IOC;ついに東京オリンピック開催の可否につき各国際競技団体と協議開始か?【米・英国メディア】
既報どおり、国際オリンピック委員会(IOC)も開催国日本関係者も、7月24日開始の東京オリンピックを予定どおり開催するとしている。しかし、3月16日現在、新型コロナウィルス集団感染は世界148ヵ国に及び、感染者数も16万9,387人(前日比+12,991人)、死者6,513人(同+680人)となり、中国以外、特に欧米での感染拡大がひどくなるばかりである(米ジョンズ・ホプキンス大学内研究機関最新データ)。日本での感染度合は、それらと比較するとまだ緩やかと言えるかも知れないが、大勢の観客を集めた大イベントを予定どおり開催して良いのか、との懸念の声は強まるばかりである。そこで、IOCとしても、“予定どおり”ではない場合に備えて、各国際競技団体と協議に入るものとみられる。
3月16日付米
『ロイター通信』:「IOC、新型コロナウィルス集団感染リスクを踏まえ、各国際競技団体代表と協議へ」
IOCは3月16日、『NHK』のインタビューに答えて、新型コロナウィルス感染問題深刻化の中、3月17日に各国際競技団体代表と協議する予定だとコメントした。
7月24日の開会式まで5ヵ月を切った現在、このまま予定どおり東京オリンピックを開催して良いのかという懸念の声は日に日に高まっている。...
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3月16日付米
『ロイター通信』:「IOC、新型コロナウィルス集団感染リスクを踏まえ、各国際競技団体代表と協議へ」
IOCは3月16日、『NHK』のインタビューに答えて、新型コロナウィルス感染問題深刻化の中、3月17日に各国際競技団体代表と協議する予定だとコメントした。
7月24日の開会式まで5ヵ月を切った現在、このまま予定どおり東京オリンピックを開催して良いのかという懸念の声は日に日に高まっている。
3月16日現在の集計データによると、新型コロナウィルス感染者は16万人を超え、また、死者も6千人超となっている。
かかる状況下、各競技種目で予定されていたオリンピック代表決定のための試合が、軒並み中止、あるいは延期されている。
例えば、ボルダリング、ボクシング、フェンシング、柔道などであるが、この影響で、同競技選手たちは選考がどうなるのか不明で、苦境に陥っている。
ただ、安倍晋三首相や東京オリンピック組織委員会は、依然、予定どおりの開催に向けて最善を尽くしていると繰り返し述べている。
一方、IOCは『ロイター通信』等メディア宛の声明文の中で、“事態が深刻化する中で、数週間前から関係者らとの協議を始めている”とした上で、“3月17日の協議もその一環”だとして、それ以上の内容については明かしていない。
また、IOC競技委員会のキット・マコーネル委員長が3月9日付で各国際競技団体に宛てた通知文によると、“IOCは、必要がある場合にすぐ対応できるよう、IOC理事会に代わって行動する「実行委員会」を立ち上げた”とした上で、“代表選考会の日程変更承認も同委員会に委ねられる”という。
これまで、同委員会に委ねられている変更事態は、6月30日までの範囲内での代表選考会の延期、各国あるいは各選手への代表枠数の再配分、代表選考条件の一部削除である。
一方、同日付英国『デイリィ・メール・オンライン』:「IOCが明日(3月17日)に新型コロナウィルス危機を協議しようとする中、日本人のほぼ半分が東京オリンピック開催は中止すべきと回答」
新型コロナウィルス集団感染問題深刻化の中、英国のプレミアリーグ(プロサッカー)から米国のプロバスケットボール競技(NBA)までが中止に追い込まれていて、ドナルド・トランプ大統領も、東京オリンピック開催の一時棚上げを言い出している。
しかし、安倍首相もIOCのトーマス・バッハ会長も、予定どおり開催すると繰り返している。
ただ、『NHK』が3月6~9日の間に実施した世論調査の結果、回答者の45%が予定どおりの開催に反対で、賛成の40%を上回った。
反対者の多くは、日本の感染者数が814人、死者24人と、集団感染が拡大している国々に比べて低い方と言えるが、オリンピックのために大変多くの観戦者・旅行者が来日してくることで、感染リスクの拡大を懸念している。
なお、英国のブックメーカー(注後記)のパディ・パワー(1988年設立の老舗)の賭け率は、4:1で開催中止(あるいは延期)の割合が高くなっている。
(注)ブックメーカー:欧米における賭け屋で、日本のノミ屋に当たる。多くが法人格で運営しているが、出版社や書店は意味しない。1790年代に英国の競馬場で始められ、1960年には英国政府公認となっている。
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中国発の新型コロナウィルス集団感染問題による2020年東京オリンピック開催への影響は?(2)【米メディア】
2月13日付Globali「
中国発の新型コロナウィルス集団感染問題による2020年東京オリンピック開催への影響は?」で報じたとおり、横浜港停泊中のクルーズ船“ダイアモンド・プリンセス号”の乗員・乗客の新型コロナウィルス感染が拡大の一途であることから、米・ロシア等から日本側の措置対応について厳しい声が上がっており、それは今夏の東京オリンピック開催可否の問題までつながってきている。そうした中、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会及び国際オリンピック委員会(IOC)は、“代替案(Plan B)”など一切検討することは考えていないと明言して、混乱を鎮静化させようと試みている。
2月16日付
『AP通信』:「中国発の新型コロナウィルス感染問題にも拘らず、東京オリンピック“Plan B”がないことへの疑問」
東京オリンピック組織委員会及びIOC代表は2月14日、現在猛威を振るっている新型コロナウィルス集団感染問題に拘らず、東京オリンピックの“Plan B”は考えていないと明言した。
中国含む世界での新型コロナウィルス感染者は6万4千人以上に上り、中国での死者が1,400人、また、日本でも1人の死亡が確認されるほど、集団感染が広がっている。...
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2月16日付
『AP通信』:「中国発の新型コロナウィルス感染問題にも拘らず、東京オリンピック“Plan B”がないことへの疑問」
東京オリンピック組織委員会及びIOC代表は2月14日、現在猛威を振るっている新型コロナウィルス集団感染問題に拘らず、東京オリンピックの“Plan B”は考えていないと明言した。
中国含む世界での新型コロナウィルス感染者は6万4千人以上に上り、中国での死者が1,400人、また、日本でも1人の死亡が確認されるほど、集団感染が広がっている。
しかし、IOC調査委員会のジョン・コーツ委員長は2日間の日本訪問を終えた後の公式会見で、世界保健機関(WHO)からの綿密な助言を踏まえた上で、“目下、東京オリンピック開催を中止するとか、別の都市へ移すとかのPlan Bは一切検討していない”と強調した。
同委員長は、“もちろん、今後の状況を注視する”と断った上で、“特に、中国選手団は新型コロナウィルス感染を避けて中国を脱出済み”だとも言及した。
ただ、同委員長は、何人中国外へ逃れたのかまでは明かさなかった。
一方、元WHO西太平洋地区担当理事で感染症専門家の尾身茂氏は2月13日、“正直、東京オリンピック開催までに新型コロナウィルス感染問題が収束しているか現段階では不詳”とした上で、“感染源を水際で防ぐことは無理であると認識すべき”とコメントしている。
また、エジンバラ大学(1583年設立、スコットランドにある英語圏で6番目に長い歴史を誇る。世界大学ランキング20位)感染症疫学のマーク・ウールハウス教授は、“現段階では新型コロナウィルス感染問題が晩夏以前に解決すると信じることはできない”と語った。
更に同教授は、“インフルエンザは北半球の冬の風物詩だったが、2009~2010年に世界に広がった豚インフルエンザなどは、収束するのに夏季までかかっている”と強調した。
しかし、IOCが4年ごとのオリンピック開催で得られる57億ドル(約6,270憶円)の約73%が、米『NBC』や『NHK』等メディアからの放映権料で占めることから、簡単に日程を変更することはできない。
例えば、開催を2ヵ月延期すると、北米のプロスポーツ、全米フットボール・全米バスケットボール・メジャーリーグ、更には大学フットボール開催時期にぶつかってしまい、メディアは承服しまい。
更には、数百万枚の競技観戦チケット販売、航空便、ホテルの予約等が済んでしまっていることや、30億ドル(約3,300憶円)に上る日本開催のオリンピックへの地元のスポンサー拠出金の取り扱いも問題となる。
なお、コーツ委員長は、中国国営メディア『新華社通信』記者から、“オリンピック大スポンサーではあるものの、新型コロナウィルス感染源の省出身者であるジャック馬氏(通信販売大手アリババ創業者)が東京オリンピック観戦に来ると言ってきた場合、どう対応するのか”と尋ねられたことに対して、“日本の入国管理当局規則に則っての来日ならば問題あるまい”と、半ばジョークを交えて回答している。
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