昨年の化石燃料消費量、インド・中国での大幅増により史上最多を記録【欧米メディア】(2024/06/22)
昨年末の国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、「化石燃料からの脱却に向けたロードマップ」が承認されたものの、長らく求められてきた「石油・石炭・天然ガスの段階的廃止」については何ら合意されなかった。その懸念が増幅するかのように、2023年の化石燃料消費量が史上最多となったことが分かった。
6月20日付米
『CNNニュース』、21日付欧米
『ロイター通信』は、世界を異常気象が襲う中、その主要因と考えられる化石燃料消費量が昨年史上最多となったと報じている。
世界では、熱波、集中豪雨、大干ばつ等、地球温暖化に伴う異常気象が発生している。
直近でも、インドやサウジアラビアを襲った熱波によって、多くの人が犠牲になっている。
その地球温暖化を引き起こす主要因として、石油・石炭・天然ガスの化石燃料消費が考えられるが、直近で発表された研究報告書によると、2023年における化石燃料消費量は史上最多となったという。...
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6月20日付米
『CNNニュース』、21日付欧米
『ロイター通信』は、世界を異常気象が襲う中、その主要因と考えられる化石燃料消費量が昨年史上最多となったと報じている。
世界では、熱波、集中豪雨、大干ばつ等、地球温暖化に伴う異常気象が発生している。
直近でも、インドやサウジアラビアを襲った熱波によって、多くの人が犠牲になっている。
その地球温暖化を引き起こす主要因として、石油・石炭・天然ガスの化石燃料消費が考えられるが、直近で発表された研究報告書によると、2023年における化石燃料消費量は史上最多となったという。
英国非営利法人エネルギー研究所(EI、注後記)、英国経営コンサルタント会社KPMG(1987年設立)、及び米経営コンサルタント会社A.T.カーニー(1926年前身マッキンゼー・シカゴ設立)が共同で分析・評価したもので、6月20日に公表された同報告書骨子は以下どおりである。
<全体>
・石油、石炭、天然ガス消費量は前年比+1.5%増。特に、石油の消費量が初めて1日当たり1億バレル(約1,600万キロリットル)超となったことが主要因。
・上記より、化石燃料燃焼に伴って発生した二酸化炭素量は、前年比+2.1%増えて史上最多となる400億トン超。
・化石燃料生産量は、エネルギー源全体の81.5%で、僅かながら前年比▼0.5%減。これは、化石燃料以上に再生可能エネルギー生産が増えたことによる。
・主要先進国における化石燃料消費量はピークを迎え、今後漸減傾向。米国では総エネルギー消費量の80%に、また、欧州でも産業革命以来となる70%以下に減少。
・ガソリン消費量は日量2,500万バレル(約400万キロリットル)と、コロナ禍前の2019年実績をわずかに上回る程に回復。
・再生可能エネルギー(水力除く)は前年比+13%と過去最大レベル。前年比+67%増となった風力と太陽光発電の増加が主要因。なお、総エネルギー源に占める割合では8%と前年比+0.5%増。
・水力を含めた再生可能エネルギーが占める比率は全体の15%。
<各国・地域状況>
・中国では、「ゼロコロナ政策」終焉に伴う電力需要急増によって化石燃料消費量が+6%増と過去最高を記録。但し、それ以上に再生可能エネルギーが増加(世界の再生可能エネルギーの63%を占める程)したため、エネルギー源全体では化石燃料比率は減少。
・インドでは、化石燃料消費量が+8%増加。特に石炭消費量は過去最大となり、北米・欧州合計消費量を上回る程。
・欧州全体の天然ガス消費量は前年比▼7%。また、そのうちロシア産天然ガス供給量は2021年(ウクライナ戦争前)の45%から15%まで大幅減少。
・米国における石炭消費量は前年比▼17%減少で、過去10年間で半減。
EIのジュリエット・ダベンポート所長(55歳、2022年就任)は、“世界全体でエネルギー消費量が最大化されており、それを化石燃料で補う結果となっている”とコメントしている。
また、KPMGのサイモン・バーリー副会長兼エネルギー・天然資源部門長も、“再生可能エネルギーの貢献度が過去最高を記録したものの、世界のエネルギー需要が増加し続けていることから、化石燃料由来のエネルギー比率が実質的に変わっていないことを意味している”と述べている。
(注)EI:2003年設立の英国非営利法人。公共の利益のためのすべての用途でエネルギーと燃料の科学を促進するために設立。
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ブラジル、西側諸国の期待に応えて中国独占のレアアース市場参入を画策【欧米メディア】(2024/06/18)
2023年9月26日付GLOBALi
「ベトナム、中国独占支配のレアアース牙城を崩すべく大増産計画」で報じたとおり、ベトナムは国際社会において独自の立場を強化すべく、世界市場で求められているレアアース(注1後記)について、中国独占支配の牙城を崩すべく大増産計画を進めている。そうした中、今度は世界第3位のレアアース埋蔵量を誇るブラジルが、レアース供給元の脱中国を目指す西側諸国の期待に応えるべく、レアアース生産体制構築を図ろうとしている。
6月17日付
『ロイター通信』は、ブラジルが中国牙城となっているレアアース市場に割って入ることを画策していると報じた。
レアアースは、再生可能エネルギー生成や防衛装備品に必要な永久磁石等を作るためになくてはならない希少金属の一種である。
米国地質調査所(USGS、1879年設立)によれば、中国が世界埋蔵量(注2後記)の多くを保有しているのみならず、2023年の生産量が24万トンと世界第2位の米国の5倍以上であるという。...
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6月17日付
『ロイター通信』は、ブラジルが中国牙城となっているレアアース市場に割って入ることを画策していると報じた。
レアアースは、再生可能エネルギー生成や防衛装備品に必要な永久磁石等を作るためになくてはならない希少金属の一種である。
米国地質調査所(USGS、1879年設立)によれば、中国が世界埋蔵量(注2後記)の多くを保有しているのみならず、2023年の生産量が24万トンと世界第2位の米国の5倍以上であるという。
その上、米国及びその他西側諸国は、風力タービン・電気自動車・ミサイル用の永久磁石製造に使用される精製レアアースの約90%を中国に頼っている。
ところが、2020年初め拡大のコロナ禍でレアアース含めた供給チェーンに大きな混乱を来したこともあって、中国リスクを下げるべく、2027年までにレアアースの代替供給元を構築するとの方針を打ち出すに至った。
そこで新たな供給元候補として挙がったのがブラジルである。
ブラジル政府も今年2月、レアアースを含めた鉱物資源開発・生産体制強化のために10億レアル(1億9,453万ドル、約307億3千万円)を資金援助する方針を発表した。
鉱山エネルギー省は声明文で、当該鉱物の開発・生産のみならず、これら鉱物を精製してバッテリー・風力タービン・モーター用の合金を生産する工場まで立ち上げる意向だと言及している。
ただ、レアアース生産世界第3位の豪州や4位のベトナムと同様、ブラジルにおいても、中国のように大量精製する技術がまだ十分確保されていない上、直近2年でレアアース市場価格が70%も値崩れしていることもあって、現実問題として、新規プロジェクトの立ち上げには時間がかかっている。
まず、同国中東部ゴイアス州のセハ・ベルジ希土類プロジェクトは今年5千トン体制で立ち上げられるが、実生産まで漕ぎ着けるのに15年も要している。
ただ、セハ・ベルジのスラス・モレイティス最高経営責任者(CEO)によれば、2030年までに生産を倍増する計画で、同プロジェクトは長期的に競争力あるレアアースを生産・供給するとしている。
2番目のプロジェクトが、豪州のメテオリック・リソーシズが開発計画を進めている南東部ミナス・ジェライス州のカルデイラ・プロジェクトである。
同社は、2025年後半までに開発着手の投資決定を行う意向だとしているが、ニック・ホルトハウスCEOによると、資金手当てに難儀しているという。
ただ、同社は今年3月、米国輸出入銀行(1934年設立)から最大2億5千万ドル(約395億円)の融資を受ける話がまとまっている。
3番目は、ブラジリアン・レアアースズが同国北東部で進めようとしているプロジェクトである。
同社は、豪州富豪のジーナ・ラインハート氏(70歳、鉱物探査採掘会社ハンコック・プロスペクティング会長で豪州鉱山王の異名を持つ)から巨額の資金援助を受けている。
同社のベルナルド・ダ・ベイガCEOによれば、ブラジルにおける鉱山操業費は競争相手となる豪州鉱山より遥かに低く抑えられるので、技術確立次第であるが十分採算が取れるとする。
例えば、ブラジルの大型トラック運転手の給料は平均約1万5千ドル(約230万円)で、豪州の20万豪州ドル(13万3千ドル、約2,100万円)と比べて遥かに安いという。
なお、カナダの独立系金融サービス会社カナコード・ジェニュイテイのレッグ・スペンサー氏の分析・評価によれば、ブラジル在のこれら2、3のレアアース・プロジェクトが立ち上げられて、2030年までには世界第3位の豪州を凌ぐ生産量を達成する可能性があるとする。
(注1)レアアース(希土類元素):31鉱種あるレアメタル(希少金属、和製英語で英語圏ではマイナーメタルと呼称)の中の1鉱種で、スカンジウム、イットリウムの2元素と、ランタンからルテチウムまでの15元素の計17元素の総称。レアアースは蓄電池や発光ダイオード、磁石などのエレクトロニクス製品の性能向上に必要不可欠な材料。具体的用途は、超強力磁石の磁性体(モーター、バイブレータ、マイク、スピーカーなど)、ガラス基板研磨剤(ディスプレイ、HDDなど)、蛍光体(照明、ディスプレイ、LEDなど)、光ディスク(DVD、CD、Blu-ray Disc)、石油精製触媒、自動車用排気ガス浄化触媒、レーザー、原子力産業(制御棒、核燃料添加剤など)、光学ガラス(望遠鏡、顕微鏡、カメラ、プリズムなど)、ニッケル・水素充電池等広範囲。
(注2)レアアースの世界埋蔵量:約1億1千万トンで、内訳は中国4,400万トン(40%)、ベトナム2,200万トン(20%)、ブラジル2,100万トン(19.1%)、ロシア1千万トン(9.1%)、インド690万トン(6.3%)、その他610万トン(5.5%)。
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