ニコラス・マドゥロ大統領は、1月1日のベネズエラ国営テレビで放映されたフランス人の記者のインタビューに答えて「ベネズエラとしては、米国政府と大使館の設置など、外交関係の正常化に向けたプロセスを進める用意がある。」と語った。
なお、ベネズエラ政府は2019年、トランプ政権が反体制派のフアン・グアイド氏を暫定大統領として承認したことで米国との外交関係を断絶した。
さらにマドゥロ現大統領を現政権から追い出すため、ベネズエラに対して石油の輸出禁止などの経済制裁を科してきた。...
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ニコラス・マドゥロ大統領は、1月1日のベネズエラ国営テレビで放映されたフランス人の記者のインタビューに答えて「ベネズエラとしては、米国政府と大使館の設置など、外交関係の正常化に向けたプロセスを進める用意がある。」と語った。
なお、ベネズエラ政府は2019年、トランプ政権が反体制派のフアン・グアイド氏を暫定大統領として承認したことで米国との外交関係を断絶した。
さらにマドゥロ現大統領を現政権から追い出すため、ベネズエラに対して石油の輸出禁止などの経済制裁を科してきた。
米国は、バイデン政権に移ってからも、マドゥロ大統領を2018年の大統領選挙で不正に当選したとして正式の大統領として認めなかったという経緯がある。
しかし、ウクライナ戦争によるロシア産の原油輸出禁止による世界的な石油危機がベネズエラ、米国、両国間の関係改善をもたらしている。
昨年、2022年には米国特使がベネズエラを訪問した。さらにベネズエラの現政権と反体制派間のネゴが進展した結果、米国はベネズエラに対する経済制裁を緩和した。これにより米国の巨大石油開発/生産企業シェブロンが6か月間、ベネゼエラでの原油開発/生産に乗り出すこととなった、
マドゥロ大統領はさらに、EUの安全保障政策上級代表(外交責任者)ジョセップ・ボレルとの定期的協議も進行中で、今後EU諸国との関係も改善すると予想している。
米国のベネズエラ政策の転換により、ベネズエラ原油が早急に世界市場に流通することで、世界でのロシア石油依存が少しでも解消でき、ロシアへの経済制裁がより効果的となる。 その効果を期待したい。
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イランの首都テヘランで、政治犯や外国人ジャーナリストも収容されている刑務所が火災に見舞われ、死傷者がでているという。イランでは、先月、女性が頭髪を覆う法律をめぐり逮捕された女性が警察の拘束後に亡くなったことをきっかけに、各地で政府への抗議デモが続いている。抗議者も同じ刑務所に送られているが、デモと火災の関連性は分かっていない。
10月17日付
『ロイター通信』:「抗議デモが続く中、イランの刑務所火災で死者4人負傷者61人」:
15日夜イランのエヴィン刑務所で火災が起き、服役中の4人が死亡、負傷者は61人だと国営メディアが報じた。イランでは、警察の拘束中に女性が死亡したことをきっかけに反政府デモが続いており、16日も複数の大学などでデモが行われた。
イラン当局は15日、「多くの受刑者の間で窃盗を機に暴動が起きた後」刑務所の作業所が放火されたと発表。...
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10月17日付
『ロイター通信』:「抗議デモが続く中、イランの刑務所火災で死者4人負傷者61人」:
15日夜イランのエヴィン刑務所で火災が起き、服役中の4人が死亡、負傷者は61人だと国営メディアが報じた。イランでは、警察の拘束中に女性が死亡したことをきっかけに反政府デモが続いており、16日も複数の大学などでデモが行われた。
イラン当局は15日、「多くの受刑者の間で窃盗を機に暴動が起きた後」刑務所の作業所が放火されたと発表。国営メディアによると、死亡者の死因は煙を吸ったことによる中毒死だとしている。
エヴィン刑務所には、治安部隊に逮捕されたイラン人や外国人も多く服役しているという。外国人の多くはスパイ罪など治安関連の罪で服役している。フランスの外相は16日、フランス人も複数も服役している刑務所の状況を注視しているとしている。
イラン国内の抗議デモは、9月16日、革命以来続く宗教規律への意義を唱えた22歳のマーサ・アミニさんの死をきっかけとして起きた。今月16日も大学などでデモが行われ、警察が配備された。SNSでは、テヘラン大学で学生が「イランは刑務所になってしまった」などと抗議する姿や、路上の炎、警察による催涙ガスの映像もみられた。
バイデン米大統領は15日、「イラン人抗議者の勇気に驚いている。(イランは)自国民への暴力をやめ、基本的権利を認めるべき」だとコメント。一方イランのエブラヒム・ライシ大統領は、バイデン米大統領が「無秩序、恐怖、破壊を扇動した。米国は偉大なサタンだと言った建国者(革命指導者ホメイニ氏)の言葉を思い出すべき」だと述べている。
イランでは抗議者への取締が続いており、人権団体によると32人の年少者を含む少なくとも240人が殺害されたとされる。イラン活動家報道機関「HRANA」によると、11の市や町での逮捕者は8000以上だという。一方、当局は死者数を公表しておらず、治安部隊によるデモ参加者の殺害も否定。国営メディアは、治安部隊の少なくとも26人が「暴動者」により殺害されたとしている。
同日付英『BBC』:「エヴィン刑務所火災:イランの悪名高き拘置所で死者数人」:
政治犯を収容しているとされる刑務所で、死者がでており、発表より多い模様とされている。テヘラン市内での現場で、火災や爆発が確認できる映像がネット上で公開されている。
イラン各地ではここ数週間、反政府デモが続いている。デモの参加者数百人が、このエヴィン刑務所に送られているが、この火災がデモと関係するかは明らかではない。
デモは先月、イラン人のマーサ・アミニさんが警察に拘束されたことを機に起こった。当局は彼女が心臓発作で死亡したと主張しているが、家族は警察に殴打されたことで死亡したと反論している。
SNS上では15日夜、火災や噴煙の映像が投稿された。射撃音や爆発音が聞かれる映像もあった。イスラム革命防衛隊系のニュースは当初、刑務所逃亡による地雷爆発だとしていた。火災中に逃げようとした服役者が地雷を踏んだとしていたが、そのような事態は起きていないと訂正。
15日夜、イラン国営テレビは、刑務所の一部が安全で落ち着いている様子の映像を報道したが、火災現場とは違う場所だとの証言もある。
かつて服役していた者は、シラミ、ゴキブリ、ネズミにまみれ、医療ケアはほぼないこの地を地獄の谷と呼ぶ。刑務所は西欧の人権団体から常に批判され、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、長時間の尋問や服役者への医療不備に加え、虐待や無釈放もあることを批判してきた。
服役者のいる国では懸念が続いている。米国務省は、危機感を持って事態を見守っているとし、英国安全保障担当相は、「非常に憂慮すべき事態」だとしている。
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