既報どおり、米下院特別委員会(1/6 HSC)主導による2021年1月6日発生の議事堂乱入事件の調査報告や重要参考人の証人喚問で、ドナルド・トランプ前大統領の責任追及度合が増している。そしてこの程、現司法長官のハーバード大法科大学院時代の恩師が、長官はトランプ訴追に動くかも知れない、との私見を披露したと米メディアが報じている。
7月2日付
『CNNニュース』は、「メリック・ガーランド司法長官の法科大学院時代の恩師、同長官はトランプ訴追に動く可能性」と題して、これまでの1/6 HSCによる調査報告や重要参考人の証人喚問を踏まえて、司法長官によるトランプ訴追の可能性について、同長官の恩師のインタビュー記事を掲載している。
メリック・ガーランド司法長官(69歳、2021年就任)のハーバード大法科大学院(1817年設立)時代の恩師であるローレンス・トライブ名誉教授(80歳、注後記)が、これまで明らかになった“有力な証拠”に基づき、同長官がトランプ前大統領を訴追する可能性が高い、との私見を述べている。...
全部読む
7月2日付
『CNNニュース』は、「メリック・ガーランド司法長官の法科大学院時代の恩師、同長官はトランプ訴追に動く可能性」と題して、これまでの1/6 HSCによる調査報告や重要参考人の証人喚問を踏まえて、司法長官によるトランプ訴追の可能性について、同長官の恩師のインタビュー記事を掲載している。
メリック・ガーランド司法長官(69歳、2021年就任)のハーバード大法科大学院(1817年設立)時代の恩師であるローレンス・トライブ名誉教授(80歳、注後記)が、これまで明らかになった“有力な証拠”に基づき、同長官がトランプ前大統領を訴追する可能性が高い、との私見を述べている。
トランプを訴追することは、反トランプ派にとって長い間の切実な希望であったが、直近で1/6 HSCが行っている公開聴聞を通じて、その可能性が益々高まってきている。
特に、大統領首席補佐官だったマーク・メドウズ氏(62歳、2020~2021年在任)のスタッフのキャシディ・ハッチンソン氏(30代)が6月28日、1/6 HSCの公聴会において行ったトランプの1月6日当日の行動に関する爆弾証言が大いに注目されている。
そこで『CNN』は7月1日晩、長年の反トランプ派で、ガーランド司法長官の恩師でもあるトライブ名誉教授にインタビューを行っている。
『CNN』の主要キャスターのウルフ・ブリッツァー氏(74歳、ジャーナリスト・作家、1990年より『CNN』レポーター)がトライブ名誉教授に、司法省はトランプ前大統領を訴追すると思うかとの直球の質問をぶつけたところ、同名誉教授は、“ガーランド長官は真面目で誠実な人物である”とし、“司法省のトップとして、確たる証拠や証言が示されたならば、法に則って忠実に判断しよう”とコメントした。
その上で同名誉教授は、“1/6 HSCが調査してきた内容や、現実に、ジョン・イーストマン(62歳、1/6 暴動を扇動した容疑)やその他関係者が拘束されていること等から、トランプ前大統領が訴追される可能性は高まったと思う”と付言した。
これに対してブリッツァー氏は、“では、ガーランド司法長官はトランプ前大統領を訴追すると考えているのか”と改めて質問した。
同名誉教授は、“あくまで私の直感だが、訴追すると思う”と答えた。
ブリッツァー氏から、“訴追するに当たっての問題点”を問われて、同名誉教授は、“訴追することによって、トランプが民衆を焚き付け、暴動を引き起こす可能性があるし、また、トランプ妄信者の陪審員が訴追に反対するかも知れない”とコメントした。
しかし、“社会の中で、トランプの責任を問う声が日増しに高くなってきており、訴追しないことによって起こる米国民の不満の方が遥かに大きく、大きな暴動に発展しかねない”として、“訴追することが最も望ましいことだ”と強調している。
その上で、“前任大統領が新任大統領への権限移譲を拒否し、また、選挙結果を覆そうとする等、前代未聞の事態が発生していることに目をつぶってしまったら、それこそ民主主義は終焉してしまう”とも付言している。
(注)トライブ名誉教授:1972年にハーバード大法科大学院法学部教授として招聘。教え子に、バラク・オバマ第44代大統領(2009~2017年在任、現60歳)、テッド・クルーズ上院議員(51歳、テキサス州選出共和党員、2013年初当選)、ジョン・ロバーツ最高裁長官(67歳、2005年就任)、エリーナ・キーガン最高裁判事(62歳、2010年就任)等がいる。
閉じる
米連邦通信委員会(FCC)は、中国のByteDanceが立ち上げた人気動画アプリの「TikTok」から、アメリカ人の個人情報が中国に流出することを阻止するため、米グーグルとアップルにTikTokをアプリストアから排除するよう求めた。
米
『Buzzfeed』は、中国の一部のTikTok社員が、通常公開されない米国ユーザーのアカウントに付随する個人データに無制限にアクセスできていると報じた。TikTokはこれまで、データプライバシーに関する懸念に対し、米国のユーザーについて収集した情報を、親会社であるByteDanceがある中国ではなく米国で保管すると約束してきた。しかし、80以上のTikTokの社内会議の録音音声によると、ByteDanceの中国の従業員は、米国のTikTokユーザーに関する非公開データに繰り返しアクセスしていたことが判明した。
『BuzzFeed』が入手した録音には、少なくとも2021年9月から2022年1月の間に、中国の社員が米国のデータにアクセスしていたことを示す、9人の異なるTikTok従業員の発言が含まれている。2021年10月の上院公聴会で、TikTokの幹部は「世界的に有名な米国を拠点とするセキュリティチーム」がデータにアクセスする権利を決定していると宣誓証言した。しかし、実際には米国の社員が米国のユーザーデータの扱われ方を判断するために、中国の同僚に頼らなければならない状況であったことが判明した。録音内容によると、米国人社員は自分自身でデータにアクセスする許可も知識も持っていなかったという。
また、2021年9月の会議では、TikTokの信頼・安全部門のスタッフが「中国ではすべてが見られている」と発言していた。同月の別の会議では、ディレクターが、北京にいるあるエンジニアを「マスター管理者」と呼び、すべてにアクセスできると話していた。録音では、これまでの報告よりもはるかに頻繁に、そして最近までもアメリカのデータにアクセスしていたことが言及されている。
なお、昨年から、中国政府は自国のハイテク大手企業に対する取り締まりを強化しており、同政府がByteDanceに情報収集と情報の引き渡しを強要する危険性があることが懸念されている。また、中国政府が、米国のユーザーに動画を推薦するアルゴリズムを調整し、「アメリカ人が何を見聞きし、最終的に何を考えるかに影響を与えるために利用される」危険性があることも懸念されている。
仏『BFMTV』によると、米FCCのブレンダン・カー委員は、アップルとグーグルにTikTokを両社のアプリストアから排除することを要請する書簡を送った。同委員はツイッターで書簡を公開し「TikTokは単なる動画アプリではない。羊の皮を被った狼だ。機密データを大量に取得し、そのデータには中国政府もアクセスできることが新たな資料で示された。私は、アップルとグーグルに対し、TikTokの不透明なデータ管理慣行を理由に、両社のアプリストアから削除するよう要請した」とツイートしている。アプリストアからTikTokを削除しない場合は、7月8日までにその理由を説明するよう求めている。
TikTokは、トランプ前政権下でも米国市場からの追放の危機にさらされていた。前大統領は当初、中国のアプリを国内から追放することを望んでいたが、その後、米国企業による買収を課していた。しかしバイデンが当選し、大統領として就任後、こうした措置を撤回していた。
閉じる