新型肺炎の世界的流行によって抗議デモが世界で急増する可能性(2020/07/21)
イギリスのリスク調査会社「Verisk Maplecroft」によると、新型肺炎の世界的流行がもたらした経済的危機が、当初から既存政府に対し不満を感じていた国民を直撃したことで、アフリカとラテンアメリカを中心とする約40の国で、これまでにない社会的紛争が勃発する可能性があるという。
仏
『レゼコー』によると、英リスク調査会社の「Verisk Maplecroft」は、新型肺炎の流行による経済的打撃の影響が世界中に広まり、数百万人が失業する中、世界各地で社会不安に対する抗議行動が倍増する可能性が高いと警告している。
同調査会社は、大衆抗議による社会的対立は、「ここ数十年ほとんど見ることのなかったレベルで、国の安定に危機をもたらす可能性が高い」と指摘している。そして、既存の政府に対する国民の怒りが蓄積されている国ほど、そのリスクが高い。...
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『レゼコー』によると、英リスク調査会社の「Verisk Maplecroft」は、新型肺炎の流行による経済的打撃の影響が世界中に広まり、数百万人が失業する中、世界各地で社会不安に対する抗議行動が倍増する可能性が高いと警告している。
同調査会社は、大衆抗議による社会的対立は、「ここ数十年ほとんど見ることのなかったレベルで、国の安定に危機をもたらす可能性が高い」と指摘している。そして、既存の政府に対する国民の怒りが蓄積されている国ほど、そのリスクが高い。
2020年後半から社会的対立に直面する可能性の高い国は、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、エチオピア、ベネズエラ、ペルーなどを含むアフリカとラテンアメリカを中心とした37の国々である。また、2020年の終わりには、バングラデッシュ、トルコ、エジプトなどの主要な新興市場でも火種がつく可能性があるという。
調査会社はまた、新型肺炎感染拡大防止のために大多数の国によって課されたロックダウンは一時的に社会的対立の減少をもたらしたものの、現在は新興市場中心に抗議活動が再燃しており、新型肺炎流行前のレベルにほぼ戻っていると指摘している。
ただし社会的紛争の可能性が高いと評価された37の国は、「回復するスピードが遅い」ため、大衆による抗議活動は最長で今後3年の間に起こると見られている。この回復するスピードは、国家機関の力、インターネット接続状況、経済力、国民の感度、自然災害やテロ攻撃のリスクなどの要因に基づいて計算されているという。
サハラ以南のアフリカでは、「経済の衰退、貧困、そして十分な食糧の供給を確保することができないため」、大衆抗議のリスクが高まるという。新型肺炎の流行によって食糧価格が高騰したいくつかのアフリカ諸国でも緊張が高まってきている。
ラテンアメリカでは、昨年9000%のハイパーインフレとなり、10人中6人が極度の貧困の中で暮らしている、脆弱な経済のベネズエラで社会的紛争のリスクが最も深刻となっている。
また米国でも、反人種差別運動として始まった抗議活動が新型肺炎に伴う経済危機によって更なる大衆抗議へと拡がっていく可能性があると見られている。
『レクスプレス』の報道によると、新型肺炎の世界的流行によって、世界の国々で経済危機が引き起こされ、社会的格差が顕著に表れた。失業率の上昇、特定の地域で教育へのアクセスが非常に困難になったこと、新型肺炎の犠牲者の社会経済的プロフィールが偏っていることなど、多くの例を取り上げることが出来る。
リヨン大学の名誉教授で経済学者のピエール・ドケス氏は「伝染病は、世界がすでに傾きかけている方向に落としていく傾向がある。アクセルのようなものであり、弱点を露呈させるものだ」と指摘している。
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米シアトル「自治区」、犯罪が525%増で地元警察がデモ隊を排除(2020/07/03)
人種問題への抗議活動が拡大するなか、アメリカ西海岸のシアトルで抗議デモの参加者の一部が「自治区」を設置し、3週間余りにわたって集会を続けていた。しかし、犯罪の急増で治安が悪化し、地元警察がデモ隊を強制的に排除した。
『ロイター』によると、米国では、5月25日にミネソタ州で白人警官が黒人男性を死なせた事件を受けて様々な州で抗議活動が広がり、シアトルでも抗議デモの参加者と警察の衝突が続いた。
その後参加者の一部がバーや洋服店が並ぶおしゃれな地域の一部に、自治区を設置し、地元警察はその地区から完全撤退した。
しかし、お祭りのような雰囲気の中で政治演説を聞くために集まっていた何千人もの人々や、即興の保健所や食糧配給のテントは、そのうち姿を消していったという。...
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『ロイター』によると、米国では、5月25日にミネソタ州で白人警官が黒人男性を死なせた事件を受けて様々な州で抗議活動が広がり、シアトルでも抗議デモの参加者と警察の衝突が続いた。
その後参加者の一部がバーや洋服店が並ぶおしゃれな地域の一部に、自治区を設置し、地元警察はその地区から完全撤退した。
しかし、お祭りのような雰囲気の中で政治演説を聞くために集まっていた何千人もの人々や、即興の保健所や食糧配給のテントは、そのうち姿を消していったという。
カルメン・ベスト警察署長はプレスリリースで、自治区では4件の発砲事件のうち、2件は死者が出ており、他にも「窃盗、暴行、暴力、および無数の財産への攻撃」など、「自治区は無法と残虐行為の場になった」と指摘した。
シアトルのダーカン市長はこうした状況をうけて、集会を禁止し地元警察が自治区に赴いてデモ隊を強制的に排除した。
『ニューヨーク ポスト』によると、ダーカン市長は、自治区の設置後、6月2日から30日にかけて、犯罪行為の525パーセントという驚異的な増加が確認されたとして、デモ隊を排除する緊急命令を発令した。
同市長は、人に対する犯罪行為が22件、うち殺人が2件、強盗事件が6件に加重暴行事件が16件起きていたことを明らかにし、「自治区内とその周辺地域での活動が、公衆衛生、生命、安全を脅かすところまで悪化した」ため、地元に警察を戻すことを決定した。
『レクスプレス』によると、強制排除の際、解散の拒否や妨害、攻撃、刃物や金属パイプを含む武器の不法所持の疑いで、31人が逮捕されたという。
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