アジア系ヘイト拡大、米政府も対策へ(2021/04/01)
コロナ禍と並行し、全米でアジア系住民を対象としたヘイトクライムが後を絶たず、著名人がSNS上で声を上げるなど世界的にも関心が広がっており、米国以外のカナダ、ドイツ、フランス、オランダ、ニュージーランドでも抗議デモが拡大している。バイデン米政権は1月に政府が発表した、差別やハラスメント、ヘイトクライム防止策を記した覚書を基に、対策をさらに強化するとしている。
3月30日付米国
『US News&World Report』 は「ホワイトハウスがアジア系ヘイト問題対策強化を発表」との見出しで以下のように報道している。
火曜バイデン政権は、コロナ禍で増加するアジア系住民に対する暴力への対応策をファクト・シート(概況報告書)で発表。ニューヨークでアジア系女性が蹴るなどの暴行を受けた防犯カメラ映像が公開された数日後のタイミングとなった。警察によると犯人の男は差別的発言をしていたという。...
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3月30日付米国
『US News&World Report』 は「ホワイトハウスがアジア系ヘイト問題対策強化を発表」との見出しで以下のように報道している。
火曜バイデン政権は、コロナ禍で増加するアジア系住民に対する暴力への対応策をファクト・シート(概況報告書)で発表。ニューヨークでアジア系女性が蹴るなどの暴行を受けた防犯カメラ映像が公開された数日後のタイミングとなった。警察によると犯人の男は差別的発言をしていたという。この時警備員とみられる男性が仲介に入らず、被害者を助けることもせずにドアを閉めたことも多くの疑念を生んでいる。
バイデン政権はアジア系への外国人嫌悪へ対策を行う小委員会を設置し、司法省による具体的支援策を指示したという。これは1月バイデン氏が発表した人種差別と憎悪を批判した覚書を補強するものとなる。
差別や犯罪の実態件数の把握は、すべてが報告に上がる訳ではないため難しいが、アジア系住民は、コロナ禍が始まって以来、多くの嫌がらせや差別に声を上げてきた。アジア系住民や太平洋諸島の住民への憎悪事件を追跡している「Stop AAPI Hate」の今月の報告書によれば、2020年3月から今年2月までの期間、アジア系住民への憎悪事件は3,795件に上った。また、今月のカリフォルニア州立大学憎悪とヘイト研究センターの報告書では、2020年に警察に報告された16都市でのアジア系へのヘイトクライムは約150%増加したという。
3月31日付米国『Wall Street Journal』 は「BTSからイギリスまで、アメリカ国外でもアジア系差別問題に注目が高まる」との見出しで以下のように報道している。
アメリカのアトランタのスパ発砲事件を機にデモが起きたことで、アジア系住民に対する暴力問題への関心が世界で拡大している。アジア系への支援者輪がSNS上で拡大し抗議デモも増加しており、数十年くすぶってきたヘイト問題に注目が集まっているという。
火曜韓国のグループBTSはツイッター公式アカウントを通じ、メンバーもその容姿から罵りやからかいを受けてきたと告白。「今起きていることは、アジア人としてのアイデンティティから切り離すことはできない。」とし、リツイートや「いいね」は3百万に上った。
アジア系差別への抗議デモは、ここ数週間でカナダ、ドイツ、フランス、オランダ、ニュージーランドにまで広がりを見せている。グーグル・トレンドによると、ヘイトクライムに関する検索ワード1位は「アジア系へのヘイトクラム」で過去12か月での注目度は1650%増だという。
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ニューヨークでアジア人種差別に対する抗議集会(2021/03/01)
アメリカのニューヨークで2月27日、全米で台頭しているアジア人への差別に対する抗議集会が開かれた。ニューヨーク市内をはじめアメリカ全土でアジア人に対する暴力事件が増加している。
米ニュースサイト
『CBS』 によると、アジア系アメリカ人連盟(AAF)は2月27日、「アジア人差別に対して立ち上がれ(Rise Up Against Asian Hate)」と名付けられた集会を主催し、300人ほどが集まりアジア人に対する差別行為の増加に対する非難の声を上げた。集会場所となったのはニューヨーク市内のマンハッタン地区。2日前に36歳のアジア人男性が刺された事件が発生し、これに抗議するために集会が開かれた。...
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米ニュースサイト
『CBS』 によると、アジア系アメリカ人連盟(AAF)は2月27日、「アジア人差別に対して立ち上がれ(Rise Up Against Asian Hate)」と名付けられた集会を主催し、300人ほどが集まりアジア人に対する差別行為の増加に対する非難の声を上げた。集会場所となったのはニューヨーク市内のマンハッタン地区。2日前に36歳のアジア人男性が刺された事件が発生し、これに抗議するために集会が開かれた。
米紙『ニューヨークポスト』 によると、この事件で逮捕された23歳の加害者とされるサルマン・ムフリヒは、背中を刺された被害者が自分を見る目が気に入らなかったと説明したという。当初は人種差別的な動機なしの殺人未遂容疑で起訴されていたが、1月にアジア人男性への暴行容疑で逮捕されており、現在は憎悪犯罪の容疑で起訴されている。
米『NBC』 によると、ニューヨークのアジア系アメリカ人弁護士会(AABANY)は2月に、コロナ禍のニューヨークにおけるアジア系アメリカ人に対する暴行とヘイト事件の増加について報告書を公表している。
報告書は、「パンデミックの発生以来、主に東アジア人を対象としたヘイト事件は、公式および非公式発表の両方で急増している。2020年3月から9月までの間に、全国で2,500件以上の新型コロナウイルスに関連するアジア人ヘイト事件の報告があった。」と報告している。しかし、被害者が事件を届け出ないことが多いため、実際の数字はもっと多いと指摘している。
またニューヨークでは、12月31日時点で、259件のアジア人に対する差別事件が報告されている。事件の大部分は、言葉による嫌がらせに留まるものの、仲間外れ、身体的暴行、咳やつばをかけられるような行為も急増していると報告されている。
さらに、2020年2月から5月の間に、ニューヨーク市人権委員会(NYCCHR)は389件のコロナウイルス関連のヘイト事件の報告を受けているが、そのうちの145件がアジア人差別に関係しており、全苦情の37%を占めている。
米国のアジア系アメリカ人と太平洋諸島系住民に対する差別事件の統計を取っている「Stop AAPI Hate」の創設者の1人で、サンフランシスコ州立大学の教授であるラッセル・ジョン氏は『ABCnews』 に対し、アメリカではアジア人に対する偏見が残っているため、不況時にすぐに標的になってしまうと説明している。19世紀からアメリカに移民し、アメリカ社会に深く根ざしているにもかかわらず、アジア系アメリカ人は永遠に外国人と見なされている面があると指摘している。そして、異国人であるがゆえに唾をかけられる対象となってしまうのだ。
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