アイルランドのファーストフード店が世界大手のマクドナルドに一矢【欧米メディア】(2024/06/07)
アイルランドのファーストフード店が訴えていた「ビッグマック」名称使用に関し、欧州裁判所が世界大手のマクドナルド(1940年創業)に対して、欧州においてはチキンバーガーに使用することを制限する決定を下した。
6月5日付欧米
『ロイター通信』、アイルランド
『RTE』(同国公共放送局)は、欧州裁判所がアイルランドのファーストフード店の訴えの一部を認め、世界大手のマクドナルドに対して、欧州においてチキンバーガーサンドイッチ等に「ビッグマック」との商品名を付けることを制限する決定を下したと詳報している。
世界大手のファーストフードチェーンのマクドナルドは、欧州に展開するに当たって1996年に、「ビッグマック」という商標登録をしていた。...
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6月5日付欧米
『ロイター通信』、アイルランド
『RTE』(同国公共放送局)は、欧州裁判所がアイルランドのファーストフード店の訴えの一部を認め、世界大手のマクドナルドに対して、欧州においてチキンバーガーサンドイッチ等に「ビッグマック」との商品名を付けることを制限する決定を下したと詳報している。
世界大手のファーストフードチェーンのマクドナルドは、欧州に展開するに当たって1996年に、「ビッグマック」という商標登録をしていた。
このため、欧州のファーストフード店は、自社商品のハンバーガー等に「ビッグマック」という商品名を付けることを制限されていた。
そこで、アイルランドのファーストフード店のスーパーマックス(1978年創業)は2017年、欧州連合知的財産庁(EUIPO、1999年設立)に対して、マクドナルドが直近5年間に当該商標を使用していないとして、同商標を取り消すよう求めた。
EUIPOは2019年、スーパーマックスの訴えを一部認め、「ビッグマック」の商標登録を取り消したことから、スーパーマックスは自社バーガーに「ビッグマック」の名前を使用できるようになったものの、同時にマクドナルドがビーフバーガーのみならずチキンバーガー等に今後も「ビッグマック」名を使用することも認めていた。
しかしながら、スーパーマックスの創業者兼オーナーのパット・マクドナー氏(71歳)は、“2019年の決裁以降も、マクドナルドは我々が欧州地域で「ビッグマック」を使用して店舗展開することを阻止しようとしてきた”と非難していた。
そこで同氏は改めて欧州司法裁判所(ECJ、1958年前身設立)に訴えていたところ、ECJが6月5日、同氏の訴えを一部認め、マクドナルドがチキンバーガー等に「ビッグマック」名を冠することを制限する旨決定した。
同氏はこの決定を受けて、『RTE』のインタビューに答えて、“アイルランドの中小企業が世界大手の多国籍企業に挑んだ結果、漸く勝利することができた”とし、“世界大手と言えども、一旦商標登録した上で、(それを使用することなく)他社の商品販売に間接的にも制限を加えることは許されないことが明らかになった”と歓迎した。
なお、マクドナルドはこの裁定に対して、“ECJの決定は、「ビッグマック」という商標を使用する当社の権利に何ら影響を与えない”とした上で、“当社の「ビッグマック」という商品名は、欧州地域においても何十年も親しまれてきている”とコメントしている。
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生成AIを使用したプロパガンダ拡散(2024/05/31)
チャットGPTを開発した米「オープンAI」社は、同社の生成AIを使い、中国、イラン、ロシア、イスラエルの集団が誤情報を拡散していたとしている。米大統領選が近づく中、AI技術の濫用への懸念が高まっている。
5月30日付米
『ワシントン・ポスト』:「ロシアと中国の集団がAI技術を悪用しプロパガンダ拡散」:
チャットGPTを開発したオープンAI社は30日、同社の生成AIを使って世界的に政治世論工作を図っていたロシア、中国、イラン、イスラエルの集団を確認したことを公表した。
今年の米大統領選が近づく中、闇のプロパガンダ活動が生成AIを用いて容易に行われるのではないかとの懸念が高まっている。...
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5月30日付米
『ワシントン・ポスト』:「ロシアと中国の集団がAI技術を悪用しプロパガンダ拡散」:
チャットGPTを開発したオープンAI社は30日、同社の生成AIを使って世界的に政治世論工作を図っていたロシア、中国、イラン、イスラエルの集団を確認したことを公表した。
今年の米大統領選が近づく中、闇のプロパガンダ活動が生成AIを用いて容易に行われるのではないかとの懸念が高まっている。
同社は、ロシア、中国、イランの有名プロパガンダに関連したアカウントを削除。これらの集団は同社のAI技術を使って、投稿をしたり、別の言語に翻訳したり、ソーシャルメディアへの自動投稿を可能にするソフトウェアを構築していたという。
だがいずれもそれほどの注目はなく、関連アカウントへのアクセスも殆ど無く、僅かなフォロワーがいるのみだった。だが、同社のレポートによると、生成AIを使用した集団は、大量のテキストを、以前と比べ、殆どミスなく生成していることが確認されたという。そのため、「他の集団も行う可能性もあり、看過する時ではない。歴史をみると、世論工作は何年も失敗を積み重ねるが、見過ごすとある時突然ブレークスルーを遂げる」と懸念を示している。
中国の「スパムフラージュ」と呼ばれる集団はソーシャルワーク上のリサーチ活動でAIを使用し、中国語、韓国語、日本語、英語での投稿を行っていたという。イランの「国際バーチャルメディア連合」という集団は、自身の記事作成に同社のAIを使っていた。
ロシアの「バッドグラマー」という初登場の集団は、テレグラムアプリに自動的に投稿を行うプログラムで、ロシア語や英語で「米国はウクライナを支援すべきではない」と主張する内容のコメントを投稿させていたという。また、イスラエルの「STOIC」という政治的活動企業は、カナダ、米国、イスラエル向けに、ガザ戦争に関してイスラエル寄りの投稿させていたという。
フェースブックを運営するメタ社も29日、「STOIC」の活動を公表、同集団によるフェースブックの510個、インスタグラムの32個のアカウントを削除したとしており、中にはハッキングされたアカウントもみられたという。
5月31日付米『ロイター通信』:「オープンAIがAIを不正操作した工作活動を摘発」:
オープンAIのサム・アルトマン氏は30日、インターネット上で同社のAIを使い「工作活動」を図っていた5つの活動を阻止したと発表。
工作活動は過去三ヶ月にわたり、偽名やプログラムで様々な言語を使い、短文コメントや長文記事を生成していたという。これらはロシア、中国、イラン、イスラエルによるもので、ロシアのウクライナ侵攻、ガザ紛争、インド総選挙や欧米の政治等の問題を話題にしたものだったという。
オープンAI社は28日、幹部による安全とセキュリティ委員会を設置。これらの工作活動では、AI生成物だけでなく、手動で書かれたテキストやネット上からコピーしたとみられる情報や画像も含まれていたという。
メタ社は、29日の四半期セキュリティレポートで、「AI生成のような」内容の投稿がフェイスブックやインスタグラムで確認されたとしている。例としては、各国ニュース機関や米議員の投稿の下に、イスラエルのガザ戦争での対応を賞賛するコメントがみられたという。
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