新型コロナウィルス感染流行問題;アジア太平洋地域主要国の現状(2)【米メディア】
7月3日付GLOBALi「
新型コロナウィルス感染流行問題;アジア太平洋地域主要国の現状」において、南米のみならず、アジア、特にインドの新型コロナウィルス(COVID-19)感染の勢いはすさまじく、感染者数がついに60万人を超え、世界4位になったと報じた。それから3週間近く経った現在、インドのみならず、インドネシアやフィリピンにおける感染拡大が止まらず、更には日本やオーストラリア(豪州)にも感染の第2波が襲来している(記事中のデータは、米ジョンズ・ホプキンス大学集計の7月23日午後5時現在の数値)。
7月22日付
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』配信)他:「アジア太平洋地域のCOVID-19感染状況」
<注目ニュース>
●インド、インドネシア、フィリピンでは、感染流行の第1波のピークに到達しておらず、依然増加の一途。
●インドは、感染者数が100万人以上となり、ロシアを抜いて世界3位(1位米国、2位ブラジルは変わらず)。
●日本、豪州でも、第1波の収束後、第2波が襲来し、再び急増。...
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7月22日付
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』配信)他:「アジア太平洋地域のCOVID-19感染状況」
<注目ニュース>
●インド、インドネシア、フィリピンでは、感染流行の第1波のピークに到達しておらず、依然増加の一途。
●インドは、感染者数が100万人以上となり、ロシアを抜いて世界3位(1位米国、2位ブラジルは変わらず)。
●日本、豪州でも、第1波の収束後、第2波が襲来し、再び急増。
<インド>(感染者124万1,653人、死者2万9,906人、致死率2.41%)
・先週、感染者数が100万人を超え、ロシア(感染者79万5,038人)を抜いて世界3位に躍進。
・ナレンドラ・モディ首相は、3月初めに全国に都市封鎖措置を講じたが、経済活動再開の圧力に屈し、6月初めに徐々に解除。
・感染者数増加の勢いは衰えておらず、疫学専門家は、同国で第1波のピークを迎えるのはまだ数ヵ月先との評価。
・人口が世界2位の13億人超であることから、感染者数はまだまだ大きく増えるとの懸念の声。
・ただ、7月23日現在、人口100万人当たりの死者数は21人と、米国の429人、英国の669人に比べて非常に低い。
・専門家は、インドの人口構成上、若年層が多いことが要因と分析。
<インドネシア>(感染者9万1,751人、死者4,459人、致死率4.86%)
・先週末、同国の感染者数は中国(同8万3,729人)を抜き、アジアでは、インド、パキスタン(同26万9,191人)に続き3位に躍進。
・人口が世界4位の2億7,300万人であることから、まだ感染第1波の真ん中辺りとの評価。
・専門家は、直近数ヵ月の間、政府が厳しい感染防止対策を遂行することに逡巡してきたことから、感染拡大が止まらないと非難。
・ジョコ・ウィドド大統領が先週、このままいくと感染のピークは8月とか9月になってしまうと危機感を抱き、漸く関係省庁に具体的感染抑制策実施を指示。
<フィリピン>(感染者7万2,269人、死者1,843人、致死率2.55%)
・同国は、中国に続いて、非常に早い段階で都市封鎖措置を断行。
・しかし、その後徐々に解除し始めたことに比例するように、感染者数が増加の一途。
・強権で知られるロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、4月には都市封鎖措置に違反した者は射殺すると脅していたが、先週は、マスク不着用の場合は誰であっても逮捕すると宣言。
<日本>(感染者2万6,303人、死者989人、致死率3.76%)
・外出自粛措置等によって感染者数増加を抑えることができたが、7月以降再び急増傾向。
・しかし、政府は第2波の襲来と認めることに消極的。
・逆に、景気後退の波を押し戻すためとして、7月22日に全国の観光活性化の支援策を発進。
・ただ、感染者急増の中心である東京都をはずしたものの、観光客が地方に向かうことで感染が広く拡大していくリスクがあるとの批判の声。
<豪州>(感染者1万3,319人、死者128人、致死率0.96%)
・日本と同様、7月以降に再び感染者が急増。
・メルボルン(ビクトリア州)は豪州で2番目の最多人口の都市であるが、直近数週間の感染者増が集中していることから、州政府は、自宅外ではマスク着用の義務化等、部分的な都市封鎖措置を再び導入。
・同州に接する他の州は州境を封鎖。
・同州のダニエル・アンドルーズ知事は、今月初めに2千人以上の人たちが、陽性であったにも拘らず、感染対策等を一切講じずに外出していたと非難。
・同州保健省は、感染抑制対策の効果が表れるのは数週間先だとして、引き続き感染対策を徹底するよう注意喚起。
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ロシア;ウィルス禍による感染者数ごまかしの次は死者数過少申告?【米・ロシアメディア】
ロシアは、新型コロナウィルス(COVID-19)感染の初期段階で、国境を接する中国はもとより、往来が頻繁な欧州諸国に比して、異常なほどCOVID-19感染者数が低かった。当局は認めていないが、初期段階での検疫の不正確さや実検疫数が極端に低かったことが原因と言われ、目下は、欧州並みどころか、遥かに凌駕する感染者数となっている。そして今度疑われているのが死者数で、致死率(全感染者数に対する死者数の割合)が世界平均6.6%に比して、ロシアの場合は0.96%と、これも英国・イタリア(14%)、スペイン(12%)、更には、最良の医療体制が敷かれていたこと等が理由で低数値となっているドイツ(4.6%)よりも遥かに低く、かなりの過少申告となっていることは疑いの余地がない。因みに、日本(4.7%)、中国(5.5%)、韓国(2.4%)となっている。
5月20日付米
『CNBCニュース』:「ロシア政府は“ごまかしはない”とするも、感染者数30万人超に対して公表死者数が異常に少ないという事実」
ロシアにおけるCOVID-19感染者数は、5月20日現在30万8,705人(前日比+8,764人)と、米国に次ぐ世界2位の地位を不動のものにしつつある。
一方、死者数は2,972人(同+135人)と異常に少ない(世界16位)。
専門家の間では、ロシア政府の公表数値は疑念だとする声があがっているが、大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は5月19日、『CNBC』への文書回答で、“ごまかしも過少申告もしていない”と強調している。...
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5月20日付米
『CNBCニュース』:「ロシア政府は“ごまかしはない”とするも、感染者数30万人超に対して公表死者数が異常に少ないという事実」
ロシアにおけるCOVID-19感染者数は、5月20日現在30万8,705人(前日比+8,764人)と、米国に次ぐ世界2位の地位を不動のものにしつつある。
一方、死者数は2,972人(同+135人)と異常に少ない(世界16位)。
専門家の間では、ロシア政府の公表数値は疑念だとする声があがっているが、大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は5月19日、『CNBC』への文書回答で、“ごまかしも過少申告もしていない”と強調している。
しかし、ロシア誌『リドゥル(難問、難題の意)』の政治評論家アントン・バルバシン論説員は『CNBC』のインタビューに答えて、“第一に、COVID-19感染者でも死因が心不全や慢性疾患の場合、COVID-19死者数に含めていないこと、第二には、地方自治政府(注1後記)が中央政府に対して、過少申告していることが考えられる”とコメントした。
また、英国のベリスク・メイプルクロフト(1975年設立のグローバル・リスク分析、リサーチ企業)の欧州・ロシア分析担当部門のダラーグ・マクダウェル主任は、“ロシアの公表数値は、感染流行度合に比して明らかに過少報告されている”とした上で、“モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長が、5月7日の時点で、モスクワだけで既に30万人に到達している”と付言していると明かした。
更に同主任は、死者数の異常値にも触れて、“例えば、モスクワ以外で感染が最も深刻なダゲスタン共和国(カスピ海西岸)では、感染者3,553人のうち死者は僅か35人と報告されているが、一方で、650人以上の死者が、COVID-19ではなく”市中肺炎(慢性ではなく、通常の社会生活の中で罹患した肺炎)によって死亡と報告されている”と厳しく指摘している。
マクダウェル主任の分析にはバルバシン論説員も同意していて、“ダゲスタン共和国の例で分かるように、実際の感染流行深刻度は公表値より遥かに高い”とコメントした。
また、同主任は、地方自治政府が中央政府の印象を良くしようと、故意に“良い数値(少ない数値)”を報告している例があるとも考えられると付言した。
ロシアの死者数公表値について、欧州他国と比較してみると、多くの国の致死率がおよそ10%前後であるのに、ロシアの場合は1%以下と極端に低い。
例えば、5月19日現在の英国の数値をみてみると、感染者数24万7千人超に対して死者数が3万4,876人(致死率14%)、同様に、イタリアはそれぞれ22万6千人超・3万2,169人(同14%)、スペインは同じく23万2千人超・2万7,778人(同12%)となっている。
また、ドイツは、初期対応の緻密さや医療体制が整っていたこともあって、感染者数17万7千人超に対して、死者数が8,060人と低いが、それでも致死率は4.6%である。
いずれにしても、ロシアの感染者は依然増え続けていて、収束の見通しが立っていないことから、ウラジーミル・プーチン大統領は、モスクワとサンクトペテルブルグにおける厳しい都市封鎖措置を5月一杯継続することを決めている。
なお、ロシアの独立系世論調査会社レバダ・センターの4月の調査によると、同大統領の支持率は59%と、3月時点の63%より更に下がっており、大統領在任二十年間で最低レベルとなっている。
同日付ロシア『モスクワ・タイムズ』紙:「ロシアにおけるCOVID-19現状」
●5月17日
・ダゲスタン共和国保健相が、同国で既に1万3千人以上がCOVID-19あるいは市中肺炎に罹患していて、うち657人が死亡したと発表。ただ、公式の統計数値は、COVID-19感染者3,371人、死者は29人と報告。
●5月18日
・プーチン大統領、ダゲスタン共和国高官が、COVID-19による死者が数百人となっている可能性があると報告してきたことを受けて、同共和国のCOVID-19対策に集中的に当たるよう檄。
・ロシアのガマレイ・リサーチセンター(疫学・微生物学専門)のアレクサンデル・ギンズバーグ理事長は、ロシアにおけるCOVID-19死者数が他国に比して少ないのは、人口比における集団免疫(注2後記)が高いからだと説明。
●5月19日
・ミハイル・ミシュスティン首相が、COVID-19陽性反応が出て自主隔離後、ほぼ3週間振りに復帰。
・モスクワのソビャーニン市長、同市の感染状況は“理想より遥かに悪い”と報告。そこで、5月末までに、1日の検疫数を20万件体制と倍にする計画を発表。
●5月20日
・ソビャーニン市長が、このままでは、同市における5月のCOVID-19死者数が、4月比“異常に”高い数値となると警告。
・ロシアにおける医療従事者のCOVID-19死者数が、他国に比して16倍も多いと『メディアゾナ・ニュース』が報道。
(注1) 地方自治政府:ロシア連邦構成主体は85(但し、西側諸国はクリミア半島併合を承認していないので、83)。内訳は、連邦市3、共和国22、州46、地方9、自治管区4、自治州1。
(注2) 集団免疫:ある感染症に対して集団の大部分が免疫を持っている際に生じる間接的な保護効果であり、免疫を持たない人を保護する手段。多数の人々が免疫を持っている集団では感染の連鎖が断ち切られる可能性が高く、病気の拡大は収まるか、緩やかなものとなる。あるコミュニティにおいて免疫を持っている人の割合が高ければ高いほど、免疫を持たない人が感染者と接触する可能性は低くなる。
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