拡大抑制のための止むを得ない措置だと釈明会見。
・同措置によると、今後4週間、午後8時から翌朝5時の間の外出を禁止とし、違反者には最大6,000カナダドル(4,728ドル、約48万7,000円)の罰金を賦課。
・なお、対象外となるのは、医療従事者等必要不可欠な業務に就く人、犬を散歩させる人、及び診療予約等治療行為を受ける必要のある人のみ。
<イスラエル>(感染者48万5,434人、死者3,645人、致死率0.8%)
・先月、同国で最初にワクチン接種を受けたネタニヤフ首相が1月9日、2回目の接種。
・同国は、ワクチン手当てを迅速に行っていたが、1月8日より3度目の都市封鎖措置開始(期間は少なくとも2週間)。
・なお、これまでに1回目のワクチン接種を受けたのは全体の20%近くに上っていて、同首相は1月9日、全国の成人全員が3月末までに接種できるようワクチン手当て済みと強調。
<日本>(感染者27万3,154人、死者3,932人、致死率1.4%)
・野党は、政府が重い腰を上げて再度導入を決めた非常事態宣言再発出が、余りにも遅すぎる上に、制限措置も中途半端と一斉に非難。
・更に、重症にならない限り、感染症検査は受けづらく、しかも費用が高いとも批判。
・立憲民主党の枝野幸男代表(56歳)は『NHK』のインタビューに答えて、“非常事態対応は最悪の場合を想定して行うべきなのに、政府は依然楽観的”だとコメント。
・日本維新の会の片山虎之助共同代表(85歳)も日本共産党の志位和夫委員長(66歳)も、1月8日発出の非常事態宣言について、対象地域が限定的な上に、期間も短かすぎると批判。
<バチカン市国>(感染者29人、死者0)
・フランシスコ教皇は1月9日、イタリアテレビ局『メディアセット』(1978年設立、本社はミラノ)のインタビューに答えて、来週からワクチン接種が始まり、かつ全市民用のワクチンを手当て済みとコメント。
・更に同教皇は、“ワクチン接種は道義的義務である”とし、“何故なら、自身の健康・生命のみならず、他者に対しても同様の祈りを捧げているから”だと付言。
・当該ワクチンは、カトリック教会では禁忌とされる、堕胎の工程の組織から取り出した細胞株を使用するため、ワクチン接種の可否が不確かであったが、同教皇が初めて公に肯定。
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