中国共産党のアメリカ国内への影響力の浸透(2021/10/19)
中国当局の米国内への影響力の浸透について政府元高官や元国会議員などから懸念の声が上がっている。
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『ワシントンタイムズ』によると、マイク・ポンペオ前国務長官は16日土曜日の夜、サンフランシスコ近郊のカリフォルニア州リバモアで講演を行い、中国共産党の脅威がアメリカ国内に浸透していると語った。中国共産党は米国内で連邦政府、州政府、地方政府をターゲットにした積極的な影響力と諜報活動を行っていると述べた。
ポンペオ氏は、共和党と民主党の歴代政権は何十年にもわたって行ってきた中国に対する融和的な政策が行われてきたが、トランプ政権下で米国の対中政策が大きく転換したと述べた。...
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『ワシントンタイムズ』によると、マイク・ポンペオ前国務長官は16日土曜日の夜、サンフランシスコ近郊のカリフォルニア州リバモアで講演を行い、中国共産党の脅威がアメリカ国内に浸透していると語った。中国共産党は米国内で連邦政府、州政府、地方政府をターゲットにした積極的な影響力と諜報活動を行っていると述べた。
ポンペオ氏は、共和党と民主党の歴代政権は何十年にもわたって行ってきた中国に対する融和的な政策が行われてきたが、トランプ政権下で米国の対中政策が大きく転換したと述べた。トランプ前大統領の下で国務長官を務めた1000日の間に、中国に有利になるよう米国の政策に影響を与えるために、中国政府がどのように州知事を標的にしていたかを明らかにした報告書を機密解除したことも明らかにした。
「私は、中国共産党がアメリカ全土の知事に影響を与えようとしていることをまとめた報告書の機密解除に成功した。報告書には、知事ごとに、中国の味方なのか、中国の敵なのか、中国のために仕事をしているのかを区分けした表が記載され」、中国共産党が政府や社会のさまざまなレベルで、米国内で大規模な影響力行使を行っていることが強調されていたという。
ポンペオ氏は、「中国共産党は、我々が今夜座っている場所で活動している」と指摘した。「彼らがこのレストランのすぐ外に座っていても私は驚かないだろう。彼らがカリフォルニア州のすべての郡の郡政委員会に参加していても、私はまったく驚かない。彼らがアメリカ中のすべての州議会のホールを歩いていても、まったく不思議ではない」と語った。
ポンペオ氏はまた、中国当局の活動のもうひとつの例として、ヒューストンの中国領事館を拠点に活動していた中国のスパイ組織をあげた。この領事館は、医療やその他の貴重な知的財産を盗むことに主眼を置いたスパイ活動を行っていたとして、2020年7月に閉鎖された。ポンペオ氏は、「こうした活動は長い間知られていたが、どの政権も中国共産党が米国内で行っていたことを実際に阻止するために行動を起こす覚悟を持つことが出来なかった」と述べた。
さらに、中国がカリフォルニア州の年金基金に中国への投資を呼びかけ、通常兵器と核兵器の両方の大規模な軍備増強に資金を充てていると警告した。
ポンペオ氏は、「中国共産党と仲良くすればいいと言う人たちは、このような人たちと交渉することは不可能だということを理解していない」と述べた。民主主義者と共産主義者は、人生、あるいは、権力、に対する理解が根本的に異なっていると説明した。中国の最高指導者である習氏は、中国の「王国」と「中国の夢」を提唱しているという。その中国共産党のビジョンは、自由と民主主義というアメリカの夢とは全く逆のものだとポンペオ氏は語った。
1981年から2015年まで下院議員を務めたフランク・ウルフ氏も、米『ナショナルレビュー』への11日付けの寄稿で「中国では、カトリック、プロテスタント、仏教、イスラム教のウイグル人、法輪功など、あらゆる信仰団体が迫害されているという事実がある。しかし、ほとんどメディアで取り上げられていない問題として、中国が民主党、共和党を問わず、議会や政権に与えている影響力である。」と述べた。「元議員や政府と軍の元高官の中には、中国や中国政府が管理する企業のために働いている人がたくさんいる。」とも指摘している。そして、「今では中国を代表している人がワシントンではそこら中にいる」と警告している。
米国内では現在、26の組織が中国政府の外国代理人として登録されている。選挙資金やロビー活動に関するデータを追跡しているNPO法人OpenSecretsの報告によると、「中国の外国エージェントは、他の国のために働くどの外国エージェントやロビイストよりも多くロビー活動を行い、影響力を行使しており、2020年の総支出額は約6440万ドル(約73億円)、その80%は中国の国営テレビメディアの一部門であるCGTN Americaによるものだった。」とまとめている。
米テレビ局『WJHL』によると、米中央情報局(CIA)は今月7日、中国政府の影響力に対抗するための米国政府の取り組みの一環として、対中国に特化した部署を新設すると発表した。この部署は、CIAが運営する十数カ所のミッションセンターの1つとなり、週1回の部長クラスの会議で対中国戦略を推進することになる。また、CIAは、中国語に堪能なスタッフの採用活動を強化し、新興技術や気候変動、地球規模の健康危機などに焦点を当てた別のミッションセンターを設立することも発表した。CIAのウィリアム・バーンズ長官は声明で、中国政府を「21世紀に我々が直面する最も重大な地政学的脅威である 」と述べた。
一方バイデン政権は、気候変動や北朝鮮などの問題では中国との共通認識を求めており、テロ対策に重点を置く一方で、中国との「大国間競争」に資源をシフトすることを繰り返し示唆している。
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中国;ベトナム(越)が日本・米国寄りにならないようCOVID-19ワクチン無償提供で中国側に引き戻し【米・ベトナムメディア】(2021/09/12)
8月26日付GLOBALi「
米ハリス副大統領;ベトナム着便の遅れの隙を突かれて、中国のベトナム向けワクチン提供に先を越される怪」で触れたとおり、中国が、米国からベトナム向けに100万回分の新型コロナウィルス(COVID-19)ワクチン提供の話が持ち出される直前、ベトナム宛に200万回分のワクチン提供の話を提案した。そしてこの程、中国外交部長(外相に相当)の訪越に合わせて、300万回分のワクチン無償提供の話が確約された。なお、岸信夫防衛相(62歳)が同じ日に訪越して、軍事装備品提供の話を持ち出しているが、中国側は、ベトナムを日本及び米国寄りにさせないようワクチン外交を展開していることは明白である。
9月11日付米
『AP通信』:「中国、ベトナム宛に300万回分のCOVID-19ワクチン無償提供を確約」
訪越中の中国外交部の王毅部長(ワン・イー、67歳)は9月11日、中国がベトナム宛に300万回分のワクチンを無償提供すると表明した。
ベトナムは目下、感染再拡大に遭って都市封鎖措置を講じている。
そして、同国の約2,300万人の学生・生徒の新学期が今週初め(9月6日の週)始まっているが、ほとんどはオンライン授業を余儀なくされている。...
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9月11日付米
『AP通信』:「中国、ベトナム宛に300万回分のCOVID-19ワクチン無償提供を確約」
訪越中の中国外交部の王毅部長(ワン・イー、67歳)は9月11日、中国がベトナム宛に300万回分のワクチンを無償提供すると表明した。
ベトナムは目下、感染再拡大に遭って都市封鎖措置を講じている。
そして、同国の約2,300万人の学生・生徒の新学期が今週初め(9月6日の週)始まっているが、ほとんどはオンライン授業を余儀なくされている。
ベトナム国営テレビ『VTV』(1970年開局)は9月11日、中国側からかかる提案を受けたファム・ミン・チン首相(62歳)が、両国の意見の相違等は対話によって解決していく必要がある、と表明したと報じた。
ベトナムは以前から、南シナ海において進めている天然ガス探索事業を中国側に邪魔されていると非難していた。
今回、王部長の訪越についてベトナム外務省は、チン首相と共に王部長が共同議長を務めることで、第13回中国・ベトナム二国間協力運営委員会がつつがなく開催されたと発表している。
なお、王部長は、ファム・ビン・ミン第一副首相(62歳、前外相)と会談し、また、グエン・フー・チョン共産党書記長(77歳、最高指導者)を表敬訪問している。
一方、岸信夫防衛相も9月11日に訪越していて、ベトナム向け防衛装備品及び技術移転協定に署名した。
日越両国は、中国の軍事力拡大を懸念し、防衛協力について段階的に強化してきている。
同防衛相の訪越2週間前に、米国のカマラ・ハリス副大統領(56歳)が訪越していて、南シナ海における中国の“横暴”に対して、他東南アジア諸国と一緒になって抵抗していくべきだと強調していた。
9月12日付ベトナム『ベトナム新聞』(1945年、ベトナム国営通信社発刊):「中越外相、二国間関係強化に向けて具体的協議」
ブイ・タン・ソン外相(58歳)は9月11日、訪越中の王外交部長と会談し、二国間関係を強化していくべく具体的協議を行った。
両外相はまず、今年初めから、両国の様々なレベルでの協議が柔軟に進められてきたことを評価し、今後ともこの姿勢で臨んでいくことで一致した。
その上で、特にCOVID-19感染問題に対する取り組みのみならず、かかる非常時下における経済・貿易活動における協力関係を維持・強化していくことも確認した。
その際、ソン外相から王部長に対して、中国側から表明されたワクチン300万回分の追加提供について謝意が表明された。
なお、両外相は、南シナ海領有権問題に関して、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国間で交渉が進められている「行動規範」について、早期に合意に達するよう相互に協力していくことを確認した。
ただ、ソン外相からは、「海洋法に関する国連条約(UNCLOS、注後記)」に定められた沿岸国の権利や正当な利益については尊重していくことが求められる、と強調する見解が述べられている。
(注)UNCLOS:海洋法に関する包括的・一般的な秩序の確立を目指して1982年4月に第3次国連海洋法会議にて採択され、同年12月に署名開放、1994年11月に発効した条約で、通称、国連海洋法条約。国際海洋法において、最も普遍的・包括的な条約であり、基本条約であるため、別名「海の憲法」とも呼ばれる。
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