ロシア;ウィルス禍対策失敗の国内問題抱える中、対外的には中国責任追及の米国に強気の対応【米・ロシアメディア】
ロシアの国内世論調査によると、就任20年を迎えるウラジーミル・プーチン大統領の支持率が52%と過去最低となっている。最大の理由は、新型コロナウィルス(COVID-19)感染抑制失敗であるが、対外的には依然強気の対応に出ている。すなわち、ロシア政府は、中国との連携強化を謳歌していることもあって、ウィルス禍問題で一方的に中国を責める米国政府に対して、“確証もなく他国を責めるのは外交とは呼べない”と手厳しく非難した。
5月6日付米
『CNBCニュース』:「ロシア、“証拠もなく”ウィルス禍で中国の責任追及する米国は不当と批評」
ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は5月6日、米国は証拠を示すことなく、COVID-19感染拡大の責任を中国に押し付けるのは間違っていると表明した。
『CNBC』のインタビューに答えたもので、同報道官は、“証拠も何もなしに、第三国を攻撃するのは、外交とは呼べない”と言及している。...
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5月6日付米
『CNBCニュース』:「ロシア、“証拠もなく”ウィルス禍で中国の責任追及する米国は不当と批評」
ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は5月6日、米国は証拠を示すことなく、COVID-19感染拡大の責任を中国に押し付けるのは間違っていると表明した。
『CNBC』のインタビューに答えたもので、同報道官は、“証拠も何もなしに、第三国を攻撃するのは、外交とは呼べない”と言及している。
更に、同報道官は、“未曾有のウィルス禍という危機の最中、初めは世界保健機関(WHO)を責め、翌日には中国に責任追及するというのは、とても適当なこととは思えない”とも付言した。
これに先立つ5月3日、マイク・ポンペオ国務長官が、今回のCOVID-19が武漢(ウーハン)のウィルス研究所を発生源とするとする“非常に多くの証拠”があると発表していた。
そして、同日午後にはドナルド・トランプ大統領も、中国が“重大な間違い”を起こし、その結果COVID-19感染拡大につながったと言及したが、大統領も国務長官も関連する証拠なりを一切示していない。
これらの非難に対して中国側は、同研究所のウィルスが感染流行を引き起こした事実はないと全面否定し、米軍特殊部隊が持ち込んだものではないか、とまで言い出している。
専門家の多くは、同ウィルスは武漢海鮮市場が発生源だと考えている。
ただ、同大統領は5月5日、国務長官発表の内容を裏付ける証拠をいずれ明らかにする考えがあるとは言っている。
一方、ペスコフ報道官は中国との関係に関し、“両国間の協力関係は貴重である”とした上で、“今回のウィルス禍も両国が協力して対応していく”と強調した。
なお、米ロ関係は、トランプ大統領とウラジーミル・プーチン大統領の個人的友好関係を除いて、危機的状況にある。
特に、ロシアが2014年にクリミア半島を併合し、2016年には米大統領選に不当介入したとの疑惑が起こり、2018年には、英国に亡命していた元ロシアスパイが毒殺される事件が発生していて、その度に米議会から対ロシア制裁決議がなされ、トランプ大統領に対しても、もっとロシア側に厳しく当たるよう要求が出されている。
同日付ロシア『タス通信』:「ロシア政府、今はウィルス禍でWHOや中国を責めるのは不適当と言明」
ペスコフ報道官は米『CNBC』とのインタビューの中で、ウィルス禍が深刻の中、米高官が声高にWHOや中国を責めることには同意できないと言明した。
また、同報道官は、米政府が告発していることは、“非常に深刻な内容”であることから、“証拠を示した上で行う”ことが求められると言及した。
トランプ大統領は、これまで何度となく中国に責任追及する発言をしてきている。
例えば4月18日には、もし中国が故意にCOVID-19感染拡大を見逃したことが証明されれば、中国はその責任(損害賠償含め)を負うことになると言及していた。
これに対して、中国外交部(省に相当)の楽玉成(ルゥ・ユーチェン)副部長は4月29日、米『NBC』のインタビューに答えて、ウィルス禍で中国に賠償を求める話は全くばかげていて、“政治的茶番”だとして一蹴した。
更に同副部長は、一部の政治家がウィルス禍を用いて中国を貶めようとしていることを残念に思うとした上で、改めて中国COVID-19関連で情報を隠蔽したことはないと全面否定している。
なお、トランプ大統領が4月14日に、WHO業務の妥当性が判明するまで同機関宛の拠出金を差し止めると表明したことに対して、セルゲイ・ラブロフ外相は、WHOに対する取り扱いは全く不公平だと非難している。
すなわち、2019年末に中国がWHOに対して、武漢で未知のウィルス感染が認められたと報告しているだけでなく、以降も事態判明毎に都度報告していて、かかる情報連絡はロシアも受けているとした。
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新型コロナウィルス感染者急増の日本についての米メディア報道
奇妙な偶然とは言え、3月24日に2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催延期が決定されて以降、日本国内における感染者数の急増が止まらない。米メディアの中には、“予定どおりの開催に固執する必要がなくなったので、実態が表れた”と批評するところもあったが、依然満員電車に揺られて出勤するサラリーマンの声、更には日銀短観(注後記)指数なども引用して、日本社会の現状について報じている。
4月1日付
『ロイター通信』:「日本、新型コロナウィルス感染拡大危機の中、学校閉鎖を5月まで延期することを検討」
菅義偉官房長官は4月1日、新型コロナウィルス感染拡大が止まらない状況下、都市部の学校閉鎖を4月一杯まで更に延ばす可能性について言及した。
同長官は、世界で猛威を振るう新型コロナウィルス感染対策は、日本においても何よりもまして最優先事項であり、“必要な対策は全て”実行に移すと表明した。...
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4月1日付
『ロイター通信』:「日本、新型コロナウィルス感染拡大危機の中、学校閉鎖を5月まで延期することを検討」
菅義偉官房長官は4月1日、新型コロナウィルス感染拡大が止まらない状況下、都市部の学校閉鎖を4月一杯まで更に延ばす可能性について言及した。
同長官は、世界で猛威を振るう新型コロナウィルス感染対策は、日本においても何よりもまして最優先事項であり、“必要な対策は全て”実行に移すと表明した。
現在の日本の感染者数2,200人、死者66人は、米国、欧州そして中国の状況に比べて異常に低いが、直近の感染者数増加がすさまじくなってきている。
特に東京都では、3月31日の新たな感染者が78人と、一日での最高値となり、合計500人超の感染者となっている。
そこで、新たに制定された緊急事態対策改正法によって、安倍晋三首相による緊急事態宣言が発令される契機となるのではないか、と取り沙汰されている。
安倍首相は3月初め、他国に先んじて3月2日からの学校閉鎖の要請を発信していた。
しかし、東京都は4月からの新学期以降の開校を目論んでいたが、『NHK』他メディア報道によると、学校閉鎖は5月の連休明けまで続けられる見込みと報じられていた。
連日会見を行っている小池百合子都知事は、4月1日の会見では、先週末の外出自粛の要請を強化する意向に加えて、平日夜にレストランやバーに繰り出すことも控えて欲しいと訴えている。
同知事は、“自分は感染しない、という思い込みは止めて、感染拡大を食い止めるためには全ての人の責任ある行動に委ねられている”と強調している。
ただ、ツイッター等に投稿されている一般人の多くの声として、依然通勤電車は満員の乗客を乗せて走っているとの指摘がある。
あるユーザーは、“他国に比べて、はっきりしない日本の状況に当惑している”と訴えている。
同日付『CNBCニュース』:「日本企業の景況感指数、新型コロナウィルス感染拡大で7年振りにマイナス」
4月1日に公表された3月の日銀短観において、大企業製造業の業況判断指数(DI)が、2013年3月以来7年振りにマイナス8(前期12月比▼8ポイント悪化)となった。
大企業非製造業のDIも、新型コロナウィルス感染拡大による旅行・イベントの中止や、密集・密接・密閉を避けるようにとの提言による売上高の激減に遭い、プラス8(前期末12月比▼12ポイント悪化)とこれも7年振りの低水準となっている。
かかる指数の悪化は、これまで安倍政権が推進してきた“アベノミクス”経済諸政策の成果を吹き飛ばしてしまう程、新型コロナウィルス感染問題が深刻であることを表している。
そこで、行政府に対しては、益々抜本的な経済支援策の実施への要求が高まってきており、安倍首相も、2008年時の世界金融危機の際に行った規模以上の景気刺激策を実施する意向である旨表明している。
(注)日銀短観:日本銀行が毎月発表する、全国企業短期経済観測調査のこと。全国約1万社を対象に、景気が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出するDIで表す。
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