アカデミー賞授賞式で平手打ち:黒人女性問題(2022/03/30)
第94回アカデミー賞授賞式で、俳優ジョン・スミスが、司会者でコメディアンの男性(クリス・ロック)が妻(ジェイダ・ピンケット・スミス)の短髪にジョークを飛ばしたことに腹を立て、平手打ちを食らわせた。スミス氏は既に公式に謝罪しているが、アカデミーは正式な調査を開始するとしている。同氏の行動に、欧米では各界から賛否の声が上がっているという。
3月29日付英
『ガーディアン』:「ウィル・スミスの平手への反発心は(白人による)黒人暴力嫌悪、不平等が根底に」:
暴力は決して許されないし、暴力により問題は解決されないというのは定説だ。ウィル・スミスが妻ジェイダ・ピンケット・スミスの刈上げ頭を詰まらぬジョークにしたクリス・ロックを平手打ちした一件について、そのような声がネット上でも大半を占めるのだが、これは免疫疾患による脱毛症を患ってのことで、妻想いまたは、差別だとする見方もある。...
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3月29日付英
『ガーディアン』:「ウィル・スミスの平手への反発心は(白人による)黒人暴力嫌悪、不平等が根底に」:
暴力は決して許されないし、暴力により問題は解決されないというのは定説だ。ウィル・スミスが妻ジェイダ・ピンケット・スミスの刈上げ頭を詰まらぬジョークにしたクリス・ロックを平手打ちした一件について、そのような声がネット上でも大半を占めるのだが、これは免疫疾患による脱毛症を患ってのことで、妻想いまたは、差別だとする見方もある。
動機により正当化される一方、反黒人主義にも発端がある。アカデミー賞の場である点にも注目すべきで、この授賞式では、黒人ということにより注意が向けられるべきだ。脱毛症は障害であり、黒人女性の発症率がより高いという。黒人女性の髪の問題は歴史的にみてトラウマの話題なのである。
このような黒人女性へのバッシングは、黒人女性の苦労や経験が分かっていない人がやることで、黒人女性への配慮の欠如が原因の一部にある。黒人女性は、守る必要のない存在で、そのために戦う必要性もないという光景を見るのに人々は慣れ切っているのだ。
この問題はすぐに、ポップカルチャーの荒っぽい話として、別の側面から語られるであろうが、この機に、黒人への価値観、障害への見方、我々は誰を守るべきかついて考察するのも良い。
同日付米『NPRニュース』:「オスカーで黒人女性の髪にまつわる長い歴史に注目」:
暴力は大きな批判を受けたが、それ以上に黒人問題の側面もある。
このアカデミー賞というステージでは、黒人は歴史的に軽視されてきた。2人の男性の間の暴力を非難する声もネット上であったが、一方で、ピンケット・スミスは脱毛症を告白しており、スミスが司会者のジョークにすぐに不快感を示していた「黒人の妻」、そして「黒髪」を擁護したことも称賛されている。
「黒人女性の髪をからかってはいけない。特に脱毛症は。」と専門家は言う。昨年やっと、米陸軍の規律で、黒人に人気のヘアスタイルに至るまで許容され始めた。また、今月、議会下院では、職場、政府プロジェクト、公共宿泊施設等で人種によるヘアに関する差別を禁ずる「クラウン法」の決議が行われた。
SNSでは、クリス・ロックが、黒人女性の髪との関係や、現代的なヘアスタイルへの歴史的変遷を扱う「グッドヘア」というドキュメンタリー番組に長年携わってきたことにも話題が及んでいる。番組でロックは、脱毛症ゆえにスキンヘッドをトレードマークとするセレブインテリアコーディネーターとタックを組んで出演しており、この問題にもっと理解があっても良いはずだ。
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南アフリカ、新型コロナウイルスに対する措置を大幅緩和(2022/02/03)
南アフリカ共和国の大統領府は、第4波からの移行に伴い、感染者の隔離措置の緩和を発表した。
米放送局
『NPR』と仏誌
『レゼコー』によると、ラマポーザ大統領は今週月曜日、残っていた新型コロナウイルス感染対策のための規制の多くを大幅に変更することを発表した。これからは、症状のない人は通常通りの生活を送ることができるようになる。濃厚接触者となった人でも、症状がなければ通常通り生活できるようになる。検査対象外となり、隔離も不要となる。
症状があった場合でも、隔離期間は10日間から7日間に短縮される。...
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米放送局
『NPR』と仏誌
『レゼコー』によると、ラマポーザ大統領は今週月曜日、残っていた新型コロナウイルス感染対策のための規制の多くを大幅に変更することを発表した。これからは、症状のない人は通常通りの生活を送ることができるようになる。濃厚接触者となった人でも、症状がなければ通常通り生活できるようになる。検査対象外となり、隔離も不要となる。
症状があった場合でも、隔離期間は10日間から7日間に短縮される。そして、2月1日から、学校はパンデミック前と同じように開校し、時差登校や分散登校は廃止され、社会的距離を置く必要もなくなった。
規制として残るのは、公共の場所や交通機関でのマスク着用義務や、屋外集会の2000人までとする人数制限、無観客のスポーツイベントなどである。南アフリカでは現在も、1日の新規感染者数が数千人に上り、陽性率は10%前後を記録している。国民のワクチン接種も30%以下にとどまっている。
それでも政府は、新型コロナウイルスに対する免疫を持つ人の割合が「いくつかの血清調査で60-80%を超え、大幅に上昇した」ため、このような緩和措置をとることにしたと説明している。南アフリカ人の80%ほどが、ワクチン接種で、あるいは感染から回復したことで、抗体を保持していることになる。
仏誌『レゼコー』は、更なる規制緩和の発表は、濃厚接触者の追跡の緩和、夜間外出禁止令などの制限措置の解除という、数週間前からの政府の戦略変更の一環だと伝えている。南アフリカ政府は、11月末にオミクロン株が発見されて以来、すでにこの第4波については、これまでの波よりも被害が少ないとして、厳重なロックダウンを復活させないことを決定していた。IMFが南アフリカの2022年の成長率をわずか1.9%と予測し、失業率が34%を超える中、政府は、国内経済の回復を促す政策に舵を切った形になる。
こうした規制緩和の動きは、南アフリカだけでなく、欧米諸国にも広がっている。米ポートランドメディア『プレスヘラルド』は、多くの国でオミクロン株の脅威が弱まったことで、このウイルスがインフルエンザのように、管理可能な脅威となり、人々が共存できる新しい段階に入ろうとしているのではないかという希望が生まれている、と報じている。
イギリス、フランス、アイルランド、オランダ、北欧の数カ国は、規制を終了または緩和する措置をとっている。ノルウェーやデンマークのように、感染者数がまだ最水準で推移しているにもかかわらず、緩和が行われた国もある。
先週から、イギリスでは公共の場ではマスクやワクチンパスが不要になり、自宅勤務の命令も解除された。ただし、陽性と判定された人は、まだ隔離されなければならない。
スイスも2日、自宅勤務と検疫を廃止し、今後数週間で他の制限を緩和する計画を発表した。政府は、「過去最高の感染者数にもかかわらず、病院に過度の負担はかかっておらず、集中治療室の稼働率はさらに低下している。急性期の危機がまもなく終わり、流行期が始まる可能性があるとの兆候が強まっている。」と述べている。
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