円安問題、参院選に影響する可能性(2022/06/23)
22日、円相場が1ドル136円台と24年ぶりの円安水準となった。海外メディアは、急激な円安による消費者物価の上昇の加速が懸念される中、参院選を控えた野党が「岸田インフレ」を糾弾していると報じている。
仏
『レゼコー』紙は、「存在感の薄い日本の野党は、7月10日の参議院選挙で自民党を中心とする保守派から数議席を奪還するために、新しいキャンペーンテーマを見出した。」と伝えている。野党は現在、岸田首相が急激な円高でインフレが悪化したことの責任の一端を担っていると非難している。
同紙は、日本銀行は、日本で観測されているインフレ(2.1%)は一時的だと判断し、回復しつつある日本経済への打撃を恐れて、世界的な利上げの動きには断固として反対していると伝えている。...
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『レゼコー』紙は、「存在感の薄い日本の野党は、7月10日の参議院選挙で自民党を中心とする保守派から数議席を奪還するために、新しいキャンペーンテーマを見出した。」と伝えている。野党は現在、岸田首相が急激な円高でインフレが悪化したことの責任の一端を担っていると非難している。
同紙は、日本銀行は、日本で観測されているインフレ(2.1%)は一時的だと判断し、回復しつつある日本経済への打撃を恐れて、世界的な利上げの動きには断固として反対していると伝えている。そして、この戦略の違いから、主要投資家はゼロに近い利回りが続く日本国債から、米連邦準備制度理事会(FRB)が相次いで利上げを行う米国ドルを中心に買う動きが広がっていることを指摘。
金融情報を扱う仏オンラインニュースサイト『ブルソラマ』も、FX業者Markets.comのニール・ウィルソン氏は、「中国を除く他のすべての主要な中央銀行と逆行して、円安を推進しているのは日銀である」と述べていることを伝えている。そして、岸田首相や日銀は、円安は、輸出中心の国内経済にはむしろプラスに働くと見ている一方で、世界的な金利上昇は日銀に過大な圧力をかけていると指摘している。
日本銀行のこの戦略は、日本の企業や個人を金利の高騰から守る一方で、円安と多くの日用品の価格上昇を加速させている。例えば、チューブ入りのマヨネーズが1年で30%も値上がりしている。食用油の価格は50%上昇し、ポテトチップス、インスタントラーメン、クッキーなどのメーカーも値上げしたり、分量を減らしたりしている。国内の主要なレストランチェーンの4分の3が値上げを計画していることも判明している。
インフレへの懸念が高まる中でも、岸田首相は、日銀の金融緩和政策への支持を表明し、補助金や商品券などで対応することを約束している。すべての世論調査で、248議席のうち半数のみが改選される7月10日の参院選では、自民党が公明党とともに過半数を維持する見込みであるため、こうした保証は当面の間、日本の世論を満足させるものと思われると『レゼコー』は伝えている。
一方、米『ブルームバーグ』は、インフレへの不安は、つい数週間前まで与党自民党が大差で勝つと思われていた参院選に、不確実性をもたらしていると伝えており、岸田首相が圧勝すれば、次の選挙を3年も先送りすることができ、多くの前任者が通ってきた「回転ドア人事」を回避することができる、と報じている。また、ロシアの攻撃から4カ月が過ぎ、世論調査では、有権者の優先順位は徐々に安全保障から経済再生など懐事情にシフトしていることを指摘している。
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欧米メディア、リーダーシップを発揮しようとする日本の積極的外交を報道(2022/05/23)
南は中国、西は核武装した北朝鮮、北はロシアに挟まれている日本は、安全保障に対する不安が高まってきており、第二次大戦後の平和主義から脱却しようとしていると報じられている。
米
『CNN』は、岸田首相は使命感に燃えていると報じている。2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、モスクワに制裁を加え、ローマ法王と核なき世界の追求に合意し、東南アジアとヨーロッパへの外交ツアーで、世界のリーダーたちに民主主義を守るよう呼びかけてきた。そして、日本国内では今、ウクライナ戦争が、かつてないほど日本の安全保障に関する議論を喚起しており、4月には与党議員から、防衛予算を1%からNATO諸国並みの2%に引き上げ、「反撃能力」を整備する案が提出されるなど、平和主義を貫いてきた日本の安全保障に大きな変化が起きている、と伝えている。...
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米
『CNN』は、岸田首相は使命感に燃えていると報じている。2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、モスクワに制裁を加え、ローマ法王と核なき世界の追求に合意し、東南アジアとヨーロッパへの外交ツアーで、世界のリーダーたちに民主主義を守るよう呼びかけてきた。そして、日本国内では今、ウクライナ戦争が、かつてないほど日本の安全保障に関する議論を喚起しており、4月には与党議員から、防衛予算を1%からNATO諸国並みの2%に引き上げ、「反撃能力」を整備する案が提出されるなど、平和主義を貫いてきた日本の安全保障に大きな変化が起きている、と伝えている。
岸田政権は防衛に投資するだけでなく、外交を駆使して地域や国外との関係を強化しようとしているとも伝えている。専門家たちは、世界第3位の経済大国である日本が抑止力へのアプローチを再評価し、世界の舞台で信頼できるパートナーとして自らをアピールしていると指摘している。明日予定されている日米豪印によるクアッドの首脳会議も、もともとは安倍元首相が提案したものであった。専門家たちによると、米国は現在、日本がこの地域でより強い指導的役割を担うことを期待しており、岸田政権はそれが防衛を強化する必要があることを意味することを認識しているという。昨年12月、岸田政権は日本が敵基地を攻撃する能力を持つための選択肢を検討していると発表した。それ以来、日本の与党内からは、米国と連携して「反撃能力」を開発するよう求める声が強まっている。
また、オーストラリア戦略政策研究所のシニアフェロー、トーマス・ウィルキンス氏は、日本は、地元の労働力を使い、質の高い管理を行い、参加国に持続不可能な債務負担を残さない独自の質の高いインフラプロジェクトを紹介することで、中国に代わるものを提供したいとも考えている、と指摘している。アメリカのシンクタンク「民主主義防衛財団」のインド太平洋関する専門家であるクレオ・パスカル氏は、クアッドでリーダーシップを発揮しようとしている日本は、アジア太平洋地域において「尊敬され、評価されている」と述べている。
仏メディア『ブルソラマ』は、バイデン大統領と岸田首相は23日の共同記者会見で、「自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョン」を再確認し、中国が野心を強めている地域における中国の海軍活動を監視することに合意したと述べ、中国に対して厳しい口調で発言したと伝えている。岸田首相は、経済的な問題を含め、「中国に国際法を遵守するよう求める必要がある」と指摘し、バイデン大統領も、中国政府が台湾に侵攻した場合、米国は軍事的に台湾を防衛すると警告したという。
なお、イギリスの『ロイター通信』は23日付けの記事で、日本が宇宙に対しても野心を持っていると報じている。日本は、米国の助けを借りることで宇宙での存在感を高めていこうとしており、人類をもう一度月に送るというNASAのアルテミス計画の一環として、2020年代後半にアメリカ人以外の宇宙飛行士として日本人を1人、月面に送ることを望んでいるという。バイデン米大統領が岸田首相と会談する際、宇宙協力が話題に上る可能性が高いとされている。日本の宇宙への野心と投資は、新しい宇宙開発競争の可能性で中国の先を行こうとするアメリカは歓迎しているという。
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