南アフリカ、新型コロナウイルスに対する措置を大幅緩和
南アフリカ共和国の大統領府は、第4波からの移行に伴い、感染者の隔離措置の緩和を発表した。
米放送局
『NPR』と仏誌
『レゼコー』によると、ラマポーザ大統領は今週月曜日、残っていた新型コロナウイルス感染対策のための規制の多くを大幅に変更することを発表した。これからは、症状のない人は通常通りの生活を送ることができるようになる。濃厚接触者となった人でも、症状がなければ通常通り生活できるようになる。検査対象外となり、隔離も不要となる。
症状があった場合でも、隔離期間は10日間から7日間に短縮される。...
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米放送局
『NPR』と仏誌
『レゼコー』によると、ラマポーザ大統領は今週月曜日、残っていた新型コロナウイルス感染対策のための規制の多くを大幅に変更することを発表した。これからは、症状のない人は通常通りの生活を送ることができるようになる。濃厚接触者となった人でも、症状がなければ通常通り生活できるようになる。検査対象外となり、隔離も不要となる。
症状があった場合でも、隔離期間は10日間から7日間に短縮される。そして、2月1日から、学校はパンデミック前と同じように開校し、時差登校や分散登校は廃止され、社会的距離を置く必要もなくなった。
規制として残るのは、公共の場所や交通機関でのマスク着用義務や、屋外集会の2000人までとする人数制限、無観客のスポーツイベントなどである。南アフリカでは現在も、1日の新規感染者数が数千人に上り、陽性率は10%前後を記録している。国民のワクチン接種も30%以下にとどまっている。
それでも政府は、新型コロナウイルスに対する免疫を持つ人の割合が「いくつかの血清調査で60-80%を超え、大幅に上昇した」ため、このような緩和措置をとることにしたと説明している。南アフリカ人の80%ほどが、ワクチン接種で、あるいは感染から回復したことで、抗体を保持していることになる。
仏誌『レゼコー』は、更なる規制緩和の発表は、濃厚接触者の追跡の緩和、夜間外出禁止令などの制限措置の解除という、数週間前からの政府の戦略変更の一環だと伝えている。南アフリカ政府は、11月末にオミクロン株が発見されて以来、すでにこの第4波については、これまでの波よりも被害が少ないとして、厳重なロックダウンを復活させないことを決定していた。IMFが南アフリカの2022年の成長率をわずか1.9%と予測し、失業率が34%を超える中、政府は、国内経済の回復を促す政策に舵を切った形になる。
こうした規制緩和の動きは、南アフリカだけでなく、欧米諸国にも広がっている。米ポートランドメディア『プレスヘラルド』は、多くの国でオミクロン株の脅威が弱まったことで、このウイルスがインフルエンザのように、管理可能な脅威となり、人々が共存できる新しい段階に入ろうとしているのではないかという希望が生まれている、と報じている。
イギリス、フランス、アイルランド、オランダ、北欧の数カ国は、規制を終了または緩和する措置をとっている。ノルウェーやデンマークのように、感染者数がまだ最水準で推移しているにもかかわらず、緩和が行われた国もある。
先週から、イギリスでは公共の場ではマスクやワクチンパスが不要になり、自宅勤務の命令も解除された。ただし、陽性と判定された人は、まだ隔離されなければならない。
スイスも2日、自宅勤務と検疫を廃止し、今後数週間で他の制限を緩和する計画を発表した。政府は、「過去最高の感染者数にもかかわらず、病院に過度の負担はかかっておらず、集中治療室の稼働率はさらに低下している。急性期の危機がまもなく終わり、流行期が始まる可能性があるとの兆候が強まっている。」と述べている。
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サウジアラビア、2060年に温室効果ガス排出ゼロ目標
産油国サウジアラビアが、2060年までに同国の温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すと表明。2050年が目標の米国より10年遅れる。新たなエネルギーへの投資や植林にも力を入れるとする一方、世界の石油市場での主導的な役割は変わらないとしている。
10月24日付
『ロイター通信』は「最大産油国サウジアラビアが2060年に排出ゼロ目標」との見出しで以下のように報道している。
サウジアラビアのムハンマド皇太子が23日、「循環型炭素経済プログラム」により、化石燃料を主体とする温室効果ガスの排出量を2060年までに「ネットゼロ」とする目標を発表。今月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、サウジグリーンイニシアティブ(SGI)にて発言。...
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10月24日付
『ロイター通信』は「最大産油国サウジアラビアが2060年に排出ゼロ目標」との見出しで以下のように報道している。
サウジアラビアのムハンマド皇太子が23日、「循環型炭素経済プログラム」により、化石燃料を主体とする温室効果ガスの排出量を2060年までに「ネットゼロ」とする目標を発表。今月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、サウジグリーンイニシアティブ(SGI)にて発言。
ムハンマド皇太子とエネルギー相は、気候変動対策を講じるとするが、石油の重要性は変わらないとし、石油市場の安定化に努めるとしている。2030年までに炭素の排出量は半減し、メタンガスについても2020年比3割削減の取り組みに参加するという。
サウジアラムコのナセルCEOは、石油を「悪魔化」することは逆効果だと指摘。同社は石油、ガスの生産能力を拡大しつつ、50年までに同社の排出量実質ゼロを目指すとしている。サウジ国営メディアによると、国連のグテレス事務総長は、サウジ側との電話会議で排出削減のイニシアティブを歓迎したという。
10月23日付米国『NPR』は「サウジアラビアが2060年の温室効果ガスゼロ排出目標を表明」との見出しで以下のように報道している。
最大の産油国の一つであるサウジアラビアが2060年の温室効果ガス排出ゼロ目標を発表。100以上の国が取り組む気候変動対策に参加する。国内の排出削減を目標とするが、石油や天然ガスへの投資の抑制はせずエネルギー市場をリードすることに変わりはないという。
ロシアや中国と肩を並べ2060年をゼロ目標とする同国は、2030年までに4億5000万本の植林、荒廃した広大な土地の再生、首都リヤドをサステイナブルな都市とすること目指す。リヤドでの環境フォーラムでアブドゥラジズ・ビンサルマンエネルギー相は、「エネルギー資源の輸出による経済成長が国の主力であることは明白」としている。今後石油の需要が増すとされる中国やインドへの輸出に力を入れるとされる。
「カーボン循環経済」アプローチで、排出ゼロを目指すとするが、短期、中期的に削減する方法、排出ピークがいつとなるかについては発言していない。アラブ首長国連邦も今月、2050年のCO2排出ゼロに参加すると発表したが、目標達成方法の詳細は示せていない。
産油国諸国は、急速な燃料シフトは、ベーシックエネルギーへのアクセスに乏しい貧国や人口の少ない国に影響が大きいと主張しており、サウジアラビアも温室効果ガスは、化石燃料だけを指すものではないとの主張を行ってきた。
国際環境NGOグリーンピースの文書によると、サウジは、カーボンキャプチャー技術の推進で、各国の石油燃料使用の継続を狙うとみられ、実証されていないこの技術で、更に温室効果ガス排出を増やし、後から大気中より炭素を取り除けるとの楽観論に頼るものとみられる。
イギリスのチャールズ皇太子もリヤドでのフォーラムに参加。居住を脅かすほどの中東の気温上昇現象を指摘した。バイデン米政権の気候変動問題担当ジョン・ケリー代表は24、25日サウジを訪問し3日間のフォーラムに参加する予定。
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