米バイデン政権、トランプ前大統領の壁建設再開へ(2023/10/06)
バイデン米政権は、9月に最高水準に達している不法移民対策として、トランプ前大統領の目玉政策であったメキシコ国境の壁の建設を再開すると発表した。
10月5日付米
『CNBC』:「米政府がトランプの壁再建を迅速化、”増設しない”公約から数年で転換」
バイデン政権は、テキサス州リオグランデ渓谷のメキシコ国境に約20マイルの壁を増設するため、20数項目の連邦法の適用を免除するとの大幅な方針転換を示した。
2020年の民主党キャンペーンでバイデン氏は、任期中の壁再建はないと公約していた。2021年1月の大統領就任後は、共和党による不法移民の阻止の一環として、トランプ前政権が最優先事項としていた壁建設の終了を宣言していた。...
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10月5日付米
『CNBC』:「米政府がトランプの壁再建を迅速化、”増設しない”公約から数年で転換」
バイデン政権は、テキサス州リオグランデ渓谷のメキシコ国境に約20マイルの壁を増設するため、20数項目の連邦法の適用を免除するとの大幅な方針転換を示した。
2020年の民主党キャンペーンでバイデン氏は、任期中の壁再建はないと公約していた。2021年1月の大統領就任後は、共和党による不法移民の阻止の一環として、トランプ前政権が最優先事項としていた壁建設の終了を宣言していた。
方針転換は5日、国土安全保障省が明らかにし、壁増設を促進する目的で、大気浄化法(CAA)、安全な飲料水法(SDWA)、絶滅危惧種法(ESA)等の法の適用を免除することが発表された。バイデン氏は国会で、壁資金が別の資金に変更出来なかったためだと説明した。
今回の政策転換には、メキシコ国境に移民が大量に押し寄せており、民主党の知事らから政府への要請があったことも背景にある。政府によると、2022年10月以来、リオグランデ渓谷には24.5万人の不法移民が押し寄せているという。
イリノイ州のプリツカー知事は先週の書簡で、政権の移民政策が「効果を奏していない」と批判した。NBCは先週、国民の半数以上が「民主党より共和党のほうが国境の治安改善に努めている」とする世論調査結果を公表している。
10月6日付『ロイター通信』:「バイデン氏、トランプ政権の資金で国境の壁建設再開へ」:
バイデン政権は5日、トランプ前大統領の目玉政策だった移民対策のメキシコ国境の壁の一部を追加建設すると発表。
トランプ氏はSNS上に、「私は何度も言ってきているが、数千年もの間役に立ってきたのはこの2つしかない、車輪と壁だ!バイデンはこれほど時間がかかったことを私や国民に謝罪するだろうか」と投稿した。一方、メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、この動きを「後退」だと批判した。
移民政策は、大統領選挙の争点となるとみられ、9月のロイター・イプソス世論調査によると、国民の54%が「移民は米国人の生活に悪影響」としている。
9月はメキシコ国境を超える移民の数は最高に達した。バイデン大統領は当初、トランプ前政権の政策の多くを廃止すると宣言していたが、コロナウイルス流行時の国境管理措置「タイトル42」を継続。5月に停止した後も、検問所に入る前に事前に政府のアプリで予約をとる方式を採用したり、違法入国者へより厳格な措置を義務付けた新たなルールを採用した。
新ルール発表後、一時的に移民は減少したが、ここ数週間はベネズエラ経由が増えたことで、移民は再び増加。過去2年間、ダリエンギャップと呼ばれるコロンビアとパナマの間のジャングルを経由し、経済的政治的困難から抜け出そうとするベネズエラ人がメキシコ国境に流入。5日政府は、ベネズエラとの関係悪化で停止されていたベネズエラへの強制送還を再開すると発表した。
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ロシア残留西側企業、時が経つほど撤退が困難に【米メディア】(2023/09/12)
8月27日付GLOBALi「
オランダのビール醸造会社、漸くロシア撤退完了も損失額は3億ユーロ」で報じたとおり、世界2位のハイネケン(1863年設立)がロシア事業売却によってロシア撤退を完了させたが、損失額は3億ユーロ(約470億円)に上っている。そうした中、多国籍企業2社もロシア撤退を図ったが、ウラジーミル・プーチン大統領(70歳、2000年就任)によって事業没収と同様のペナルティが科せられたことから、時が経つほどロシア撤退が困難になりつつあると専門家が分析している。
9月11日付
『CNBCニュース』は、ウクライナ戦争勃発後1年半余りも経過した現在、これからロシア撤退を果たそうとする西側企業にとって、ロシアに留まる以上に困難が待ち受けていると報じた。
オランダのビール醸造大手のハイネケンは8月25日、ロシア撤退意向を表明後1年余り経過後、漸く事業撤退を完了した。
しかし、撤退計画進行に当たって、ロシア人従業員1,800人の雇用確保交渉に難航したこともあって、実際には事業継承先のロシア複合企業アーネスト・グループ(1971年設立、化粧品・日用雑貨・製缶業大手)に1ユーロ(約157円)の名目上の価格で売却せざるを得なかった。...
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9月11日付
『CNBCニュース』は、ウクライナ戦争勃発後1年半余りも経過した現在、これからロシア撤退を果たそうとする西側企業にとって、ロシアに留まる以上に困難が待ち受けていると報じた。
オランダのビール醸造大手のハイネケンは8月25日、ロシア撤退意向を表明後1年余り経過後、漸く事業撤退を完了した。
しかし、撤退計画進行に当たって、ロシア人従業員1,800人の雇用確保交渉に難航したこともあって、実際には事業継承先のロシア複合企業アーネスト・グループ(1971年設立、化粧品・日用雑貨・製缶業大手)に1ユーロ(約157円)の名目上の価格で売却せざるを得なかった。
この結果、同社は3億ユーロもの損失を計上することになっている。
また、今年の7月に撤退を完了させた、デンマークのビール醸造会社カールスバーグ(1799年設立)とフランスの食品大手ダノン(1919年設立、スペイン発祥)の場合は、事業売却を画策していたにも拘らず、結果的にはウラジーミル・プーチン大統領の側近に強制的に接収されてしまっている。
かかる動きから、英国の経営コンサルタント会社コントロール・リスクス(1975年設立)幹部であり元『モスクワ・タイムズ』編集長だったナビ・アブダラーエフ氏は先月、“西側企業は、対ロシア制裁や金融危機の中、ロシア撤退を希望しているが、時が経つに連れてロシアに居残るより厳しい局面に曝されるようになっている”と『CNBCニュース』のインタビューに答えた。
同氏は更に、“その結果、幾つかの西側企業がロシア残留を決めている”とした上で、“何故なら、ロシア政府が次々に法律を変更して、残った資産の略奪等、撤退企業に無理難題を押し付けようとしているだけでなく、雇用されていたロシア人を犯罪者として訴追するリスクも高まっているからである”とも言及している。
また、英国の国際関係シンクタンク、国際戦略研究所(1958年設立)経済制裁問題上級研究員のマリア・シャギーナ氏は、“ロシア政府によるカールスバーグ・ダノンへの仕打ちは、今後ロシア撤退をしようとしている西側企業に対する強烈な警告になっているはずだ”と分析している。
かかる背景もあってか、依然ロシアには、英国の一般消費財メーカー大手のユニリーバ(1930年設立)、スイスの世界最大食品・飲料メーカーのネスレ(1866年設立)、米国の世界最大煙草メーカーのフィリップモリス(1900年設立)、イタリアの銀行ウニクレディト(1998年設立)、スイス金融グループのライファイゼン(1899年設立)、米食品・スナック・飲料メーカーのペプシコ(1965年設立)等が居残っている。
シャギーナ氏によれば、まだ500社余りの西側企業がロシアに留まっているという。
ただ、止むを得ずロシアに残留している企業は、ロシア政府から追加納税を強いられるだけでなく、西側諸国からの非難に曝されることになる。
例えばウクライナ政府は、“ユニリーバやその他ロシア残留企業は、ロシアによるウクライナ戦争の支持者だ”と酷評している。
なお、シャギーナ氏は『CNBCニュース』の取材に対して、“対イラン、対北朝鮮制裁と違って、対ロシア制裁は抜け穴があり、一般のロシア市民向けやその他人道支援関連ビジネスの制裁は除外されているため、ロシア残留西側企業はこの分野での事業継続は可能である”とコメントしている。
一方、米コンサルティング会社テネオ(2011年設立)中央・東欧州地域担当のアンドリアス・ターサ顧問は、“国際的対ロシア制裁及び数百社の西側企業のロシア撤退に伴い、ロシア経済は段々疲弊することになろう”とし、“時が経てば経つ程、ロシア経済は先細りとなり、益々中国頼みとなろう”と分析している。
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