新型コロナウイルス対策としてのワクチンパスポートの導入は、欧州加盟国内で今も議論されている問題である。しかし、スウェーデンやデンマークが2月4日、導入する方針を発表した。
フランス日刊紙
『ウエストフランス』によると、スウェーデンとデンマークが4日、新型コロナウイルスのワクチンパスポートを6月頃目途に導入すると発表した。ワクチンを接種したことを証明することが可能になるワクチンパスポートは、国家間または国内での人々の移動を取り戻すこと目的としている。
なお、欧州加盟国ではないものの、欧州経済領域に属しているアイスランドは、1月21日にいち早く、ワクチンパスポートを導入している。...
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フランス日刊紙
『ウエストフランス』によると、スウェーデンとデンマークが4日、新型コロナウイルスのワクチンパスポートを6月頃目途に導入すると発表した。ワクチンを接種したことを証明することが可能になるワクチンパスポートは、国家間または国内での人々の移動を取り戻すこと目的としている。
なお、欧州加盟国ではないものの、欧州経済領域に属しているアイスランドは、1月21日にいち早く、ワクチンパスポートを導入している。1月下旬に新型コロナウイルスのワクチンを2回接種した約4,800人が、すでにオンラインの電子証明書を受け取っている。アイスランド保健省は、ワクチンパスポートを導入する「目的は、個人が各国の入国制限から免除され、海外への移動が円滑になることだ。」と説明している。
スウェーデンとデンマークも今月4日に、夏ごろに向けてワクチンパスポートを開発すると発表したが、その目的は海外旅行を円滑にすることだけには限らない。スポーツや文化イベント、さらにデンマークの場合はレストランへのアクセスにも必要となる予定だ。
スウェーデンのエネルギー・デジタル開発相Anders Ygeman氏は、「デジタルワクチンパスポートがあれば、予防接種を受けたことを迅速かつ簡単に証明することができる 」と述べている。デンマークのMorten Bødskov税務相も、「デンマーク社会を再スタートさせ、ビジネスを軌道に乗せることができるようにするためには、絶対に必要不可欠だ」と主張している。
ただし、仏金融誌『レゼコー』によると、デンマークは、パスポートの正確な用途については、ワクチンを接種した人の伝染性についてのさらなる研究を経て最終的な決定が下される予定だという。スウェーデンとデンマークは、開発中の電子証明書が、世界保健機関(WHO)やEU内で議論されている国際的な基準との互換性が取れるように保証するとも述べている。
ニュースサイト『LCI』によると、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を最も受けた業種の人々は、ワクチンパスポートを歓迎しているという。デンマークのコペンハーグにあるコンサート会場の運営者は、「通常であれば、コンサートには1600人もの人が集まる。現在、国の援助に完全に頼っている状況だが、これは永遠に可能なわけではない。だから、ワクチンパスポートが文化的な場所に人々を呼び戻す新しい方法になることを心から願っている。」と述べている。
しかし、ニュース放送局『BFMTV』によると、デンマークでは、ワクチンパスポートを含む様々なコロナ規制に反対するデモが1カ月ほど前から行われているという。7日日曜日も、寒さの中、国会前に600人ほどが集まり、デンマーク政府によるコロナ対策のための規制措置を「強制的」、「独裁的」であり、「選択の自由」が侵されていると主張した。特に、ワクチンパスポートの導入は、本来選択の自由があるはずの予防接種に義務が伴うことになり、個人の自由がなくなることが懸念されている。
『ウエストフランス』はフランスやドイツ、オランダでも、ワクチンパスポートは、科学的、倫理的、法的な観点から、議論の対象となっていると報じている。フランス高等保健機構(HAS)会長のドミニク・ル・グルデック氏は、そもそも「ワクチンがウイルスの感染性を阻止するか確認されていない」ため、ワクチンパスポートは基本的には「意味がない」とコメントしている。
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フランスの73人の医師らが15日、ビタミンDは、新型コロナウイルスの重症化を防止する効果があるという研究結果が数多く報告されているとして、国民全員にビタミンDを配布するべきであるという論文を発表した。
ラジオ放送局
『フランスアンテール』によると、ビタミンDが新型コロナウイルスへの感染や重症化に対する予防効果を発揮する可能性があることが、様々な研究で明らかになってきているという。そこで、ビタミンDの補給は、ワクチンの代替にはならないものの、新型コロナウイルスの重症化を防止する効果があるとして、73人の専門家と、フランス小児科学会やフランス老年医学学会などの6つの団体が、高齢者や基礎疾患のある人々をはじめ、国民全体にビタミン D のサプリを配布するよう求めている。
例えば数ヶ月前にノルウェーで行われた研究では、ビタミンDが豊富なタラ肝油を定期的に摂取することで新型コロナウイルスへの感染から守られている可能性があると報告されている。昨年5月には、フランス医学アカデミーが感染予防や治療の一環として高齢者にビタミンDを与えることも推奨していた。
その後いくつかの研究で、ビタミンDは奇跡の治療薬ではないものの、カルシウムの代謝という働きをはるかに超えたステロイドホルモンであることが明らかになっている。アンジェ大学病院のアンワイラー教授は、「フランスの研究によると、定期的にビタミンDのサプリメントを摂取している高齢者の場合、感染症に感染した場合、重症化するリスクが90%減少することが示されている。感染の拡がり方を考えると、ワクチンや三密対策に代わるものではないにしても、この追加の武器を活用しないのはもったいない」と説明している。
フランスのニュースサイト『LCI』や『ウエスト・フランス』によると、アンジェ大学では、2020年12月から「国家的優先の研究」として、10の病院と養護老人ホームの協力を得て、大規模臨床試験が進められている。高齢者が感染した場合に高用量のビタミンDの摂取が、どれほどの効果があるのかを測定しようという研究である。ビタミンDはワクチンとちがい副作用の恐れがないために、広く推進できるものとして期待されているようである。
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