米メディア、ロシアに続き中国の台頭を懸念するNATOが日本との連携強化に期待、と報道
ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長(64歳、2019年就任、首相に相当、元ドイツ国防相)は訪中して、台湾海峡の現状変更に反対する旨直接訴えた。それを後押しするかのように、訪欧中の林芳正外相(62歳、2021年就任)が北大西洋条約機構(NATO、1949年設立)との連携強化を表明しており、NATO側も、中国を牽制するために日本の支援は必要不可欠と強調している。
4月6日付
『ワシントン・ポスト』紙他複数のメディアが、
『AP通信』報道を引用して、NATOが中国牽制のため日本に期待していると訴えていると報じている。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長(64歳、2014年就任、元ノルウェー首相)は4月5日、NATO及びパートナー国外相会議の席上、欧州の安全保障はインド太平洋の安定と切っても切れない関係にあるため、NATOとしては、ロシアや中国の軍事的台頭に対峙していくため、“益々パートナー国との連携が重要になる”と訴えた。...
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4月6日付
『ワシントン・ポスト』紙他複数のメディアが、
『AP通信』報道を引用して、NATOが中国牽制のため日本に期待していると訴えていると報じている。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長(64歳、2014年就任、元ノルウェー首相)は4月5日、NATO及びパートナー国外相会議の席上、欧州の安全保障はインド太平洋の安定と切っても切れない関係にあるため、NATOとしては、ロシアや中国の軍事的台頭に対峙していくため、“益々パートナー国との連携が重要になる”と訴えた。
同事務総長は更に、その中でも日本とNATO間の相互協力が益々深まっており、“インド太平洋における中国牽制のため、日本との連携は不可欠だ”とも強調した。
これに先立って、同会議に出席した林芳正外相は、NATO自身も中国の台頭を懸念していることから、“日本としても、インド太平洋地域の安定強化のため、中国が関わる事象に積極的に関わっていく”と表明している。
同相はまた、“ロシアのウクライナ侵攻という暴挙を止めさせるため、厳しい対ロシア制裁を継続していくことが必要だ”、と強調した上で、“(中国を念頭に)世界の他地域でもかかる暴挙が行われないよう、民主主義の価値を共有する国々が一致団結して対応していくべきだ”と訴えている。
日本のNATOへの直近の関わりは顕著で、3月には地震被害に遭ったNATO加盟国のトルコに対して、NATO主導で編成された災害救助部隊に航空自衛隊機が初めて加わっている。
また、同時期に岸田文雄首相(65歳、2021年就任)がウクライナを電撃訪問した上で、NATO基金を通じて、ウクライナ側に非致死性兵器を提供する旨表明している。
ただ、ある外務省高官は、“NATO加盟国と違って、パートナー国としてできることは限りがある”と吐露している。
何故なら、NATOは軍事同盟であり、ある加盟国に軍事攻撃が加えられたら、NATO加盟国全体への攻撃と捉えて、全加盟国で当該攻撃に反撃することが義務付けられているからである。
そこで、同高官としては、情報共有、サイバー空間や宇宙分野、更には偽情報の撃退等で協力していくことは可能である、と了解している。
また、元航空自衛隊中将で欧州安全保障専門家の長島純氏(62歳、2019年退官)も、“NATOとしては中国を理解するのは難しいことであるので、日本の中国に対する洞察力を必要としている”とコメントしている。
特に同氏は、もし中国による台湾軍事侵攻が起こった場合、偽情報による攪乱やサイバー攻撃が頻発することが懸念されることより、この点での日本・欧州の相互協力がより効果を発揮することになる、と分析している。
なお、NATOとパートナー国外相会議には、日本の他、韓国、豪州、ニュージーランドが参加している。
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ロシア、日本海で巡航ミサイル発射
ロシアが28日、極東ウラジオストク沖の日本海で超音速ミサイルの発射訓練を実施した。ウクライナ侵攻後、こうした日本海での軍事行動が目立っている。
3月28日付米
『ワシントン・ポスト』(AP通信):「ロシア、日本海で対艦ミサイル演習と発表」:
ロシア国防省は28日、ミサイル艇2隻から、100キロ先の仮想標的へのミサイル攻撃演習を行ったと発表。「モスキート」巡航ミサイルは標的に命中したとしている。
NATO(北大西洋条約機構)が「モスキート」と呼ぶミサイルは、SS-N-22(ロシアの対艦ミサイルに付けられた米国防総省報告番号)でNATOコードネームは「Sunburn」(日焼け)。...
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3月28日付米
『ワシントン・ポスト』(AP通信):「ロシア、日本海で対艦ミサイル演習と発表」:
ロシア国防省は28日、ミサイル艇2隻から、100キロ先の仮想標的へのミサイル攻撃演習を行ったと発表。「モスキート」巡航ミサイルは標的に命中したとしている。
NATO(北大西洋条約機構)が「モスキート」と呼ぶミサイルは、SS-N-22(ロシアの対艦ミサイルに付けられた米国防総省報告番号)でNATOコードネームは「Sunburn」(日焼け)。超音速対巡航ミサイルで核弾頭搭載可能。旧ソ連製で、音速の3倍、最大250キロで飛行する。
同省は、演習は日本海の北西部、ロシア沿海南部のピョートル大帝湾で他の戦艦や海軍機を含んで行われたとしたが、詳細には触れていない。ピョートル大帝湾には、フォキノのロシア太平洋艦隊本部があり、北海道からは約700キロに位置する。
ロシア軍はウクライナ侵攻が2年目となる中、兵士の訓練と軍事力の誇示を目的として、沿海での軍事演習を継続している。
日本は、このミサイル演習は両国が接する沿海ではなく、ウラジオストク沿海で行われたことから、磯崎副内閣官房長官が、この地域で「活動を活発化させているロシア軍の動向を注視する」とする等、静観する姿勢となった。
同日付米『CNN』:「ロシアが日本沖の海域で巡航ミサイル発射訓練」:
ロシアの太平洋艦隊は28日早朝、日本海沿海で超音速ミサイルの演習を行った。ロ国防省がSNS「テレグラム」への投稿で明らかにした。
このミサイルは、最大120キロ先の戦艦への攻撃が可能だとされている。ロシアは今月も日本海で演習を行っており、ウクライナ侵攻でも使用されている「カリブル巡航ミサイル」を1000キロ先の標的にむけ発射している。
また先週には、岸田首相がウクライナを訪問した際、同日にロシアの戦略爆撃機2機が日本沿岸を7時間以上飛行する事態が起きている。
岸田氏は昨年、ロシアの侵攻に強く反発し、「今日のウクライナは明日の東アジアだ」と危機感を示していた。先月にはウクライナへの追加支援を宣言した後、「ロシアによるウクライナ侵攻は欧州のみならず、国際秩序を揺るがす暴挙」だと述べていた。
日本とロシアも、数十年に及ぶ領土問題を抱えている。日本は、ロシアの占領地「クリル諸島」(千島列島)の正当な領有権を求めており、紛争は第二次大戦末期に旧ソ連軍が占拠して以来継続している。
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