中国寄りが顕著のソロモン諸島、米国主導の「米・太平洋諸国パートナーシップ宣言」に中国言及が抜けたことから署名決意【米・NZメディア】(2022/10/05)
ジョー・バイデン大統領(79歳、2021年就任)は先月末、南太平洋地域14ヵ国の首脳をワシントンに呼びつけ、「米・太平洋諸国パートナーシップ(USPP)」と銘打った新機構を結成した。しかし、USPP戦略宣言採択に当たっては、当初から中国急接近のソロモン諸島(1978年英連邦王国として独立)が、同首脳会議への出席はもとより、当該宣言への署名にも否定的であった。しかし、最終的には、同宣言から中国言及個所が省かれることになったことから、同国が署名するに至ったという。
10月4日付米
『AP通信』は、「ソロモン諸島、中国言及が抜けたことからパートナーシップ協定に署名」と題して、米国主導で開催・提案されたUSPPに関して、中国急接近のソロモン諸島を慮り、当該戦略宣言から中国言及を取り止めることになったと報じている。
ソロモン諸島外相は10月4日、米国及び十数ヵ国の太平洋島嶼国の間で取り交わされることになったUSPP戦略宣言に関し、当初の宣言案から中国言及個所が省かれたため署名することにしたと経緯を説明した。...
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10月4日付米
『AP通信』は、「ソロモン諸島、中国言及が抜けたことからパートナーシップ協定に署名」と題して、米国主導で開催・提案されたUSPPに関して、中国急接近のソロモン諸島を慮り、当該戦略宣言から中国言及を取り止めることになったと報じている。
ソロモン諸島外相は10月4日、米国及び十数ヵ国の太平洋島嶼国の間で取り交わされることになったUSPP戦略宣言に関し、当初の宣言案から中国言及個所が省かれたため署名することにしたと経緯を説明した。
ジェレミア・マネレ外相(54歳、2019年就任)がウェリントン(NZ首都)において記者団に語ったもので、“USPP宣言案には当初、(中国を選択するのかどうか等)二者択一が迫られるような表現があったため、そのような態度表明はできない”としていたと言及した。
今回の同外相の表明は、同国が当該宣言案に難色を示していたことを公に認めたことを意味する。
当該USPP宣言は先週、ジョー・バイデン大統領主催により、ワシントンで開催された太平洋島嶼国との首脳会議において採択されたもので、米国の同地域でのプレゼンス強化と共に相互協力関係の構築が謳われている。
具体的には、米国が今後10年間で太平洋島嶼国に8億1千万ドル(約1,175億円)を支援することとされたが、但し、米国の対中国牽制意向については直接的言及を避け、気候変動・経済成長・自然災害への支援に注力することが言及されるに留まった。
なお、安全保障についても少々触れられたが、ロシアによるウクライナ軍事侵攻を非難するという表現に止まり、中国の名前は一切表記されなかった。
同日付NZ『スタッフ』オンラインニュース(2000年設立)は、「ソロモン諸島外相、“二者択一”には従わないと表明」として、米国主導のUSPP戦略宣言文から中国名を除外するよう強く求めたと報じている。
ソロモン諸島のジェレミア・マネレ外相は10月4日、NZのナナイア・マフタ外相(52歳、2020年就任)とウェリントンで会談した際、同国は“二者択一”をすることはなく、米中両国とそれぞれ友好関係を築きたい旨表明した。
同外相は、先週にワシントンで開催された米・太平洋諸国首脳会談におけるUSPP戦略宣言について言及したものである。
同外相は、今年3月に中国と締結した安全保障条約の下で、同国が中国軍に基地を提供することはないと改めて強調した上で、USPP戦略宣言の原案に中国について間接的に批評する表現があったので、これを削除するよう要求したとし、この要求が通ったことから当該宣言に署名したと説明した。
同外相は更に、“我が国は米国が改めて太平洋島嶼国に対して強い支援を表明してくれたことを称賛している”とした上で、“将来、同地域の平和と安定、及び相互協力関係が構築されることを願っているが、同地域において対立・衝突、更には戦争が起こることは全く望んでいない”とも強調した。
なお、同外相はNZ外相との会談で、NZ政府に対して、二国間の航空便就航について前向きに検討するよう依頼している。
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豪州政府、コロナ禍による専門職等の労働力不足補填のため永住ビザ発給増加を決定【米・豪州メディア】(2022/09/02)
新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行問題は、世界各国に景気後退等様々な災禍をもたらしている。豪州も同様で、様々な業種で必要とされる専門職等の労働者が確保できなかったことから、従来の保守的政策を改め、永住ビザ発給の上限を引き上げて外国人労働者確保に努めることにしている。
9月2日付米
『AP通信』は、「豪州政府、永住ビザ発給上限を3万5千人増やして19万5千人に引き上げ決定」と題して、COVID-19禍で慢性的な労働力不足に陥っていることから、看護士、空港スタッフ、果樹園労働者等の確保のために、外国人労働者に従来上限の2割増しの永住ビザを発給して補填することを決定したと報じている。
豪州政府は9月2日、COVID-19禍によって専門職等の慢性的労働力不足に遭っていることから、外国人労働者で補填すべく、従来の受け入れ上限を年3万5千人増やして19万5千人に永住ビザを発給することとしたと発表した。...
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9月2日付米
『AP通信』は、「豪州政府、永住ビザ発給上限を3万5千人増やして19万5千人に引き上げ決定」と題して、COVID-19禍で慢性的な労働力不足に陥っていることから、看護士、空港スタッフ、果樹園労働者等の確保のために、外国人労働者に従来上限の2割増しの永住ビザを発給して補填することを決定したと報じている。
豪州政府は9月2日、COVID-19禍によって専門職等の慢性的労働力不足に遭っていることから、外国人労働者で補填すべく、従来の受け入れ上限を年3万5千人増やして19万5千人に永住ビザを発給することとしたと発表した。
クレア・オニール内務相(41歳、2022年就任)が、政府高官・労働組合・実業界代表ら140人が参加した「豪州雇用・技能サミット」において公表したもので、今年度(2022年7月~2023年6月)中に実現するとしている。
同相によると、人員不足の医療業界では、直近2年間で一人の看護士が従来の2倍も3倍もシフトに入って就労する必要があり、空港職員不足で飛行便がキャンセルされることもあり、また、果樹園ではスタッフが足りず、多くの果物が収穫されないまま腐ってしまっているという。
同相は、“豪州市民の就業確保を第一に考えていることから、新たな就業訓練や女性その他就労機会が与えられなかった人たちの雇用に注力してきている”としながらも、“現実的には、COVID-19禍による労働力不足は深刻である”と言及した。
しかし、“最も聡明な人々”(外国人専門職を指す)が、豪州ではなく、カナダ・ドイツ・英国への移住を選択しているとの現実があるとする。
何故なら、同相によると、従来の豪州政府の移住者用ビザは70種以上に分かれた“ひどく複雑な”制度だからだとしている。
従って、同相は、新たな移住者用ビザ制度を再構築するための有識者会議を立ち上げるとした。
一方、アンソニー・アルバニージー首相(59歳、2022年就任)は9月1日の「豪州雇用・技能サミット」初日、専門職人員不足を補うため、職業訓練校に18万人を無償で受け入れるべく、来年1豪州億ドル(74万8千ドル、約1億5百万円)予算計上すると表明している。
なお、豪州はCOVID-19感染問題初期段階で20ヵ月にわたる厳格な入国制限措置を講じており、昨年12月に漸く専門職の外国人労働者の受け入れを再開していた。
同日付豪州『スカイニュース』(1996年開局)は、「アンソニー・アルバニージー首相、より多くの専門職に移住してもらえるよう年間永住ビザ発給数の上限を引き上げ」として、豪州における専門職受け入れ拡大を模索していると報じた。
アルバニージー首相は、豪州市民権(国籍)を取得し易いようにして、より多くの外国人専門職が移住してくる体制を敷くべく努めると宣言した。
豪州政府は9月2日、2日間開催された「豪州雇用・技能サミット」閉会に当たって、2022~2023年における永住ビザ発給上限を従来の年16万人から19万5千人に引き上げる案を含めて、36もの新たな政策提案を披露した。
同首相は、豪州政府はこれまで短期の外国人専門職に頼り過ぎていたが、今後は国内専門職と永住ビザ交付の外国人専門職をうまくバランスさせて門戸を広げていくとした。
その上で同首相は、“COVID-19禍で我々が学んだことは、国内の専門職をもっと増やす必要があるという点と、(感染症拡大防止対策のために)外国人の退去を求め、また入境制限をすると、あっと言う間に専門職不足に陥るという現実を見た点である”と言及した。
更に同首相は、“今後、国内専門職及び外国人専門職をバランス良く確保していく最良の方策を採用すべく努める”とした上で、“外国人専門職受け入れについて述べれば、将来豪州市民権が取得できる道筋が付けやすいよう、外国人専門職への永住ビザ発給施策を具体化していく意向だ”と強調した。
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