テニス:ジョコビッチ選手の強制送還に賛否(2022/01/17)
17日開幕のテニス全豪オープンで、大会4連覇と4大大会21度目の優勝が懸かっていたノバク・ジョコビッチ選手が、ビザを取り消され出場できずに国外退去となった。祖国セルビアでは国民的英雄の送還に落胆の声が聞かれている。
1月16日付豪
『ABC』:「豪政府に怒るセルビア人、理由は様々」:
セルビア人の多くはノバク・ジョコビッチ選手の強制送還を決めた豪政府に批判を向けるが、その理由は複雑で、自国の英雄を称えるという点に留まらない。
同選手はセルビア南部ノベルグラード市の祖父のアパートで過ごしたが、ここは1990年後半のコソボ紛争で同市を襲った爆弾を逃れた場所だ。戦争が続いたセルビア人には30年程楽しい記憶はなく、ノバクはやっと国民に希望を与えた存在なのだという。...
全部読む
1月16日付豪
『ABC』:「豪政府に怒るセルビア人、理由は様々」:
セルビア人の多くはノバク・ジョコビッチ選手の強制送還を決めた豪政府に批判を向けるが、その理由は複雑で、自国の英雄を称えるという点に留まらない。
同選手はセルビア南部ノベルグラード市の祖父のアパートで過ごしたが、ここは1990年後半のコソボ紛争で同市を襲った爆弾を逃れた場所だ。戦争が続いたセルビア人には30年程楽しい記憶はなく、ノバクはやっと国民に希望を与えた存在なのだという。
感染症の専門家で政府のコロナ対策を批判するラドヴァノビッチ医師は、「ポピュリスト政府は人気取りのため、ワクチン普及と同時に、ワクチン反対派をも増やした。国民はその複雑なメッセージに困惑し、ワクチン接種率は今も約50%しかない」という。
豪のアレックス・ホーク移民相は、先週のビザ取り消しは「健康と人々への影響を考えた上での決定」とした。
ジョコビッチ氏は、ワクチン反対を表明してはいなかったが、豪政府に決定をきっかけとし、今や反ワクチンの象徴的存在だ。
ベルグラードにある研究社会開発センターのコバチェビッチ弁護士は、「ジョコビッチほど有名な富裕層で、影響力のある人の扱いがこれなら、豪州への移民はどれほど力不足かというのが明らかとなった。ある意味、豪政府の嫌がらせともいえる。弁護士に大金を払える人でも、テニス界の最高の選手にこの扱いなら、他の皆がその対象となりうる」と懸念する。
同日付『AP通信』:「ジョコビッチ選手が豪から送還されても、ワクチン議論は継続」:
ジョコビッチ選手送還という豪の決定は下ったのだが、その対応について世論は割れている。
ジョコビッチ選手は、以前に感染歴があることで、ワクチン免除での豪オープン出場が許可されたが、入国に際し、当局から免除は無効だと送還される政治劇を繰り広げた。同氏は祖国セルビアで絶大な支持を得ており、セルビアの首相は、豪を批判し彼の帰国を歓迎すると述べた。また、反ワクチン派にとっても英雄と崇められル存在で、今月16日にはオランダで行われたデモ行動で、彼を支持するポスターも掲げられていた。
ジョコビッチ選手の件での議論は続いており、豪の国民への影響を考慮しビザを取り消す豪の厳格な特例を認めさせる結果となったが、なんでも普通と違ったアプローチを好む同氏に、コロナワクチンに関してもリーダーシップを発揮してほしかったとの意見もある。
一方で、批判的な声もある。イタリアのテニス選手、アドリアーノ・パナッタ氏は、「送還は当然だ。ビザを出せるはずない。大きな間違いを犯し、国際的な問題を生じさせた」イタリアのニュースで述べている。フランスのアリーゼ・コルネ選手は、意見を述べる立場にないが、「ノバクは選手の先頭に立ってくれる人だが、誰も逆に味方になれなかった」とツイッターで述べている。
コロナ対策に変更がない限りは、ジョコビッチ選手は次のグランドスラムである5月からの全仏オープンへの出場権を保持しており、ワクチン未接種の選手用の「ヘルスバブル」での滞在が可能だという。ウィンブルドンも同様で、イギリスは試合やトレーニングに参加せず宿泊施設での隔離を条件に、渡航する選手へのコロナ規制免除を行っている。全米オープンを開催する全米テニス協会は、ワクチン接種条件については連邦や州政府の規則に従う方針を示している。
閉じる
バイデン大統領;3/1に就任後初の一般教書演説を予定【米メディア】(2022/01/09)
ジョー・バイデン大統領(79歳)は、米軍のアフガニスタン撤退問題、新型コロナウィルス(COVID-19)感染再拡大、更には、副大統領時代に絶賛していたIT寵児の詐欺容疑による有罪判決等、逆風に曝され始めている。そうした中、就任後初となる一般教書演説(注後記)を行って、その逆風に立ち向かおうとしている。
1月8日付
『AP通信』:「バイデン大統領、就任後初の一般教書演説を3/1に予定」
ホワイトハウスは1月7日、ジョー・バイデン大統領が就任後初となる一般教書演説を3/1に行う予定であると発表した。
これに先立ち、ナンシー・ペロシ下院議長(81歳、カリフォルニア州選出の民主党下院議員)が、同大統領の就任1年を踏まえての一般教書演説を行うよう正式に依頼していた。
同議長は招待状の中で、“米国の危機を救い、更なる発展に結びつけるべく類まれなるリーダーシップを発揮しているバイデン大統領を称賛する”とし、“(同大統領が力説する)Build Back Better!が達成されつつあるので、3月1日に議会両院で大統領の見解を披露して欲しい”と言及している。...
全部読む
1月8日付
『AP通信』:「バイデン大統領、就任後初の一般教書演説を3/1に予定」
ホワイトハウスは1月7日、ジョー・バイデン大統領が就任後初となる一般教書演説を3/1に行う予定であると発表した。
これに先立ち、ナンシー・ペロシ下院議長(81歳、カリフォルニア州選出の民主党下院議員)が、同大統領の就任1年を踏まえての一般教書演説を行うよう正式に依頼していた。
同議長は招待状の中で、“米国の危機を救い、更なる発展に結びつけるべく類まれなるリーダーシップを発揮しているバイデン大統領を称賛する”とし、“(同大統領が力説する)Build Back Better!が達成されつつあるので、3月1日に議会両院で大統領の見解を披露して欲しい”と言及している。
歴代大統領はこれまで、就任1年経過後の1月か、あるいは2月に議会での演説を行ってきたので、バイデン大統領の場合は最も遅いタイミングとなる。
遅延理由は、年明けから審議すべき法案等が目白押しであること、感染力が倍増したオミクロン変異株の感染者が急増していること、また北京オリンピックが間近に控えていること等で、全国メディアにとっても先送りされることが望ましいと考えている。
バイデン大統領は就任後100日経過した2021年4月、議会両院で最初の演説を行い、COVID-19禍に伴い経済再活性化のためのインフラ投資法案及び弱者のための救済支援法案の制定を訴えている。
なお、今回のバイデン大統領の一般教書演説は、前任のドナルド・トランプ大統領が2020年2月、最初に提訴された大統領弾劾裁判について上院が否決(賛成票が3分の2以下)した当日の晩に行って以来となる。
(注)一般教書演説:米国大統領が連邦議会両院の議員を対象に行う演説で、国の現状についての大統領の見解を述べ、主要な政治課題を説明するもの。年頭教書ともいう。
閉じる
その他の最新記事