メイ英首相は本来2020年に予定されていた総選挙を今年の6月8日に早めることで英国の欧州連合(EU)離脱計画へ向けて強く安定した指導力を確保し、EUとの離脱交渉をうまく進めたいと述べた。メイ英首相はこれまで選挙活動に気を取られたくないと述べていたが、世論調査での強いメイ英首相への支持と、英国経済が景気減速の予測に反して好調なことから早期の総選挙を決断した。総選挙実施には議会で3分の2の支持を得なければならないが、労働党と自由民主党が支持を明らかにした。これで今年選挙を予定している西欧諸国に英国が加わる。4月、5月のフランス大統領選挙と9月のドイツの総選挙は、6月に本格的に始まるEU離脱交渉に影響を与える可能性がある。
メイ英首相の総選挙発表後にICM とGuardianが行った世論調査では保守が党46%と、労働党25%、自由民主党11%を圧倒的にリードし、約100議席増える予想となっている。YouGovの世論調査ではメイ英首相の個人的な支持率も50%と、労働党のコービン党首の14%を圧倒的に引き離している。英国のEU離脱決定で前任者の辞任後、メイ英首相は内務相から首相に任命されたが今回の選挙はメイ英首相に対する信任投票になる。ICM とGuardianが行った世論調査では約60%が総選挙に賛成としたが、ある英国人は昨年の英国のEU離脱投票から1年で、また最後の総選挙から2年で選挙を実施することに疑問を投げかけている。
英国の経済成長率は予想を上回り、消費者信頼感指数は高く、失業率は低いものの、消費者が物価上昇を警戒し始めると景気はピークを迎えると専門家は見ている。メイ英首相の発言後、英ポンドは米ドルに対して4ヶ月ぶりの高値に上昇する一方、英ポンド上昇に伴い英国の主要株価指数は2.3%下げ、英国のEU離脱決定後の昨年6月27日以来の1日の最大下落率を記録した。
新たな独立国民投票実施を目論むスコットランド政府のスタージョン首相は総選挙実施の決定をメイ英首相の大きな政治的誤算と述べた。アイルランド共和国政府はこの選挙が北アイルランドと英国の政治問題に悪影響が出ると懸念を表明した。
閉じる
アメリカの次期大統領のドナルド・トランプ氏及び側近は選挙キャンペーンで公約していた民主党のクリントン氏の私用メール問題についての追及をこれ以上しない方針であると表明。報道紙のインタビューでは(ヒラリー氏は)「色々と苦労してきただろうから傷つけるつもりはない」などと同情的な姿勢をみせており、クリントン氏への根強い不信感を持つトランプ氏の保守派支持者にはヒラリーを「投獄する」と息巻いていたトランプ氏が「腐敗を暴く」とした公約を守らない事への落胆と失望が見られている。
トランプ氏は1月就任を控え、支持率史上最低でのスタートを回避したい意図があり、クリントン氏側への捜査は優先させない考えを示している。また米国では元来捜査機関の独立が守られており、大統領が捜査に介入や言及しないのが慣例のため、共和党には調査を追及する構えもあるもののこの判断は吉とでるとの意見もある。
11月22日付
『ロイター通信』は「保守派はクリントン訴追撤回に苛立ち」との見出しで以下のように報道している。
「ニューヨークタイムズ」の会見でトランプ氏は、「嘘つきヒラリー」を刑務所に送ると豪語していた選挙中より同情的な口調で「色々と苦労してきただろうから傷つけるつもりはない。訴追の意向はそれほどない」と述べた。
トランプのチーフストラテジストのスティーブ・バノンが一時運営していた「Breitbartニュース」は火曜、「破られた約束:トランプ氏はクリントンのメール問題訴追を望まない」との記事を掲載。...
全部読む
11月22日付
『ロイター通信』は「保守派はクリントン訴追撤回に苛立ち」との見出しで以下のように報道している。
「ニューヨークタイムズ」の会見でトランプ氏は、「嘘つきヒラリー」を刑務所に送ると豪語していた選挙中より同情的な口調で「色々と苦労してきただろうから傷つけるつもりはない。訴追の意向はそれほどない」と述べた。
トランプのチーフストラテジストのスティーブ・バノンが一時運営していた「Breitbartニュース」は火曜、「破られた約束:トランプ氏はクリントンのメール問題訴追を望まない」との記事を掲載。作家でコメンテーターのアン・コールターは、「選挙で大統領に選ばれた彼はFBIや司法省の人?捜査をやめる権限はない」等とツイートしたのをはじめ他にも保守派支持者らはトランプ氏が選挙公約を守らない事への怒りや失望を見せた。
共和党内には訴追しない方針に賛同の声もあり、元ニューヨーク市長でトランプ氏の助言役のルディ・ジュリアーニは、「トランプ氏は難しい選択をした。米国政治は歴史的に選挙勝利後は物事を治めるものだ」と語ったという。
同日付米国
『USAトゥディ』は「トランプ次期大統領、元ライバルのヒラリー・クリントンに訴追なし」との見出しで以下のように報道している。
「ニューヨークタイムズ」編集者との会見で、トランプ氏は「クリントン氏を傷つけたくない。」と述べた。キャンペーンではヒラリーを「投獄せよ」とトランプ氏の支持者が呼応していたが、トランプ氏は大統領として特別に訴追捜査、ましては投獄する権限などないことは伝えそびれていた。それは司法省の権限であり、政治的影響外の話である。今や次期大統領となり、国会や次期司法長官にも元民主党候補の訴追は政治的に利点がないと伝えていることだろう。司法の専門家は、専制政権下でのみ政治ライバルを投獄でき、特に権限分立が確立している米国の民主政治下では特に無理であるという。
「YouGov」や「エコノミスト」の最新の調査では、トランプ氏に投票した62%がクリントン氏への特別訴追を期待しているという。共和党のストラテジストはトランプ氏が一度も訴追を真剣に考えたことはないという。あれはドナルドにとってヒラリーを政府から追い払うための方便だったのだという。
メール問題で捜査を行った保守派「司法ウォッチ」は、トランプ氏がオバマ政権のように形式だけの犯罪捜査をしたら「腐敗を暴く」と公約した国民を裏切ることになると声明。
トランプ氏は最低レベルの支持率の回復を望んでいて、分断した国のかじ取りをせまられている。歴代大統領の中で最低支持率のまま政権入りするのは得策でない。政権発足後のために口をマイルドにしておかないといけない。
同日付米国
『ニューヨークタイムズ』は「ドナルド・トランプがヒラリー・クリントンへの再捜査を止める」との見出しで以下のように報道している。
当紙との長いインタビューでトランプ氏は、クリントン氏の私用メールサーバーやクリントン一家の金銭問題への再捜査への意思がないことを表明し、代わりに「前進」したいと述べた。
FBI等に捜査を委託する可能性はあるが、政権発足後の優先事項にはしない意向だとした。1月就任後に前例なき司法捜査に気を取られることなく、この決断は「吉」と出るだろう。一方でクリントン氏への怒りを抱く有権者の多くを失望させ、この決断は独立権限を阻害されたとするFBIの不満を招くだろう。
閉じる