米国:新たな免疫療法による癌治療試験で“驚異的な”効果
米ワシントン州にあるフレッド・ハッチンソン癌研究センターのスタンレー・リドル研究員らのチームは、患者自身の免疫T細胞を組み替えて使用する免疫療法による癌治療の臨床試験をおこなった。その結果、35人の、急性リンパ芽球性白血病(ALL)末期患者で94%が寛解(完治状態)し、それ以外の血液癌の試験でも50%乃至80%で症状が軽減するという驚異的な治癒効果が得られた。このため、免疫療法による癌治療が一躍脚光を浴びているが、癌の標準治療法として認められるには未だ道は遠いという指摘もある。
2月16日付
『FOXニュース』は、免疫細胞を使用した新しい癌治療が“驚異的な”効果を上げたと伝えている。
・T細胞白血球をある種の癌を攻撃するよう組み替えて使う癌治療の初期試験において、ALL患者の94%が完治した。また、それとは別の試験では、非ホジキンリンパ腫患者の80%改善が見られ、半数以上で症状が消滅した。
・この治療は、患者のT細胞を取り出し、それに癌細胞を狙う受容体を取り付けて体内に戻すものである。...
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2月16日付
『FOXニュース』は、免疫細胞を使用した新しい癌治療が“驚異的な”効果を上げたと伝えている。
・T細胞白血球をある種の癌を攻撃するよう組み替えて使う癌治療の初期試験において、ALL患者の94%が完治した。また、それとは別の試験では、非ホジキンリンパ腫患者の80%改善が見られ、半数以上で症状が消滅した。
・この治療は、患者のT細胞を取り出し、それに癌細胞を狙う受容体を取り付けて体内に戻すものである。T細胞取り付けられた受容体は、癌細胞が体内の免疫システムから防御する力を減らす。
・しかし、このような免疫システムの組み替えは、危険な副作用を伴うため最後の手段と考えられている。ALLの試験治療では患者のうち7人がサイトカイン放出症候群という免疫反応が出てICUに送られ、そのうち2人が死亡している。
16日の
『ボイス・オブ・アメリカ』は、血液癌治療の臨床試験で素晴らしい結果が表れたと報じている。
・体内に侵入するウイルスやバクテリアと戦う免疫T細胞は癌細胞も攻撃するが、通常はすぐに癌組織に圧倒されてしまう。
・ハッチンソン研究所チームの研究はこのT細胞の働きを強めるため、患者自身のT細胞に特定の癌に結合する受容体を取り付け、癌治療をおこなうものである。この臨床試験では、免疫B細胞が変性して発症する一連の血液癌をターゲットとした。
・免疫システムを操作する治療法は、悪性皮膚癌(メラノーマ)や一部の肺癌に効果があることは知られているが、それ以外の癌に対しては最後の手段と考えられている。
・リドル研究員らは、「癌治療での免疫療法を確立するためにはまだ多くの検討が必要であるが、免疫療法は有効な手段であり、ある場合には化学療法より優れそれに代わるものであることは間違いない」と述べている。
16日の
『ワシントンポスト』紙は、免疫療法による新しい癌治療を「驚異的」と評するのは時期尚早であると指摘している。
・オバマ政権が夢の癌治療の開発に10億ドルの予算を投じているが、多くの研究者は免疫治療に期待をかけている。リドル研究員らの臨床結果は非常に素晴らしいものであるが、報告書が未だ公表されておらず、他の研究者による相互評価を待たねばならない。
・また、この臨床試験では7人の患者が重度の免疫反応を起こしICUに収容され、そのうち2人が死亡している。
・免疫反応のリスクは免疫治療をおこなう場合の最大の障害であるが、リドル研究員らは、免疫治療で使用するT細胞の量を減らすことで副作用を避けることができると期待しているようである。
・そうなったとしても、免疫治療があらゆる癌に適用されるにはまだまだ先は長い。現在は、血液癌の治療がはじまってばかりである。多くの研究者はこの臨床試験で癌療法が確立したとは考えていない。
・この研究で期待されるのは、最終的に免疫療法を化学療法、放射線療法、外科治療などと並ぶ標準的癌治療として確立していくことである。今後研究チームは、あらゆるタイプの癌に対し安全性が高く有効な治療法の開発に取り組まねばならない。そうした結果が公表されて初めて、この療法がどれ程革新的かを評価することができる。
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インドがフェイスブックの無料ネットサービスを禁止
フェイスブックの簡易版である「フリー・ベーシックス」は、ユーザーが携帯電話からデータ料金なしで同社のサイトのほか教育や医療、求人情報などにアクセスできるようにするもので、途上国向けに開発されたアプリケーションである。インド情報通信監督局(TRAI)は8日、このフリー・ベーシックスはインターネット上の限られたサイトを優遇し、競争を排除するものだとしてインド国内での使用を禁止する措置を発表した。
2月8日付
『FOXニュース』は、フェイスブックの無料インターネットアクセスサービス「フリー・ベーシックス」がインドで禁止されたと報じた。
・TRAIは、ネットサービスプロバイダーは全てのコンテンツに対して同一価格で課金しなければならないとの判断を下した。
・インドは先端的なIT立国であるが、数億人の国民がインターネットや電話を利用できない。
・フリー・ベーシックスは、インターネッやトスマートフォンに接続できない消費者に医療、旅行、求人などの限定的なインターネットアクセスを無料で提供するサービスである。...
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2月8日付
『FOXニュース』は、フェイスブックの無料インターネットアクセスサービス「フリー・ベーシックス」がインドで禁止されたと報じた。
・TRAIは、ネットサービスプロバイダーは全てのコンテンツに対して同一価格で課金しなければならないとの判断を下した。
・インドは先端的なIT立国であるが、数億人の国民がインターネットや電話を利用できない。
・フリー・ベーシックスは、インターネッやトスマートフォンに接続できない消費者に医療、旅行、求人などの限定的なインターネットアクセスを無料で提供するサービスである。ウエブサイトやサービスを限定しデータ量を極力減らすことによって、料金は最小限で済むように設計されている。
・フリー・ベーシックスに対しては、インターネットのコンテンツとそのユーザーは平等であるべきとするネット中立性の基本理念に反しているという根強い批判がある。
8日付
『タイム』誌は、インドのTRAIは、特定のプロバイダーを通じて無料で限定的なインターネットアクセスサービスを提供するフェイスブックのフリー・ベーシックスを事実上禁止したと報じている。
・インドは無料のネットアクセスサービスを禁止する世界でも少数派の国になる。アジア、アフリカ、ラテンアメリカの新興国がインドに追随して同様の措置をとるかが注目される。
・チリやオランダ、スロベニアが無料ネットサービスを禁止しているが、オランダとスロベニアは欧州委員会がEU諸国でのネット中立性の関する新たな基準を設けたため、間もなく禁止を撤回する予定である。
・一部のサービスを囲い込むことによって競争を阻害することになれば、確かに反競争的行為ということはできる。今後も無料サービスについての議論は続くだろうが、インドでは判断が下された。
8日付
『ワシントンポスト』紙は、TRAIがネットプロバイダーはインターネット提供に差別的料金設定することを禁止し、途上国に対する低料金ネットサービス事業と展開するフェイスブックに大きな打撃であると伝えている。
・フリー・ベーシックスはフェイスブックの簡易版であり、世界中の37カ国で千5百万人のユーザーに天気や求人情報を提供している。
・インドのTRAIは、インターネットプロバイダーがデータについて料金を無料とすることを含め異なった価格を設定することを禁止した。
・フリーベーシックスは、エジプトで使用が禁止されザンビアではグーグル検索から除外されるなど各地でトラブルを起こしている。
・インドでは3億人のモバイルインターネットユーザーがいるが、約10億人がインターネットにアクセスできない。フェイスブックの利用者は米国に次いで1億3千万人であり今後大幅な拡大が見込める市場である。
・しかし、フリー・ベーシックスは昨年4月インドに導入されて以来、貧しい利用者にフェイスブックが管理するウエッブサイトの一部だけにアクセスを認めることで「囲い込み」をしているという批判が起きていた。
・著名なIT企業家、大学教授らが天気予報、求人等のサイトを選別する監督アプリはインドの脆弱なベンチャー企業やソフトウエア開発業者に不利益を与えると指摘していた。
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