シャープ親会社、インド工場で雇用差別スキャンダル【欧米メディア】(2024/06/29)
シャープ(1935年創業)の親会社の鴻海精密工業(ホンハイ、Foxconn、1974年設立、2016年シャープ買収)がこの程、インドの電子機器製造工場で雇用差別を行ってきたと糾弾されている。
6月25日付
『ロイター通信』は、世界最大の電子機器受託生産企業のFoxconnが、インドの電子機器製造工場で既婚女性を雇用しないとする不公平労働慣行を敷いていると詳報した。
世界最大の電子機器受託生産企業のFoxconnは、米アップル(1976年設立)の主要サプライヤーとしてスマートフォン等電子機器の旺盛な需要に応えるため、インドにおいても複数の製造工場を保有し、また、新設している。
ところがこの程、同社タミル・ナードゥ州(インド南東端)のスリペルブドゥール工場で、既婚女性を雇用しない慣行が取られていることが判明した。...
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6月25日付
『ロイター通信』は、世界最大の電子機器受託生産企業のFoxconnが、インドの電子機器製造工場で既婚女性を雇用しないとする不公平労働慣行を敷いていると詳報した。
世界最大の電子機器受託生産企業のFoxconnは、米アップル(1976年設立)の主要サプライヤーとしてスマートフォン等電子機器の旺盛な需要に応えるため、インドにおいても複数の製造工場を保有し、また、新設している。
ところがこの程、同社タミル・ナードゥ州(インド南東端)のスリペルブドゥール工場で、既婚女性を雇用しない慣行が取られていることが判明した。
同社の行動規範は、「違法な差別のない労働力にコミットし、会社とそのサプライヤーは、雇用において婚姻状況、性別、その他の要因を差別してはならない」と記載されていて、更に、委託元のアップルにおいても、「サプライヤーとその子会社、および下請け業者は、年齢、性別、婚姻状況、その他の事項に基づいて労働者を差別してはならない」と規定されているにも拘らず、である。
『ロイター通信』は、2023年1月から今年5月までの間、20回以上も同州スリペルブドゥールを訪れ、同社工場への求職者や、同社が人材派遣を委託している人材派遣業者等に取材した結果、以下のような証言を得ている。
● 2人の20代の姉妹は、2023年3月に同社工場に赴いたところ、「既婚」であることを理由に門前払いされたと証言。
● 別の3人の女性も、人材派遣業者に求職申し込みを行ったところ、採用条件に「未婚」と謳われていたため断念せざるを得なかったと証言。
● Foxconnインディアの元人事担当幹部のS・ポール氏(昨年8月退社)は、同社が、未婚女性よりも家庭の事情で勤務状況がより制約されることや、出産して長期休業する可能性等から、既婚女性の雇用を見合わせており、その旨人材派遣業者にも通知済みと証言。
● ポール氏の証言は、インド国内のFoxconnの人材派遣会社12社以上の従業員17人と、同社の現、元人事幹部4人によっても裏付け。
● 更に、多くの別の証言者は、ヒンドゥー教徒の既婚女性が、南インドでメッティとして知られる金属製のつま先リングや、結婚の絆を示すターリと呼ばれるネックレスを身に着けていることが問題であるとし、何故なら、かかる装飾品は製造工程の妨げになる可能性があると指摘。
● すなわち、既婚女性は通常、装飾品を外さないため、これら装飾品の金属が万一スマートフォン部品に接触したときに静電気放電が発生し、損傷する恐れがあるため。
『ロイター通信』の取材に対して、米アップル及びFoxconnは、2022年における雇用慣行の誤りを認め、問題への対処に取り組んできたと回答してきたものの、上述するどおり、『ロイター通信』の調査結果では、スリペルブドゥール工場での差別的慣行はすべて2023年から2024年の間に行われていることが分かっている。
なお、ナレンドラ・モディ首相(73歳)は2014年就任以来、インド繁栄の一環で女性を所得増加政策の中心に据えてきており、昨年8月の閣僚会議においては、“女性が繁栄すれば、インドも世界も繁栄する”とした上で、“我々は、市場、グローバル・バリューチェーン、適正な金融への女性のアクセスを制限する障壁を取り除く必要がある”と強調している。
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過激派フーシ派の紅海航行の商船攻撃の影響によりアジア諸港でコンテナ船異常滞留【欧米メディア】(2024/06/28)
多くの貨物船が、紅海におけるイエメンの反政府武装集団フーシ派(1994年活動開始)による商船攻撃を避けるため、紅海を避けてアフリカ南端喜望峰へ迂回している。この結果、長距離航行による貨物船運賃の高騰のみならず、特にコンテナ船(原材料・精密部品・食料品・雑貨等の輸送船)の絶対数不足を補うためにシンガポール等のハブ港での小型貨物船への積み替え頻発によるコンテナ船異常滞留を引き起こしている。
6月26日付
『ロイター通信』は、紅海における商船攻撃を避けての長距離航行に伴い、大型コンテナ船がシンガポール等ハブ港で異常滞留する事態となっていると報じた。
シンガポールを含めたアジアのハブ港で異常滞船が発生している。
海運データ収集・分析のライナーライティカ社(2020年設立)によると、世界中のコンテナ・ターミナルでのコンテナ船の滞船が直近1年半で最悪となっていて、特にアジアのハブ港では、6月中旬現在、全世界の60%ものコンテナ船が異常滞船しており、滞留貨物は240万TEU(20フィート・コンテナ換算個数)余りに及ぶという。...
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6月26日付
『ロイター通信』は、紅海における商船攻撃を避けての長距離航行に伴い、大型コンテナ船がシンガポール等ハブ港で異常滞留する事態となっていると報じた。
シンガポールを含めたアジアのハブ港で異常滞船が発生している。
海運データ収集・分析のライナーライティカ社(2020年設立)によると、世界中のコンテナ・ターミナルでのコンテナ船の滞船が直近1年半で最悪となっていて、特にアジアのハブ港では、6月中旬現在、全世界の60%ものコンテナ船が異常滞船しており、滞留貨物は240万TEU(20フィート・コンテナ換算個数)余りに及ぶという。
コロナ禍以来の異常滞船であるが、当時の買い控えに伴う貨物滞留ではなく、今回の大きな原因は、イエメンのフーシ派による紅海航行の商船へのミサイル攻撃を避けた多くのコンテナ船がアフリカ南部への長距離迂回航行に伴い、運航スケジュールが大幅に遅延していることと寄港先の減少である。
すなわち、長距離運航に伴う運賃高騰に対処するため、多くの荷主がより大きなコンテナ船での運航とした上で、シンガポール等のハブ港で小型コンテナ船への積み替えを行い、最終目的地まで運搬する方策が取られているからである。
特に、世界第2位のコンテナ・ターミナルを抱えるシンガポールでは、直近数週間で多くのコンテナ船が異常滞船している。
シンガポール海事港湾局(1996年設立)によると、通常のコンテナ船の積揚げ荷役は1日未満であるのに対して、5月末時点でのコンテナ船の滞船日数は2~3日に及ぶという。
ただ、ライナーライティカ社のデータによれば、滞船は1週間にも及んでいるとする。
更に、シンガポールでの滞船を避けた大型コンテナ船がマレーシアのポートクラン(中西端)、タンジュンペラパス港(南端)に回り、そこでも滞船が発生しているばかりか、中国の上海、青島港でも異常滞船に見舞われている。
一方、好景気の北米を中心として年末商戦に備えた貨物大量輸送時期が1ヵ月程早まり、米国におけるコンテナ船運航もより逼迫している。
世界最大規模の全米小売業協会(1911年設立)のジョナサン・ゴールド副会長(2007年就任)は、“米国の消費者は昨年以上に購買意欲が旺盛のため、小売業界は年末商戦に備えて早めにかつ大量に在庫積み上げを図ろうとしている”とする。
よって、ドイツの国際物流大手DHL(1969年設立)アジア太平洋支社のニキ・フランク社長(2023年就任)によると、特に米国向けの貨物運送の時期が早まっているだけでなく貨物量も増加していることから、コロナ禍後のインフレーションと相俟ってコンテナ運賃が5月に入って急上昇しているという。
ロジスティクス関連データ収集・分析のデカルト社によれば、米国コンテナ・ターミナル10港における5月のコンテナ貨物受け入れ量は前月比+12%上昇し、昨年1月以来2番目に多くなっているとする。
かかる背景下、アジアから米国及び欧州向けコンテナ船運賃は2024年初めより3倍となっていて、また、シンガポール等アジアから米国東岸向けコンテナ船運賃は2022年9月以降最大となり、西海岸向けでは2022年8月以降同じく最大となっている。
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