世銀の2018年世界経済成長率の予測は3.1%、昨年時予測をわずかに上方修正(2018/01/10)
世界銀行は9日、半期に一度の世界経済見通しを発表し、2018年の世界の経済成長率が3.1%となるとの予測を示した。昨年時の成長率予測の3.0%から上方修正する。
世界経済は、今年は3.1%と昨年時の事前予測3.0%からやや加速する見通しだ。投資や貿易の回復、資金調達条件の緩和等により、広範囲の分野にわたる世界的な景気回復の流れが持続していることによる。
世銀は、世界経済の成長率は今後数年間維持されると見ており、2019年には3.0%、20年も2.9%との見通しを示した。商品輸出国を中心とした新興国が成長に大きく寄与し、新興国全体の成長率見通しは、18年は4.5%、19年と20年は4.7%となっている。...
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世界経済は、今年は3.1%と昨年時の事前予測3.0%からやや加速する見通しだ。投資や貿易の回復、資金調達条件の緩和等により、広範囲の分野にわたる世界的な景気回復の流れが持続していることによる。
世銀は、世界経済の成長率は今後数年間維持されると見ており、2019年には3.0%、20年も2.9%との見通しを示した。商品輸出国を中心とした新興国が成長に大きく寄与し、新興国全体の成長率見通しは、18年は4.5%、19年と20年は4.7%となっている。世銀のジム・ヨン・キム総裁は、「世界経済の幅広い回復は喜ばしいことだが、現状に満足すべきではなく、各国が人的・物的資本に投資する良い機会と捉えるべきである。」と述べた。
世界経済の成長の下振れリスクが依然として残るとされており、資金調達条件の急激な厳格化や、米国の金融引き締めの実施、保護主義の高まり、トランプ米大統領の「米国第一主義」の貿易政策、北朝鮮や中東を巡る「地政学的な緊張の高まり」等が挙げられた。
米国経済は2018年には2.5%成長すると予測されており、昨年時の見込み2.3%を上回ったが、トランプ政権による大幅な減税を伴う税制改革の実施によるものである。但し、その後景気刺激策の効果が次第に弱まり、19年には2.2%、20年は2.0%と減速していく。
中国の成長率は引き締め政策により、2018年には6.4%、19年は6.3%で、17年の6.8%から減速するとされている。主要な下振れリスクとしては、金融業界の脆弱さ、先進国の保護主義の政策の導入の可能性、北朝鮮の地政学的リスク等がある。
欧州については、域内の需要がやや陰りを見せ、金融刺激策も徐々に講じられなくなることから、2018年には2.1%、19年には1.7%と、17年の2.4%から減速するという。
日本の経済成長率は、2018年は1.3%と予測されており、財政面での金融刺激策が取られなくなること、輸出の伸びが鈍化すること等により、17年の1.7%から減速する。19年にはさらに減速して0.8%に、同年10月に予定される消費税の10%への増税により、20年には0.5%となる。高齢化や労働力不足等が成長の足かせとなると見られている。
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トランプ米大統領、ダボス会議出席へ(2018/01/10)
トランプ米大統領は、今月下旬にスイスのダボスで行われる世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に出席する。9日にホワイトハウスが発表した。
トランプ大統領は、世界の政府要人やグローバル企業の経営者、著名な銀行家や投資家、学者らが一堂に会する世界経済フォーラムの年次総会、いわゆる「ダボス会議」に出席する。今年の会議は1月23~26日に開催されるが、現職米大統領の出席は、2000年のビル・クリントン大統領以来18年ぶりとなる。昨年はバイデン副大統領が出席した。
ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は声明で、「トランプ大統領は、会議への出席を、自身の米国第一主義の方針を世界の指導者らとともに前進させていく機会として歓迎する。...
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トランプ大統領は、世界の政府要人やグローバル企業の経営者、著名な銀行家や投資家、学者らが一堂に会する世界経済フォーラムの年次総会、いわゆる「ダボス会議」に出席する。今年の会議は1月23~26日に開催されるが、現職米大統領の出席は、2000年のビル・クリントン大統領以来18年ぶりとなる。昨年はバイデン副大統領が出席した。
ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は声明で、「トランプ大統領は、会議への出席を、自身の米国第一主義の方針を世界の指導者らとともに前進させていく機会として歓迎する。大統領は今年の世界経済フォーラムで、米国のビジネス、産業界、労働者を強化するための自身の政策を訴えることを心待ちにしている。」と出席の目的等を説明した。
世界経済フォーラムの設立者で主宰のスイスの経済学者、クラウス・シュワブ教授は、トランプ大統領は米国の優先政策に関する率直な見方を伝えるとしている。また、主要な閣僚と有力議員らが大統領に同行することも明らかにした。
トランプ大統領はTPP交渉や、気候変動に関するパリ協定からの離脱を主張し、NAFTAからの脱退をちらつかせて見直しを求め、中国に貿易制裁を科し、イランとの核合意を排そうとしている。今年の会議のテーマは「砕かれた世界で共有する未来を創出する」だ。会議のパネリストであるハーバード大学のケン・ロゴフ教授は、トランプ大統領には「数量化が難しい出鱈目さや政策の不確実性がある」と述べ、経済拡大のリスクと表現した。
昨年の同会議では、トランプ新大統領の米国第一主義がまさに議論の中心となり、その保護主義的な政策が世界の経済に与える影響についての議論が活発に行われた。中国の習近平主席が、対中貿易に強硬姿勢を示すトランプ氏の主張に反論する形で、貿易戦争や保護主義を排し、自由貿易の推進を呼びかけ、大きな存在感を示している。
今回トランプ大統領は、法人税の大幅な減税等を盛り込んだ税制改革の実現や、株価の上昇等による好調な経済といった、就任から約1年の実績をアピールすると思われるが、自由貿易の象徴であるダボス会議で、世界の政財界の指導者らに対し、具体的に何を主張するのかが注目される。
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