タイ、他東南アジア諸国に先駆けて同性婚合法化法案を可決【米メディア】(2024/03/16)
同性婚について、日本では札幌高裁がこの程、同性婚を認めていない現行民法は違憲との判断を示した。ただ、保守系自民党が牛耳る国会において、民法改正に動く気配はない。一方、タイが他東南アジア諸国に先行して、同性婚合法化法案を可決し、正式に発効させる手続きに入ろうとしている。
3月16日付
『ブルームバーグ』オンラインニュースは、タイにおいて同性婚合法化法案が可決されて正式発効に向かおうとしていると報じた。
世界で同性婚を法的に認めているのは、依然まだ37ヵ国である(編注後記)。
保守的傾向のあるアジアにおいては、台湾(2019年)・ネパール(2023年)でしか認められていない。
そうした中、タイ国会の人民代表院(下院に相当)民商法委員会が3月14日、同性婚容認を謳った同法改選案を可決した。...
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3月16日付
『ブルームバーグ』オンラインニュースは、タイにおいて同性婚合法化法案が可決されて正式発効に向かおうとしていると報じた。
世界で同性婚を法的に認めているのは、依然まだ37ヵ国である(編注後記)。
保守的傾向のあるアジアにおいては、台湾(2019年)・ネパール(2023年)でしか認められていない。
そうした中、タイ国会の人民代表院(下院に相当)民商法委員会が3月14日、同性婚容認を謳った同法改選案を可決した。
同委員会のアカラヌン・クワンキティナン副委員長は、同改定法案によって、婚姻の構成が“男女”から“二人の個人”に変更され、公式の法的地位が“夫と妻”からジェンダーレスの“夫婦”に変えられるとした。
その上で、LGBTQのカップルに、現在民法および商法の下で認められているのと同じ基本的権利が保証されることになると言及した。
更に、同副委員長は、3月27日に人民代表院本会議に送られて審議されて承認された後、元老院(上院に相当)で可決され、そして最終的に年末までに国王によって受諾されて発効されることになる見込みだと付言している。
また、同委員会のトゥニャワジ・カモルウォンワット副委員長も、同改定法案によって、18歳以上の成人による同性婚が認められ、相続権・税額控除・養子縁組等、異性婚と同等の権利も保証されることになると表明している。
なお、同性婚の合法化はまだ他の東南アジア諸国では認められておらず、正式に発効すれば、タイが最初の国となる。
一方、アジアにおいては、台湾・ネパールの他に容認している国はなく、香港最高裁2023年に、同性パートナーシップを認める法案の策定を行政府に命じたことに加えて、札幌高裁が3月14日、同性婚を認めない現行民法は違憲だとの判決を下したばかりであり、まだ同性婚合法化の道のりは長い。
むしろ、インド最高裁が2023年に同性婚の合法化を認めない判断を下しただけでなく、インドネシアでは直近で、婚外交渉が全面的に禁止されたばかりである。
なお、シンガポールでは、男性同士の性行為が合法化されたものの、結婚の平等化まで進展する可能性は低い。
(編注)同性婚を認めている国:2001年オランダを皮切りに、ベルギー・スペイン・カナダと続き、フランス・英国・米国等で認められていて、直近では今年ギリシャが仲間入り。ただ、世界人口に占める割合はまだ17%(世界GDPに占める割合は52%ゆえ、先進国で容認されている割合が高い)。
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フィンランド大統領選決選投票;どちらが勝ってもNATO新加盟国として対ロシア強硬姿勢不変【欧米メディア】(2024/02/10)
フィンランドは議院内閣制を敷いていて、議会が国権の最高機関であり、首相が行政府のトップとして政治を切り盛りしている。ただ、外交及び安全保障政策では大統領が強い影響力を持っていて、サウリ・バイナモ・ニーニスト大統領(75歳、中道右派の国民連合党所属、2012年就任)主導で、中立・非同盟主義から北大西洋条約機構(NATO、1949年設立)への加盟という歴史的大転換を成し遂げた。そしてこの程、現大統領の任期満了に伴って、二候補の間で決選投票が行われるが、どちらが勝っても、対ロシア強硬姿勢は不変とされている。
2月8日付
『ロイター通信』、
『AFP通信』、及び2月9日付
『AP通信』は、2月11日に実施されるフィンランド大統領選決選投票では、どちらの候補が勝っても現大統領が主導したNATO加盟、対ロシア強硬姿勢に変更はないだろうと報じている。
フィンランドでは2月11日、同国現職大統領の任期満了に伴う投票が行われる。
第一回投票は、1月28日に実施(投票率74.9%)されたが、8人の立候補者のいずれも過半数の得票を得られず、上位二者による決選投票が行われることになったものである。...
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2月8日付
『ロイター通信』、
『AFP通信』、及び2月9日付
『AP通信』は、2月11日に実施されるフィンランド大統領選決選投票では、どちらの候補が勝っても現大統領が主導したNATO加盟、対ロシア強硬姿勢に変更はないだろうと報じている。
フィンランドでは2月11日、同国現職大統領の任期満了に伴う投票が行われる。
第一回投票は、1月28日に実施(投票率74.9%)されたが、8人の立候補者のいずれも過半数の得票を得られず、上位二者による決選投票が行われることになったものである。
下記候補者が決選投票に臨むが、同国大統領として影響力を有する外交及び安全保障政策では、ほとんど差異がみられない。
従って、どちらが勝っても、サウリ・バイナモ・ニーニスト現大統領の主導で歴史的転換となったNATO加盟(2023年4月正式加盟)、対ロシア強硬姿勢に変更はないとみられる。
● アレキサンデル・ストゥブ氏(55歳、国民連合党所属):1月28日の第一回投票における得票率は27.2%で第1位。
・2004~2008年欧州議会(欧州連合立法府)議員。
・2008~2011年外相。
・2011~2014年欧州及び貿易担当相。
・2014~2015年首相。
・2015~2016年財務相。
・2017年欧州投資銀行(1958年設立)副総裁就任。
・2024年2月1、2日に発生した大規模労組ストライキについて、遊説中に出された記者団の質問に対して、“内政は首相・議会が担うとする同国政治体制より、労働市場の問題に干渉する意向はない”と表明。
● ペッカ・ハービスト氏(65歳、環境政党である緑の同盟所属):第一回投票での得票率は25.8%で第2位。
・1995~1999年環境相。
・2012年及び2018年の大統領選に立候補したが、いずれもニーニスト氏に敗北。
・2013~2014年国際開発担当相。
・2019~2023年外相。ロシア友好・非同盟という長い歴史に見切りをつけ、NATO加盟に向けて主体的活動。2022年5月、NATO加盟申請書に署名。また、同年11月にウクライナ首都を訪問し、“ロシアによるウクライナ軍事侵攻を猛烈に非難する”と表明。
・大規模ストについての記者団質問に対して、“大統領としては表には立てないものの、少なくとも、舞台裏で当事者を招いて対話を促す意向だ”と発言。
・ゲイであることを公表しており、もし当選すると、同国初のLGBTQ(性的少数者の総称)大統領となるが、外交戦略等で対立候補との差異がみられないことから、ゲイであることで同国の開放性及び寛容さを高めるのに貢献しているとの評価があり、追い風となる場合もある。
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