『ロイター通信』世論調査;日本大手企業が求人難で漸く賃金アップに舵切り(2022/08/18)
日本の平均年収は過去二十年間ほぼ横ばい状態で、経済協力開発機構(OECD、1948年前身設立)加盟国中22位と下位に低迷している(2020年データ)。そうした中、
『ロイター通信』が直近で行った世論調査の結果、労働力不足に喘ぐ大手企業の多くが漸く賃金アップに舵を切る意向であることが分かった。
8月18日付
『ロイター通信』は、「世論調査:以前の調査時より多くの日本企業が労働力不足に対応するため賃金アップに舵切り」と題して、5年前の調査時より倍近い企業が、労働力不足問題を乗り切るために賃金アップを行う意向であることが分かったと報じている。
『ロイター通信』が、日経リサーチ(1970年設立の日経新聞グループの総合調査会社)に委託して直近で行った世論調査の結果、数十年間横ばいだった日本の平均賃金を緩やかながら漸く引き上げる意向とする企業が、前回調査時より倍近くに増えていることが分かった。...
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8月18日付
『ロイター通信』は、「世論調査:以前の調査時より多くの日本企業が労働力不足に対応するため賃金アップに舵切り」と題して、5年前の調査時より倍近い企業が、労働力不足問題を乗り切るために賃金アップを行う意向であることが分かったと報じている。
『ロイター通信』が、日経リサーチ(1970年設立の日経新聞グループの総合調査会社)に委託して直近で行った世論調査の結果、数十年間横ばいだった日本の平均賃金を緩やかながら漸く引き上げる意向とする企業が、前回調査時より倍近くに増えていることが分かった。
8月18日に公表した、8月2~12日間に非金融業の大手495社を対象に実施したアンケートの結果、約半数の企業から回答があり、そのうち44%が賃金アップを行う意向である旨回答している。
前回2017年の調査結果では、25%しか賃金アップの意向を示していなかったことから、ほぼ倍近くの企業が重い腰を上げようとしていることが分かる。
日本企業はこれまで長い間、デフレーションに見舞われていたことから、コスト上昇分を販売価格に転嫁することが難しく、結果として労務費が抑えられてきた。
しかし、世界での物価上昇及び現下の円安に見舞われて日本における生活費が大幅上昇し、状況は一変している。
かかる状況下、岸田文雄首相(65歳)も経済界に対して賃金アップを要請するに至っている。
ただ、ある卸売事業会社マネージャーによると、“全般的に労働力不足問題に直面していて、特にスーパーマーケットのパート従業員確保に苦闘している”とし、“賃金アップで雇用確保に努めようとしているが、(一挙に大幅アップなどはできず)できることは限られている”という。
また、別の卸売企業のマネージャーも、労働力確保に対して“有効な手が打てない状態だ”とコメントしている。
しかし、SMBC日興証券(1918年前身創業、2011年現社名に変更)の宮前耕也シニアエコノミスト(42歳)は、“潮目は変わりつつあり、労働力不足に喘ぐ企業のうち、賃金アップを実施する企業がもっと多くなる”と分析している。
同氏は、“日本の労働市場における高齢化及び萎縮が進む以上、(賃金アップの傾向は)正に始まったばかりで今後は更にその傾向に拍車がかかるだろう”とも言及した。
回答企業のうち実に54%が労働力不足問題に直面していて、特に非製造業で顕著となっており、59%がスタッフの遣り繰りに苦労しているという。
そこで企業側としては、通年での採用方針や、退職年齢を引き上げて少しでも長く働いてもらうような体制を取りつつある。
日本における労働力確保に関わる問題は、同じく高齢化が進む欧米の先進国にとっても参考事例として注目されている。
しかし、かかる状況にも拘らず、日本の為政者は、労働力確保のための移民政策緩和方針を途中で止めてしまっている。
ただ、今回の回答企業のうち19%は、外国人労働者採用で賄っているとしており、前回2017年時の13%より増えている。
なお、今回の調査においても、実に4分の3の企業が岸田政権に対して、生活費大幅上昇に対抗していくための経済成長を促すべく、大型景気刺激政策の実行を望むとしている。
奇しくも、調査直前の政府公表データによると、直近4~6月期の国内総生産(GDP)が3四半期連続でプラス成長している。
ただ、経済アナリストの分析では、日本における新型コロナウィルス感染者大幅再上昇に加えて、米国及び中国経済の成長率鈍化に伴って、今後の見通しが不透明になるとしている。
(参考)OECD加盟38ヵ国中、2000年及び2020年それぞれの平均年収比較データによると、上位1・2位の米国・アイスランドは平均年収が+25%、3・4位のルクセンブルク・スイスで+15%、また、19位の韓国も+44%上昇しているが、22位の日本は僅か+0.4%上昇に留まっている。
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米下院特別委員会;2021年1月6日議事堂乱入事件の調査報告及び証人喚問をテレビ中継(5)【米メディア】(2022/07/22)
既報どおり、昨年1月6日の議事堂乱入事件を調査する米下院特別委員会(1/6 HSC、2021年6月設立)による8回目となる公開聴聞会が7月21日に開催され、プライムタイム(東部標準時午後8~11時)に全米テレビ中継された。この結果、ドナルド・トランプ前大統領(現76歳)による虚偽発言を契機に如何にして支持者による議事堂乱入事件に繋がったか、また、大統領権限で暴動を収めようともしない不作為の罪の疑いがあることが明らかにされている。
7月21日付
『AP通信』は、「1/6 HSC調査結果:トランプは選挙結果を覆すため“あらゆる手段”を講じたことが判明」と題して、昨年1月6日午後のドナルド・トランプ前大統領による虚偽の演説を契機に当日の暴動へと繋がったことや、乱入事件をテレビで上機嫌で視聴するだけで暴動を止めようともしなかったとして、1/6 HSCの公開聴聞会の結果、トランプの法的責任を問う勢いが増していると報じている。
1/6 HSCが開催した7月21日の公開聴聞会で、事件発生当時の大統領顧問らが、ジョー・バイデン候補の勝利を承認するのを止める様にとの要求を拒否したマイク・ペンス副大統領(現63歳)を非難するツイートをトランプが投稿したことから、それが“火に油を注ぐ”結果に繋がった、と証言した。...
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7月21日付
『AP通信』は、「1/6 HSC調査結果:トランプは選挙結果を覆すため“あらゆる手段”を講じたことが判明」と題して、昨年1月6日午後のドナルド・トランプ前大統領による虚偽の演説を契機に当日の暴動へと繋がったことや、乱入事件をテレビで上機嫌で視聴するだけで暴動を止めようともしなかったとして、1/6 HSCの公開聴聞会の結果、トランプの法的責任を問う勢いが増していると報じている。
1/6 HSCが開催した7月21日の公開聴聞会で、事件発生当時の大統領顧問らが、ジョー・バイデン候補の勝利を承認するのを止める様にとの要求を拒否したマイク・ペンス副大統領(現63歳)を非難するツイートをトランプが投稿したことから、それが“火に油を注ぐ”結果に繋がった、と証言した。
米国家安全保障担当副補佐官だったマット・ポッティンガー氏(現49歳、2019~2021年在任)が証言したもので、トランプの投稿を契機に、暴徒集団が口々に“マイク・ペンスを吊るせ”と叫んでいたと言及した。
ポッティンガー氏は、長年の共和党員で当時ホワイトハウス副報道官を務めたサラ・マシューズ氏(2020~2021年在任)とともに証言台に立ったが、両氏ともトランプのツイートを見て即刻職を辞することを決めたとも証言している。
両氏は、憤ったトランプが、乱入事件が発生している際に自身も議事堂に行くと強硬だったことや、(大統領専用車が出ないことを知って)そのまま執務室に戻り、トランプの家族や側近が挙って暴力行為を止めるよう要請したのにも拘らず、彼は何ら行動を起こそうとしなかったとも明らかにした。
1/6 HSCのエレイン・ルリア委員(46歳、バージニア州選出民主党下院議員、2019年初当選)は、トランプの当日の発言・行動によって引き起こされた事態を“分刻み”で明らかにしていく意向だとした上で、上記の側近の証言で、トランプがホワイトハウスで支持者に向かって議事堂まで行進するよう訴えてから“僅か15分以内に、彼らが議事堂に乱入し始めたが、この事態をトランプも承知していた”ことが判明したと言及した。
更に同委員は、6月末の公聴会でキャシディ・ハッチンソン氏(30代、マーク・メドウズ大統領首席補佐官付きスタッフ)が、議事堂前に集結している支持者グループに加わるべくトランプが米シークレットサービス(USSS、1865年設立の大統領警護機関)に対して大統領専用車を出せと執拗に命令したと証言したが、今回の追加の証言でこれが裏付けられたとも付言した。
その他、ワシントンDC市警所属の巡査部長だったマーク・ロビンソン氏(退職済み)の証言がビデオ映像として流され、その中で同氏は、トランプは議事堂に行進した支持者の一部が武装していることを承知していたが、それでも議事堂に向かうと強く主張していたと述べている。
これらの証言に先立って、同特別委は既に録画していた4人のホワイトハウス職員の証言を公開した。
彼らは、ケイリー・マケナニー前報道官(34歳、2020~2021年在任)、キース・ケロッグ米安全保障問題担当前補佐官(78歳、2017~2021年在任、元陸軍中将)、パット・シポローネ前顧問弁護士(56歳)、モリー・マイケル前特別補佐官で、異口同音に、トランプは大統領専用食堂で議事堂乱入のテレビ報道に見入っていたと証言した。
これら証言を踏まえて、同特別委のリズ・チェイニー副委員長(55歳、ワイオミング州選出共和党下院議員、2017年初当選)は、“トランプが電話を取って、暴動を収めるための指示を出す等何もしなかったことが明らかになった”とし、“本来なら、米軍や国防長官や司法長官、更には国土安全保障長官等に指示を出すべき所、一切電話をかけようともせず、マイク・ペンスが代わってそれを行った”と強調した。
また、ベニー・トンプソン委員長(74歳、ミシシッピー州選出民主党下院議員、1993年初当選)は、トランプが演説の中で“選挙は盗まれた”と虚偽の発言をしたことから、それに焚き付けられた支持者らが議事堂に押し入る結果を引き起こしたことは明白である、とした上で、“トランプは、選挙結果を覆すためにあらゆる手段を講じようとした”と言及している。
一方、メリック・ガーランド司法長官(69歳、2021年就任)は7月20日、“司法省が手掛ける最も広範囲でかつ重要な事案だ”とした上で、“法と証拠に基づいて、厳正に対応していき、責任を負うべき如何なる人物に対しても、選挙という正当な手段の結果を覆そうとした罪を償わせるべく努める”とコメントした。
なお、同特別委は、今回の8回目の公開聴聞会をもってしばらく夏季休会に入り、9月に引き続いて聴聞会を継続開催するとしている。
その上で同特別委は、予備調査報告書を今秋にまとめあげ、最終報告書は会期末までに提出するとしている。
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