韓国総選挙で与党が過半数割れ、朴政権の危機(2016/04/14)
韓国で13日行われた第20代総選挙で、与党セヌリ党は過半数割れとなり、野党第1党「共に民主党」、「国民の党」が大躍進となった。獲得議席は、300議席(一院制)中、サヌリ党130議席程度、野党「共に民主党」で116議席程度、「国民の党」は38議席となる見込み。北朝鮮の核脅威による緊張が高まる中行われた総選挙では、与党割れの原因として、対北太陽政策に加え、来年の大統領選挙をにらんだセヌリ党内で候補擁立をめぐり内部紛争がおき選挙を遅らせた事、経済政策等内政へ不満があると見られている。朴槿恵(パククネ)大統領の残りの任期はねじれ国会となり、海外報道では見られないが、日本にとって重要な慰安婦問題をめぐる日韓合意にも影響が出ると懸念されはじめている。
4月14日付韓国
『コリアタイムズ』は「朴大統領と与党への審判;与党過半数割れ、共に民主党と国民の党が予想以上の議席獲得」との見出しで以下のように報道している。
・第20代総選挙は13837か所の投票所で、小選挙区253議席、比例代表47議席。
・与党セヌリ党が水曜行われた選挙で過半数割れし、朴槿恵(パククネ)大統領への大打撃となる見込み。与党過半数割れは16年振り。
・政治アナリストの分析によると、候補公認をめぐる党内対立への国民の不満、国内問題への取り組みへの不支持が背景見られ、経済、社会問題に対処せねばならない朴氏の残りの任期に大きく影響、今後現与党は来年の大統領選挙までねじれ国会となる。...
全部読む
4月14日付韓国
『コリアタイムズ』は「朴大統領と与党への審判;与党過半数割れ、共に民主党と国民の党が予想以上の議席獲得」との見出しで以下のように報道している。
・第20代総選挙は13837か所の投票所で、小選挙区253議席、比例代表47議席。
・与党セヌリ党が水曜行われた選挙で過半数割れし、朴槿恵(パククネ)大統領への大打撃となる見込み。与党過半数割れは16年振り。
・政治アナリストの分析によると、候補公認をめぐる党内対立への国民の不満、国内問題への取り組みへの不支持が背景見られ、経済、社会問題に対処せねばならない朴氏の残りの任期に大きく影響、今後現与党は来年の大統領選挙までねじれ国会となる。
・「共に民主党」の予想外の結果でキムチョンイン代表は続投となるが、北と南(湖南地区)での敗北を認めざるを得ないのは痛い結果だ。
・「国民の党」は、湖南地区で堂々勝利をおさめ、安哲秀(Ahn Cheol-soo)共同議長の発言力は高まり、次期大統領選まで3党体制に重要な影響力を発揮できる。
・激戦区の一つジョンゴ(jongo)地区では、「国民の党」のChung Sye-kyun氏が元ソウル市長を破り、安氏もセヌリ党の新人Lee Junseok氏を破った。
・総選挙委員会によると、4210万人の有権者のうち2443万人が投票、投票率58%で過去数回より投票率上昇。与党優勢の複数の選挙区でこれを下回った。ソウルは59.8%。新しい選挙区設定と各党の候補擁立に時間がかかった事が結果に悪影響を与えた。
同日付韓国
『ソウルタイムズ』は「野党陣営の勝利;朴大統領のセヌリ党を有権者は支持せず」との見出しで以下のように報道している。
・政治分析家は、与党敗北の主な理由は朴氏の独裁的行動に失望した保守派層が考えを変え、野党に投票したと見ている。
・野党に占められレームダックとなった朴政権にとっては苦しい局面となる。
4月13日付
『ロイター通信』は「韓国総選挙で与党保守党が過半数割れで敗北」との見出しで以下のように報道している。
・野党保守党が総選挙で敗退、朴氏に大打撃を与える。サヌリ党の敗北は低迷する経済対策を押し進める朴政権が窮地にある事を意味する。また、来年末予定される大統領選で5年続投が危ぶまれる。
・サヌリ党は300議席(一院制)のうち122議席、一方野党第1党の「共に民主党」は123議席、「国民の党」は38議席を獲得。
・セヌリ党は声明で、「結果を謙虚に受け止めている。国民の落胆と批判をしっかり読み取れていなかった。」とした。
・韓国の大統領制度は憲法で1期と定められているが、国政と外交政策に大きな影響力をもつ。
・経済停滞と政治混乱で有権者を遠ざけると考えていたアナリストや政治家の予測を覆し、投票率は過去2回の選挙より上昇。
・有権者は政府が雇用やアジア圏での国家安全を軽視し、政治利権に固執したことに不満を表した。
・韓国の経済成長は昨年比2,6%↑。若年失業率は2ケタの12,5%(2月時)で統計開始以来過去最高。(他の世代は1ケタ)
4月13日付英
『BBC』は与党敗北を次のように分析している。
・韓国では経済への不安が蔓延しており、主に2つの問題がある。
1、経済再生のため押し進めた雇用の規制緩和が逆効果となり、競争力が低下した。
2、政府を批判する異端排斥に対する不満。左派党が禁止され、北朝鮮に同情した代表者が逮捕された。
・家計の負債が増加し、若者の失業率が過去20年で最高。北朝鮮でなく、経済不安が影響を与えた。
閉じる
グーグルの人工知能が囲碁で2勝(2016/03/11)
グーグルが開発した人工知能(AI)「アルファ碁」と韓国のトップ棋士イ・セドル氏の対局が5回トーナメント戦で韓国で行われており、2-0でセドル氏が敗れた。通常は数時間に及ぶ碁の対局は3時間半で終了。セドル氏は負けると思っておらずショックを受けた述べ、韓国のコメンテーターは同氏が終盤に向かうと疲れているようだったと指摘。囲碁人口は東アジアを中心に4千万人。人工知能はチェス、オセロ、スクラブル等のゲームで人を負かしており、昨年アルフォ碁も欧州の棋士を負かした。次の対局は土曜ソウルのホテルで行われる。
3月10日付米
『ABC』は「グーグルのAI、アルファ碁がプロ棋士イ・セドル氏に2戦目も勝利」との見出しで以下のように報道している。
・イ氏は「言葉を失った、アルファ碁の手に弱点はみられず、完璧なゲーム展開で私の完敗だ。一勝は勝ち取りたい。」と述べ、韓国、日本、中国の1300人の棋士が思いつかないような手を使ったとした。
・AIの開発者は碁をAIの「エベレスト山」だとし、対戦相手への創造性と洞察力が求められる碁の複雑さを表現。...
全部読む
3月10日付米
『ABC』は「グーグルのAI、アルファ碁がプロ棋士イ・セドル氏に2戦目も勝利」との見出しで以下のように報道している。
・イ氏は「言葉を失った、アルファ碁の手に弱点はみられず、完璧なゲーム展開で私の完敗だ。一勝は勝ち取りたい。」と述べ、韓国、日本、中国の1300人の棋士が思いつかないような手を使ったとした。
・AIの開発者は碁をAIの「エベレスト山」だとし、対戦相手への創造性と洞察力が求められる碁の複雑さを表現。
・アルファ碁は、より人間らしくデータを高速処理出来る「深いニュートラルなネットワーク」2組で構成され、人間が直観的に必要ないと判断する数百万通りの潜在的な策(手)を切り捨てる事が出来る。また対戦経験から学習しより成長できるアルゴリズムが使われている。
・対戦は韓国の主なTVや日本、中国のケーブルチャンネルでも生放送された。
3月9日付米
『ウォールストリートジャーナル』は「セドル氏はグーグルを破るにふさわしいか」との見出しで以下のように報道している。
・碁は単純に見えて複雑、数学者によると序盤の40手で組み合わせのパターンは10の80乗と膨大。(チェスでは全局面でも約10の50乗)
・リ氏は95年プロとなってから18の世界タイトルを制したプロ棋士で、グーグル社員に「碁界のロジャー・フェデラー(男子プロテニス選手で最多優勝・最多賞金・歴代最長世界首位の記録をもつ)」と呼ばれているが直近の成功は少なく昨年1勝利のみ。
・一方、中国の18歳新人「柯傑」氏は碁盤上のジョコビッチといえ過去数年王者に君臨。今年はイ氏に2勝し、中国の囲碁界は20代が全盛期とされる碁でグーグルはセ氏が高齢と理解しながら柯傑氏にしなかった事を疑問視。アルファ碁の開発者デミス・ハサビス氏は経歴でセ氏を採用したが今後は中国や日本の棋士も加えたいとする。
・韓国人棋士が選ばれた背景に韓国での碁の根強い人気とスマホが普及したIT先進国である事が上げられ、韓国棋院によると碁人口は全人口(5千2万人)の約2割。最近の棋士を主人公にしたドラマで人気に火が付き、ケーブルTVや衛星放送では24時間碁が放送。
・高齢者に人気だったがグーグルの対戦で若者にも関心を持たれ、オンラインでは碁盤と対局時計の売り上げが先月20代の購買者で8割増。
・昨年AI開発者らはコンピュータが勝利するには後10年かかると予測したが昨年10月アルファ碁は欧州のファオンホイ棋士に圧勝、業界を震撼させた。
3月10日付米
『WIRED』は次のように報道している。
・今回の対戦でAIの急速な進歩が試された。アルファ碁は、これまでも画像やスマホの音声認識、検索エンジンの改良等でグーグルや同業他社の数々のオンラインサービスに貢献。またアルファ碁の技術はグーグルやカリフォルニア大バークレー校等で実験用ロボット工学に採用されている。
・1局目は黒で対戦したイ氏は2局目は白で対戦。アルファ碁が先手の黒で有利となった。昨年の(ファオンホイ棋士との)対戦時以来更に改善されたアルファ碁はより攻撃的でミスも少ない。
3月11日付韓国
『コリアタイムズ』は「アルファ碁が再び勝利」との見出しで次のように報道している。
・AIは究極に複雑で創造性と戦略の必要な碁で人間に勝る事を証明した。イ氏はプライドと名誉を挽回できるのだろうか。コメンテーターも驚く手を使ったAI相手に前回よりも寡黙で考慮時間も長くなった。しかしこれが命取りとなり時間をより有効に使えるアルファ碁は対局中、平均25分リード。韓国人はアルファ碁の勝利を受け、今やそれを「AI先生」と呼ぶ。
閉じる
その他の最新記事