米下院特別委員会;2021年1月6日議事堂乱入事件の調査報告及び証人喚問をテレビ中継(4)【米メディア】(2022/07/16)
6月23日付GLOBALi「
米下院特別委員会;2021年1月6日議事堂乱入事件の調査報告及び証人喚問をテレビ中継(3)」で報じたとおり、昨年1月6日の議事堂乱入事件を調査する米下院特別委員会(1/6 HSC、2021年6月設立)が6月21日に実施した公聴会において、州の選挙管理委員会に従事していた職員らが、トランプ前大統領による選挙結果の反覆圧力に抵抗したところ、様々な嫌がらせや脅迫に遭ったと証言した。そして今度は、トランプ前大統領の事件当日の行動に関わるホワイトハウス職員の6月28日の公聴会証言を裏付ける証拠について、米シークレットサービス(USSS、1865年設立の大統領警護機関)が廃棄したとの告発があったことから、この件に関わる8回目となる公聴会をプライムタイム(午後8~11時)にテレビ中継することになった。
7月15日付
『AP通信』は、「1/6 HSC、関係通信記録を廃棄した疑いでUSSSに召喚状」と題して、トランプ前大統領の事件当日の行動に関わる通信記録を廃棄した疑いがあることが判明したことから、1/6 HSCが8回目となる公聴会で明らかにするとし、それをプライムタイムに全米テレビ中継されることになったと報じている。
1/6 HSCは7月15日、ドナルド・トランプ前大統領の2021年1月6日の行動に関連し、USSSが当時の通信記録を廃棄していた疑いがあることから、7月21日夜に公開聴聞することになったと発表した。...
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7月15日付
『AP通信』は、「1/6 HSC、関係通信記録を廃棄した疑いでUSSSに召喚状」と題して、トランプ前大統領の事件当日の行動に関わる通信記録を廃棄した疑いがあることが判明したことから、1/6 HSCが8回目となる公聴会で明らかにするとし、それをプライムタイムに全米テレビ中継されることになったと報じている。
1/6 HSCは7月15日、ドナルド・トランプ前大統領の2021年1月6日の行動に関連し、USSSが当時の通信記録を廃棄していた疑いがあることから、7月21日夜に公開聴聞することになったと発表した。
当該公開聴聞は6月9日に始められ、全米で2千万人が視聴していて、次回で8回目となる公聴会は午後8時からのプライムタイムに全米テレビ中継される。
同特別委のベニー・トンプソン委員長(74歳、ミシシッピー州選出民主党下院議員、1993年初当選)は声明文の中で、当時の通信記録が“消去”されたと理解していると表明した。
同委員長は、“USSSは、「通信機器交換プログラム」の一環を理由として、1月5~6日の間の関係通信記録を消去していた”と言及した。
更に同委員長は、“USSSに対して、事件当日及びその後の関係通信記録等を復元して提出するよう求めた”とも付言した。
今回の同特別委のUSSS召喚状については、数時間前に非公開で行われた、USSSを管轄する米国土安全保障省(DHS、2002年に前年の同時多発テロ事件を契機に設立)の監査官室(OIG)に対する7月15日の聴聞の結果に基づくものである。
OIG証言によると、トランプ前大統領が議事堂前に集結している支持者グループに加わろうとしたとの関係者証言に関し、これを示す証拠となるUSSS内通信記録が喪失していることが判明したとする。
同特別委の聴聞に応じたのは、DHS監査担当のジョセフ・カファリ監査官(62歳、2019年就任)で、同監査官は7月13日、上院及び下院国土安全保障委員会に宛てて、1月6日事件の調査の一環でUSSSに当日の通信記録を提出するよう請求したところ、「通信機器交換プログラム」の一環で1月5~6日の間の記録を消去していたことが判明した、との報告書を提出していた。
これに関してトンプソン委員長は7月15日、『AP通信』のインタビューに答えて、同特別委は当初、かかる証拠の提出要求は3月に行われたと理解していたが、実際にはもっと早い時期に行われていて、かつ、提出要請後に関係記録が消去されていたとの疑いが持ちあがったことから、USSSのジェームズ・マレー長官(2019年就任)宛に召喚状を送付したと明かした。
ところが、USSSのアンソニー・ガグリエルミ報道官(2022年就任)は、“関係通信記録の提出を求められた後に、USSSが故意に当該記録を消去したとの憶測がなされているがそれは誤りだ”と表明した。
同報道官は更に、“USSSは監査官の求めに応じて全ての文書や通信記録等を提出している”とした上で、“「通信機器交換プログラム」に伴う機器の入れ替えは2021年1月から進められていて、監査官が2月26日に初めて通信記録の提出を求めてきた際には、多くの消去処理が済んでしまっていたというのが実際の顛末である”と強調している。
一方、DHS監査官の報告書に関し、上院国土安全保障委員会上級メンバーのロブ・ポートマン委員(66歳、オハイオ州選出共和党上院議員、2011年初当選)は、報告内容に“非常に憂慮”しているとした上で、“USSSは監査官のみならず、議会そして米国民に対して透明性を担保することが必須である”との声明を発表している。
なお、事件当日のトランプ前大統領の行動が問題視されているのは、1/6 HSCが6月末に実施した公開聴聞で、当時のホワイトハウス職員だったキャシディ・ハッチンソン氏(30代、マーク・メドウズ大統領首席補佐官付きスタッフ)が、トランプ前大統領が議事堂前に集結している支持者グループに加わるべく自身で大統領専用車を運転しようとしたとか、ホワイトハウスを訪れてくる支持者に対する金属探知機による銃器携帯有無の検査を不要とするよう指示した等と、爆弾証言していたからである。
これに対して、USSSの大統領専用車運転手を務めていたロバート・エンゲル氏は、トランプ前大統領が議事堂前に向かうために制止を振り切って無理やりハンドルに手をかけようとしたことはないとし、また、幹部のトニー・オーナト氏も、前大統領からUSSS職員が叱責されたことはない等々、ハッチンソン氏の証言を否定する発言をし始めている。
従って、1/6 HSCの次回公開聴聞で、事件当日のUSSS内の実際の遣り取りが明らかにされることが期待される。
(注)OIG:1978 年に連邦監察官法により制定された監査官制度に基づき設立された、独立かつ客観的な監督機関。OIGは各連邦政府機関の中に設置されていて、全米の事業所における監査・調査・評価を通して、事業とマネジメ ントの問題点を長官及び議会の両方に対して報告し、改善を勧告する。
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太平洋諸島フォーラム;キリバス脱退の背景に中国の影響力?【フランス・NZメディア】(2022/07/12)
太平洋諸島フォーラム(PIF、注後記)首脳会議が今週開催される。しかし、直前になってミクロネシア圏のキリバス(1979年英国から独立、2019年台湾と断交し、代わって中国と国交樹立)が脱退を表明した。同国は、PIF事務総長はメラネシア圏・ポリネシア圏・ミクロネシア圏それぞれの所属国から輪番で選ばれる、という紳士協定が破られたことを理由に挙げているが、近年影響力を拡大してきた中国と従来からの支援国である米・豪州・NZ間の対立激化が背景にあるとの見方もされている。
7月11日付フランス
『AFP通信』は、「キリバス、PIFから脱退」と題して、PIF首脳会議開催の直前、キリバスが脱退を通告してきたと報じている。
キリバス(ミクロネシア圏所属)はこの程、気候変動に伴う海面上昇問題や、中国による南太平洋地域での安全保障圏拡大意図等について協議するとしていたPIFから脱退すると発表した。
『AFP通信』が7月9日に入手した書簡によると、キリバスのタネスィ・マアマウ大統領(61歳、2016年就任)は、昨年のPIF事務総長選出に当たって、(輪番制で)ミクロネシア圏の代表が務めることになるとの“紳士協定”が破られていることから、“通告即日の脱退”という“国としての決定”を行ったと述べている。...
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7月11日付フランス
『AFP通信』は、「キリバス、PIFから脱退」と題して、PIF首脳会議開催の直前、キリバスが脱退を通告してきたと報じている。
キリバス(ミクロネシア圏所属)はこの程、気候変動に伴う海面上昇問題や、中国による南太平洋地域での安全保障圏拡大意図等について協議するとしていたPIFから脱退すると発表した。
『AFP通信』が7月9日に入手した書簡によると、キリバスのタネスィ・マアマウ大統領(61歳、2016年就任)は、昨年のPIF事務総長選出に当たって、(輪番制で)ミクロネシア圏の代表が務めることになるとの“紳士協定”が破られていることから、“通告即日の脱退”という“国としての決定”を行ったと述べている。
同大統領はまた、PIF首脳会議開催当日の7月12日が同国の独立記念日であることから、物理的にも出席できないとも言及している。
一方、PIFのヘンリー・プナ事務総長(72歳、2021年就任、ポリネシア圏のクック諸島前首相)は7月11日、PIF首脳会議前夜祭において、“今回のPIF首脳会議においては、地域及び世界において拡大・深刻化している喫緊の課題について協議される”と表明した。
同事務総長は更に、“新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題、気候変動問題、海洋汚染問題等の重要問題について、地域間及び多国間での協力の必要性が高まっている”とも言及した。
なお、PIF援助供与国の豪州及びNZは、中国が南太平洋地域における影響力を拡大しつつあることから、PIF内での安全保障問題における結束の重要性を訴えている。
同日付NZ『スタッフ』オンラインニュース(2000年設立)は、「ジャシンダ・アーダーン首相、キリバスのPIF脱退に“失望”と表明」として、キリバスのPIFからの突然の脱退表明について、アーダーンNZ首相がPIFの協調の必要性を強調するも、“失望”していると吐露したと報じている。
ジャシンダ・アーダーン首相(41歳、2017年就任)は、COVID-19感染問題沈静化後に初めて対面で開催されるPIF首脳会議に出席するため、開催地のスバ(フィジー首都)に向かった。
この直前の先週末、キリバスがPIFより脱退すると突然表明した。
同首相は、PIFが今後とも一致協力して難題に取り組んでいくとし、当該ニュースについて重要視しない意向を示した。
しかし、太平洋地域専門家は、PIFが気候変動問題や中国の影響力拡大に伴う軋轢等について対応していくに当たって、(キリバスの脱退は)団結を拠り所とするPIFにとって打撃となるとする。
同首相は7月11日、NZ政府公式ウェブサイト上で、“NZの立場はPIF加盟国に支援を行うことで、この目的に沿って、PIFが立ち向かうべき気候変動問題等について今後とも協調していく”とした。
同首相はまた、キリバスの脱退は“団結を脅かすような問題”ではないとしたが、“失望”していることは認めた。
キリバスは先週末、PIFの事務総長職をポリネシア圏、メラネシア圏、ミクロネシア圏所属の島嶼国が交替で務めるとされたこれまでの慣習が破られていることを理由として、PIFから脱退すると突然宣言していた。
これに先立つ昨年2月、ミクロネシア圏島嶼国代表(マーシャル諸島)が、同月に実施されたPIF事務総長選挙において僅差でポリネシア圏候補者(クック諸島)に敗れたことを不f服として、今年6月までにPIFから離脱すると表明していた。
ただ、その後の展開で、彼らはPIFに“恐らく止まることになる”と翻意している。
(注)PIF::南太平洋の独立国及び自治政府を対象にした地域経済協力機構。もともとはフランスの核実験などに反対して結成された政治的団体で、島嶼国の主体性を堅持し、結束を図ることを目的として1971年8月に創設。加盟国は18ヵ国(援助供与国:豪州・NZ、メラネシア圏:パプアニューギニア・フィジー・ソロモン諸島・バヌアツ、ポリネシア圏:ツバル・サモア・トンガ・クック諸島・ニウエ、ミクロネシア圏:ミクロネシア・マーシャル諸島・パラオ・ナウル・キリバス、準メンバー:ニューカレドニア・フランス領ポリネシア)。
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