フランスメディア、東日本大震災10年後の今も原発問題は解決されていないと報道(2021/03/11)
東日本大震災から10年。フランスの各メディアは、福島原発事故により、日本では放射能汚染の問題が今でも解決されていないという状況を伝えている。
仏放送局
『フランスアンフォ』は、2011年3月11日にチェルノブイリ以来の最悪の原発事故が発生したと報じている。原発事故が起きた福島には、巨大な津波が押し寄せ、10年後の今も、除染作業は続いており、地元の経済や生活は回復していないと伝えている。
地元に戻りたがらない多くの住民がいることや、放射性物質の影響で未だに人が住めない地域出身の女性は、夫を3年前に癌で亡くしたと伝えている。
10日に発表された国連の報告書によると、放射性物質の排出による健康への悪影響はないとされているが、福島の原発では、今も4,000人の作業員が働いており、800トンの高濃度放射能汚染された瓦礫の除去が必要とされている。...
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仏放送局
『フランスアンフォ』は、2011年3月11日にチェルノブイリ以来の最悪の原発事故が発生したと報じている。原発事故が起きた福島には、巨大な津波が押し寄せ、10年後の今も、除染作業は続いており、地元の経済や生活は回復していないと伝えている。
地元に戻りたがらない多くの住民がいることや、放射性物質の影響で未だに人が住めない地域出身の女性は、夫を3年前に癌で亡くしたと伝えている。
10日に発表された国連の報告書によると、放射性物質の排出による健康への悪影響はないとされているが、福島の原発では、今も4,000人の作業員が働いており、800トンの高濃度放射能汚染された瓦礫の除去が必要とされている。そして、この作業には何十年もかかると報じている。
仏公共ラジオ放送局『RFI』は次のように報じている。「2011年3月11日に福島県で発生した地震とそれに伴う津波により、10万棟以上の住宅が部分的または全面的に破壊された。10年後、公共復興事業の9割が完了したものの、この地域はいまだに再出発していない。また、福島県では、政府が原子力発電所からの100万トンの水の太平洋への放出を許可する手続きを進めており、懸念が高まっている」。
仏誌『レクスプレス』は、福島原発事故から10年、日本の原子力産業はいまだに低迷しており、国内の多くの原子炉が停止または解体される予定だと報じている。
同誌は、日本政府が、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げ、エネルギー依存度の高い日本のCO2排出量を削減するためにも、この産業を復活させることに賛成していると伝える一方で、福島第一原子力発電所の悲惨な状況も伝えている。
「2011年3月11日の津波で1号機から4号機が甚大な被害を受けた福島第一原子力発電所の敷地内では、毎日約5,000人が働いている。また、屋根が取れ、吹きさらし状態の1号機の一番上には、金属くずが散乱しており、災害の激しさを物語っている。いたるところに設置されている移動式線量計からの甲高い警告音は安心感を与えるものではない。この10年間、原子炉周辺は整地され、新しい堤防が築かれ、巨大なクレーンで無傷の燃料棒が取り外された。しかし、最も困難なのは、約900トンの溶融燃料と、高濃度の放射能を帯びたその他の破片を取り出すことだ。英国での特殊なロボットアームの開発はパンデミックの影響で遅れ、溶融燃料の取り出し開始は1年遅れの2022年となったが、解体作業には30年から40年はかかるため些細な遅れだと言える。」
同誌はさらに次のように伝えている。「2011年3月以前に54基あった日本の原子炉は、現在9基しか稼働しておらず、すでに24基の原子炉の解体が決定している。事故後、日本のすべての原子炉が停止し、国の原子力安全基準が大幅に強化された。公式データによると、国の電力生産における原子力の割合は、2011年以前は30%だったのに対し、2019年にはわずか6.2%となった。政府の現在の目標は、2030年までに20~22%に引き上げることだが、現在検討されているこの目標は、多くの専門家の目には達成不可能に映っている。」なぜならば、反対の声だけでなく福島原発以外の原子炉の解体や維持にかかる天文学的費用が壁となっているためだと報じている。
仏ラジオ局『ヨーロッパ1』は、日本の福島原発事故から10年、脱原発を決めた国もある。しかし、世界の電力生産量の約10%は原子力が占めており、依然として主要なエネルギー源であることに変わりはないと報じている。原子力が今も必要とされているのは、この10年間で、技術の進歩により自然エネルギーの収益性が格段に向上したためだという。
風力発電は10年間で70%、太陽光発電は90%コストが下がった一方で、原子力発電のコストは主に安全基準の厳格化により33%上昇した。しかし、再生可能エネルギーが発達すればするほど、天候に左右されやすい風力や太陽光を補う安定したエネルギー源が必要になる。そして、原子力以外にCO2を排出しない資源はないのである。CO2排出ゼロを目指しながら、再生可能エネルギーを大規模に開発するためには、原子力と組み合わせるしかないのである。例えば、フィンランドの緑の党は、再生可能エネルギーの欠点を補うために、国内の「エネルギーミックス」政策に原子力発電を導入することに賛成だと述べている。
同誌は、福島原発事故から10年、原子力発電は環境への貢献という新たな使命を得た、と報じている。
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フランス、16日から全土で午後6時以降外出禁止に(2021/01/15)
フランスのジャン・カステックス首相は14日、午後6時以降の外出禁止令を16日から少なくとも15日間、フランス東部地域から全土に拡大することを発表した。学校は通常通り開校するが、室内スポーツの授業は中止となる。18日からは、欧州連合(EU)域外から入国する渡航者は、新型コロナウイルス陰性証明の提出も義務付けられる。
フランス金融紙
『レゼコー』によると、フランスでは14日、過去24時間で新型コロナウイルスの新規感染者数は21,228人を記録し、282人が死亡した。現在コロナで入院している患者数は25,017人、24時間で248人増えている。集中治療室で治療を受けた患者数は2,726人、24時間で15人増えている。ウイルスの流行が収束する見通しがない中、カステックス首相は14日、1月頭からフランス東部の一部地域で取られていた午後6時以降の外出禁止令をフランス全土に拡大することを発表した。...
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フランス金融紙
『レゼコー』によると、フランスでは14日、過去24時間で新型コロナウイルスの新規感染者数は21,228人を記録し、282人が死亡した。現在コロナで入院している患者数は25,017人、24時間で248人増えている。集中治療室で治療を受けた患者数は2,726人、24時間で15人増えている。ウイルスの流行が収束する見通しがない中、カステックス首相は14日、1月頭からフランス東部の一部地域で取られていた午後6時以降の外出禁止令をフランス全土に拡大することを発表した。16日土曜日から最低でも15日間続く。
日刊紙『ル・パリジャン』によると、カステックス首相は、フランス本土の96県のうち、すでに午後6時以降の外出禁止令が出されている東部を中心とした25県では、外出禁止が午後8時以降となっている地域に比べて「新規感染者数の増加が2から3倍少ない」と述べ、「この対策は効果があるように思われる」と説明している。
16日以降、薬局を除くすべての店舗、及び図書館を含む公共文化施設が午後6時で閉店することが義務付けられる。この夜間外出禁止令に違反した場合、135ユーロ(約1万7千円)の罰金が科せられ、違反が繰り返された場合は最大3750ユーロ(約47万円)の罰金が科せられる。試験や通院などの必要不可欠な外出理由があれば免除されるが、外出証明書が続けて必要となる。
カステックス首相は14日の会見で、「科学評議会は、外出禁止令の有用性を確認した」として、フランスの状況は 「近隣隣国で観察されている状況と比較して制御されている」が、「ウイルスがまだ積極的に領土内で循環している」ため、状況は不安定だと述べている。
「今後数日で感染状況が急激に悪化した場合、すぐに新たなロックダウンに入ることを決定する」と警告した。
週刊ニュース誌『レクスプレス』によると、外出禁止時間を早めることに対して南フランスの地域からは反対の声が上がっている。フランス南東部のプロバンス=アルプ=コートダジュール地域議会のルノー・ムズリエ議長は、「午後6時開始と午後8時開始の差に感染状況の改善があることを科学的に証明することはできない。」と非難しており、マルセーユのミシェル・リュビロラ副市長も、「無茶な対策を講じることをやめなければならない」と批判している。
医療関係者の中でも、午後6時の外出禁止令の有効性を疑う声が上がっている。パリのピティエ・サルペトリエール病院の感染症部門の責任者であるエリック・コーム医師は、外出禁止時間を2時間早めることが「非常に効果があるとは思えないが、様子を見てみよう」と述べており、疫学者のカトリーヌ・ヒル氏は、「午後6時に早めても大した違いはないだろう。人々を苛立たせるだけで人出が減るわけではなく、感染者数も減ることにはならないだろう。」と語っている。
しかし、パスツール研究所の疫学者シモン・コシュメ氏によると、フランス領ギアナで新型コロナウイルスが流行し始めた昨年5月、当初午後11時から午前5時の外出禁止時間が、6月末には午後7時に早められ、最終的には午後5時に設定された。さらに、土曜日の午後1時から月曜日の朝までも外出禁止となった。「こうした措置で、ウイルスの伝播速度を3分の1に減らすことができた」という。そして、「感染拡大の流れを変え、医療崩壊を招く事態を防ぐことを可能にした」と述べている。
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