フランス、2010年生まれの子どもたちが学校でいじめの対象に
9月に新学期が始まったばかりのフランス。しかし、ここ数週間、2010年に生まれた子どもたちが、ソーシャルネットワーク上で侮辱や嘲笑、脅迫の対象となり、学校でも上級生からのいじめを受けていることが確認されるようになった。保護者連盟は声明を発表した。
9月初旬、フランスでは2010年に生まれた子どもたちが中学校に入学した(フランスでは小学6年生から中学に行く)。学校に慣れる大切な時期である1学期だが、今年は新しい1年生たちに対し、上級生からの廊下や運動場での嘲笑が目立つようになっているという。フランスのニュースサイト
『LCI』によると、数週間にわたって「反2010」とタグ付けされた、2010年生まれの子供たちに対する誹謗中傷をそそのかす動画がソーシャルネットワーク上で拡散し、そうした動きが実際の学校生活の場においても広がりを見せているというのだ。...
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9月初旬、フランスでは2010年に生まれた子どもたちが中学校に入学した(フランスでは小学6年生から中学に行く)。学校に慣れる大切な時期である1学期だが、今年は新しい1年生たちに対し、上級生からの廊下や運動場での嘲笑が目立つようになっているという。フランスのニュースサイト
『LCI』によると、数週間にわたって「反2010」とタグ付けされた、2010年生まれの子供たちに対する誹謗中傷をそそのかす動画がソーシャルネットワーク上で拡散し、そうした動きが実際の学校生活の場においても広がりを見せているというのだ。
この誹謗中傷キャンペーンは特に短い動画を投稿する、フランスの若い世代に最も人気のあるティックトックで繰り広げられており、「反2010部隊」、「反 2010」などの名前でタグ付けされている。こうした2010年生まれに対する反感は、ビデオゲーム「フォートナイト」から始まったと見られている。少し年上のプレーヤーたちは、最近ゲームに参加してきた2010年生まれの子どもたちがゲームを陳腐化させ、マナーを守らないとして非難しているという。そのため、2010年生まれの子を、ゲームの名にちなんで「フォートキッズ」と呼ぶこともあるという。
この 反2010年運動は、別の動画によってさらに勢いが増してしまった。8月初旬、2010年生まれの女の子が「ポップ・イット・マニア」という曲の動画を投稿し、その中で「私たちは2010年の女王」と歌っている。これに対して、新6年生よりも年が上の子どもたちが、自分の優位性や縄張りを示すために、嘲笑したり恥をかかせたりするような行動を取り始めた。その結果、ソーシャルネットワーク上では、子どもが中学に進学することへの不安や、学校で日常的に受けているいじめなどについて、親が語る姿がよく見られるようになった。
このような現象に直面して、フランス最大の保護者連盟であるFCPEは声明を出し、多くの11歳の子どもたちがターゲットになっている「侮辱、嫌がらせ、サイバーハラスメントの行為」を非難した。この現象は、「学校生活の中で起こることの範囲をはるかに超えている」とし、「政府は緊急に行動すべきだ」と呼びかけた。
『BFMTV』によると、ティックトックの「反2010」関連の動画は再生回数が累計で4千万回に上っているという。嘲笑、下劣で侮辱的なコメント、さらには脅迫などの動画が投稿されている。あるものは、2010年生まれの子どもの「最も醜い」服装を「見つけて投稿」することを呼び掛けていたり、別の動画では、軍服を着て武装した人が「2010年生まれの子の住所を見つけた」というキャプションをつけてドアをノックしていたりする動画が投稿されている。こうした暴力や武器に言及した動画が多く投稿されている。
この現象が夏休みの終わりごろに拡大しため、新学期に中学に通い始めることを怖がる新1年生が出てきてしまった。
学校でのいじめ問題を扱う協会「ユーゴ!」の会長であるユーゴ・マルティネスさんは、「これは、憎しみがますます存在感を強め、ソーシャルネットワーク上でも蔓延するようになった私たちの社会を表している。子供たちは、自分たちが見ているものを自分たちの世界で再現している。非常に深刻なのは、生まれた年で誰かを差別していることだ。どうなってしまうのか。」マルティネスさんは、この問題がまだ軽視されていると指摘し、ブランケール教育相や、セドリック・オーデジタル化担当長官に対応を呼び掛けている。「ソーシャルネットワークも巻き込んでいかなければならない。インターネット上で憎悪が自由に拡散することを許してはならない」と述べている。
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パラリンピック競技大会:2024年のパリ大会の課題とは
パラリンピック東京大会が昨日終了し、閉会式では3年後のパリ大会にバトンが渡された。フランスは、パラリンピック選手を身近に感じてもらうパリ大会を目指しているが、3年後の大会を準備する上でどのような課題を抱えているのだろうか。
仏
『ブルソラマ』によると、パリ2024組織委員会事務総長のエチエンヌ・トボワ氏は、パリ大会は「一般の人々に、パラリンピック選手を身近に感じてもらう大会、障害者のスポーツ競技に対する認知度を高める大会」になることを目標としていると述べた。そして、2024年に向けて、フランスが主要なスポーツ、文化イベントへのアクセスのしやすさの新たな世界基準を開発していることを誇りに思っていると語った。なお、東京大会に関しては、「素晴らしい大会であった」と高く評価したものの、「1つだけ欠けていたのは観客だった。...
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仏
『ブルソラマ』によると、パリ2024組織委員会事務総長のエチエンヌ・トボワ氏は、パリ大会は「一般の人々に、パラリンピック選手を身近に感じてもらう大会、障害者のスポーツ競技に対する認知度を高める大会」になることを目標としていると述べた。そして、2024年に向けて、フランスが主要なスポーツ、文化イベントへのアクセスのしやすさの新たな世界基準を開発していることを誇りに思っていると語った。なお、東京大会に関しては、「素晴らしい大会であった」と高く評価したものの、「1つだけ欠けていたのは観客だった。パリ大会では、満員の観客席の前でアスリートたちが戦えることが出来ればと願っている。」と述べた。
仏『フランスアンフォ』は、2024年にパラリンピックを迎えるフランスの首都パリにとって、一般市民の「人気を集める祭典として成功させること」が最も重要な目標だと報じている。もう一つの課題は、インフラだという。選手村とアクアティクスセンターが建設中だが、「アクセスのしやすさが模範的であることが求められている中、地下鉄の整備が遅れている」点をあげている。
一方スポーツの面では、スポーツクラブがパラスポーツにより開放されることと、より多くのトレーナーを育成する必要性があるという。さらには、競技人口を増やすために、本格的な競技生活を目指す障害者を発掘していく必要性が指摘されている。
仏ラジオ局『RFI』によると、2016年より障害者スポーツ連盟の技術・スポーツアドバイザーとして卓球を担当しているステファン・ルロン氏は、2016年のリオ大会のメディア報道によって、障害を持つ若者たちがパラリンピック競技に興味を示すようになり、スポーツを始めたと述べている。こうした若者たちが、2028年のロサンゼルス、2032年のブリスベンで活躍することになると指摘している。ルロン氏によると、パラ卓球でも、選手になるまで約10年かかるという。
一方、パリ大会まであと3年となった今、一部の種目では新しい選手がほとんどいないことが懸念されているという。例えば、パラバドミントンは、フランスの選手は200人しかいない。東京大会は大きな反響を呼ぶことができたため、将来のメダリストとなるような若者がパラスポーツを始めることがさらに期待されている。
仏『LCI』によると、2024年パリ大会の組織委員会のエスタンゲ会長は、これからの3年間で、公共交通機関や施設、市民、様々な連盟やアスリートを味方につけて、意識を変えていくことが今後の課題であると述べている。そのためにも、目標が必要だという。東京パラリンピックで金メダル11個を含む54個のメダルを獲得したフランスは、この17年間で最も良い結果を出しており、2024年は60個のメダルを目指す。
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