主要20ヵ国首脳会談(G-20サミット)開幕が近づくに連れて、出席予定の各国首脳の言動・行動に注目が集まっている。その中でも、同サミットの議長役を担う安倍首相関連の記事が目立つ。特に、米メディアが、就任当初は最悪だった習国家主席・同首相関係が直近で好転したのは、貿易不均衡問題で厳しく当るトランプ大統領の政策に伴い、共同戦線を張ることが有益と考えられたものと報じた。一方、ロシアメディアは、同大統領が日米安全保障条約破棄を仄めかしたとの米メディア報道を引用して、日米関係の危うさに触れている。
6月25日付米
『CNBCニュース』:「トランプ大統領が強硬なお蔭で日中がG-20サミットで連携強化」
習近平(シー・チンピン)国家主席は今週末、主席就任以来初の訪日をする。
大阪で開催されるG-20サミット出席のためであるが、その際、安倍晋三首相との首脳会談で、特に貿易問題に関わり連携を強化するものとみられる。
同主席は2012年末に就任以来、日本との関係構築に消極的であった。...
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6月25日付米
『CNBCニュース』:「トランプ大統領が強硬なお蔭で日中がG-20サミットで連携強化」
習近平(シー・チンピン)国家主席は今週末、主席就任以来初の訪日をする。
大阪で開催されるG-20サミット出席のためであるが、その際、安倍晋三首相との首脳会談で、特に貿易問題に関わり連携を強化するものとみられる。
同主席は2012年末に就任以来、日本との関係構築に消極的であった。
特に、安倍首相が就任翌年の2013年末、靖国神社(第二次大戦時のA級戦犯を慰霊していることから、中国・韓国は厳しく非難)を参拝したことから、歴史を顧みない国粋主義者だとして非難した。
2014年11月に北京でアジア太平洋経済協力会議(APEC、1989年発足の環太平洋地域における多国間経済協力を推し進めるためのフォーラム)が開催された折り、議長国代表として臨んだ習主席は、安倍首相と握手した際には苦虫を潰した呈であった。
しかし、直近では両首脳は急激に接近しつつある。
専門家の分析によると、“米国第一主義”を掲げるドナルド・トランプ大統領による、貿易不均衡問題への強硬な姿勢が背景にあるとする。
すなわち、米中貿易紛争は依然深刻度を増しているが、一方で、同大統領は、日本に対しても貿易問題で厳しい対応をみせている。
そこで、習主席としては、対米交渉において、日中が協力し合うことが有益だと判断したため、ここへきて対日政策軟化、歩み寄りがあるとみられるとする。
つまり、日本は米国の強力な同盟国ではあるが、その日本と連携することで、中国側にも、対米交渉で有利にはたらくことを期待してのことと分析している。
なお、日中両国は、アジア太平洋地域において、政治的にも貿易上でもライバル同士であるが、両国間の投資・貿易高は非常に大きく、相互依存度は高い。
一方、同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「日本、米国の日米安保離脱はないと断言」
菅義偉官房長官は6月25日、米国が日米安保条約継続を再確認していると発表した。
米『ブルームバーグ通信』が前日、トランプ大統領が最近、60年余りの歴史を持つ日米安保条約を破棄することに言及したと報じたことに対して、コメントを発表したもの。
同メディアは、同大統領が側近との私的な会話の中で触れたもので、政権内で正式に検討されているわけではないとしている。
なお、同大統領は5月末に来日した際、横須賀海軍基地に停泊中の米海軍強襲揚陸艦“ワスプ”を訪問し、同艦の乗組員を前にして、日米関係は過去にないほど強固だと訓辞していた。
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米首都ワシントンを本拠とするシンクタンクのピュー研究所は1日、世界25カ国で実施した調査結果を公表した。これによると、2017年にトランプ政権が発足して以来、米国のイメージは悪化しており、トランプ大統領の指導者としての評価は、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席への評価を下回ることが判明した。
同調査は5~8月、世界25カ国でそれぞれ900人以上にインタビューを行い、実施された。米国に対するイメージについては、トランプ大統領の任期1年目だった昨年、大きく悪化したが、今年も欧州を始めとして多くの国でさらに悪化したことが分かった。米国に好意的な見方をする人の割合は、ドイツでは僅か30%で、昨年から5ポイントも低下した。最も低かったのはロシアの26%で、ドイツは次に低い。フランスでも僅か38%、カナダが39%で、両国とも昨年から悪化した。メキシコは少し回復し32%となった。
米国に対し好意的な見方をする人が最も多いのは、イスラエル、フィリピン、韓国などの国々で、全て80%以上だった。日本も67%と多い。調査対象国全体では、米国に好意的な見方をする人は50%で、昨年と同様だったが、オバマ前政権時代の64%からは大きく減少した。一方、否定的な見方をする人は、昨年の39%から43%に増加している。
トランプ大統領の指導力については、スペインでは7%、フランスでは9%、ドイツでは10%しか評価する人はいなかった。そして25カ国中20カ国で、過半数がトランプ氏の指導力を信頼していないと回答した。米国の同盟国では特に否定的な意見が多い。
調査対象国全体では、27%の回答者がトランプ氏の指導力を信頼するとしたが、ロシアのプーチン大統領の30%、中国の習近平首席の34%を下回った。ドイツのメルケル首相の指導力を評価する人は52%と過半数を占め、フランスのマクロン大統領は46%だった。
トランプ氏への低評価にもかかわらず、63%の回答者が、米国が世界のリーダーであることを期待しており、リーダーには中国がより相応しいとした人の19%を大幅に上回った。但し、トランプ氏の「米国第一主義」を反映し、25カ国中19カ国では、大多数の人が、国際的な政策決定に際し、米国は他国の利害を考慮していないと答えた。
米国の同盟国では、トランプ政権の米国民の市民的自由に対する姿勢について、懐疑的な見方をする人が多く、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、カナダ、メキシコでは過半数が、同政権は個人の自由を尊重していないと回答している。
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