トランプ米政権が輸入制限、太陽光パネルと洗濯機に追加関税(2018/01/23)
トランプ米大統領は22日、国内メーカーの保護を目的として、輸入が急増している太陽光パネルと洗濯機に対する緊急輸入制限(セーフガード)の発動を承認したと米通商代表部(USTR)が発表した。米通商法201条による措置であり、発動は16年ぶりとなる。
不公正な貿易慣行には断固たる措置を取ると常々主張してきたトランプ大統領は、今後海外から輸入された太陽光パネルに最大30%、洗濯機に最大50%の追加関税を段階的に課すことを承認した。大統領の「米国第一主義」の外交政策を示すものだが、米国への輸出を拡大している中国などとの貿易摩擦が激化する可能性がある。
米通商代表部のロバート・ライトハウザー代表は「大統領の決定は、トランプ政権が、米国の労働者、農民、牧場経営者、企業などを常に保護していくことを再度明確化するものだ。...
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不公正な貿易慣行には断固たる措置を取ると常々主張してきたトランプ大統領は、今後海外から輸入された太陽光パネルに最大30%、洗濯機に最大50%の追加関税を段階的に課すことを承認した。大統領の「米国第一主義」の外交政策を示すものだが、米国への輸出を拡大している中国などとの貿易摩擦が激化する可能性がある。
米通商代表部のロバート・ライトハウザー代表は「大統領の決定は、トランプ政権が、米国の労働者、農民、牧場経営者、企業などを常に保護していくことを再度明確化するものだ。」と声明で強調した。今回の太陽光パネルと洗濯機に関する措置は、1974年米通商法の201条に基づくものであり、同条項は、大統領に国内産業を保護するために関税を課す広範な権限を与えている。
太陽光パネルの関税は、米国際貿易委員会(ITC)が、中国からその多くが輸入されているパネルが米国メーカーの利益を損ねていると認定し、昨年10月に勧告した35%より低率となった。ITCは倒産した米国のパネルメーカー、サニバ(Suniva)社他の訴えを認めている。但し、米国には輸入した太陽光パネルの設置などに関わる業者が多く、そうした国内の雇用が失われる危険性もはらんでいる。
洗濯機の関税については、トランプ大統領は、米国の洗濯機メーカーのワールプール(Whirlpool)社の主張を認定した昨年11月のITCの勧告に従った。ワールプールは、韓国のサムスン電子とLGエレクトロニクスが、米国で公正な市場価格より安い価格で洗濯機を販売したと主張していた。大統領は、住宅向け洗濯機について、ITCの最も厳しい勧告を受け入れ、120万台までの輸入については20%の関税を、それ以上については50%の関税を初年度に課し、その後2年間で低減させていく措置を命令した。
今回の輸入制限を皮切りに、今後米国の貿易に関しては様々な動きがありそうだ。今週、モントリオールで北米自由貿易協定(NAFTA)の改定に関する交渉が再開される。また、赤字が増加している韓国との貿易協定を巡る再交渉も最近開始された。
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世界の米国指導者への支持率が30%と過去最低に、国際調査(2018/01/20)
米国の調査会社ギャラップが18日に公表した、国際調査の結果によれば、米国の指導者に対する世界の人々の支持率は僅か30%で、2007年の調査開始以来の最低水準に落ち込んでいることが分かった。週末に多くの米メディアが報じている。
トランプ米大統領の就任以来1年が経過したが、米国の指導力に対する信頼度は過去最低水準にまで落ち込んでいる。米ギャラップ社の米国、ドイツ、ロシア、中国の指導者への支持率に関する調査によれば、米国の指導者に対する世界の人々の支持率は30%で、中国の指導者への支持率31%を1ポイント下回り、ロシアの27%を3ポイント上回っただけだった。トップはドイツで41%となっている。
米国の指導者への支持率は、オバマ前政権最終年度の2016年の48%から大きく低下、これまでの最低記録だったブッシュ(子)政権時代の最終年度の34%を4ポイント下回った。...
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トランプ米大統領の就任以来1年が経過したが、米国の指導力に対する信頼度は過去最低水準にまで落ち込んでいる。米ギャラップ社の米国、ドイツ、ロシア、中国の指導者への支持率に関する調査によれば、米国の指導者に対する世界の人々の支持率は30%で、中国の指導者への支持率31%を1ポイント下回り、ロシアの27%を3ポイント上回っただけだった。トップはドイツで41%となっている。
米国の指導者への支持率は、オバマ前政権最終年度の2016年の48%から大きく低下、これまでの最低記録だったブッシュ(子)政権時代の最終年度の34%を4ポイント下回った。オバマ前政権の最終年度には、米国はドイツを7ポイント、中国を17ポイント、ロシアを22ポイント引き離していたので、状況は1年で大きく変化したことになる。
今回、米国の指導者への支持率は、調査対象の約半数の65の国と地域で、10ポイント以上下落したが、特に米州、欧州の同盟国・協力国などでは低下が著しく、ポルトガル、ベルギー、ノルウェーでは40ポイント以上低下した。カナダでも前回の60%から20%に下落、メキシコでは44%から28ポイント下落して、過去最低の16%となった。ロシアでの支持率は、アイスランドと並び世界最低の8%だったが、前回の2%から上昇した。イスラエル、ベラルーシ、マケドニア、リベリアでは、10ポイント以上支持率が上昇した。
トランプ大統領の掲げる「米国第一主義」に基づく各種の政策は、TPP、NAFTA、気候変動に関する「パリ協定」、イラン核合意などの世界的な条約や同盟、貿易協定からの離脱や大幅な見直しなどを招いている。また、大統領が自身の言葉で発信するツイッターなどでの発言はしばしば物議を醸し、信頼できる同盟国や世界のリーダーとしての米国への信頼を揺るがしている。外交政策では、過激派組織IS(イスラム国)の掃討作戦や、アフガニスタン問題への対応、北朝鮮に対する強力な制裁の発動など、実績を挙げているものの、これらによっても世界的な不支持の傾向に歯止めを掛けられてはいない。
今回のギャラップ社の調査は、2017年3月~11月、世界の134の国と地域で、15歳以上の約1,000人を対象とし、対面と電話による聴取、アンケート調査などにより行われた。
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