トランプ米次期大統領、台湾蔡総統と電話で協議(2016/12/05)
トランプ米次期大統領は12月2日台湾の蔡総統と電話で協議を行い、経済、政治、安全保障について緊密な関係を確認した。米国と中国が1979年に国交を正常化して以来、中国政府が掲げる一つの中国政策(台湾は独立国ではなく中国の一部)を尊重して、米国の大統領や次期大統領が台湾の総統と公式に協議を行うことはなかったが、今回37年ぶりに行われた。トランプ次期大統領の政権移行チームは今回の協議が、従来の米国の台湾政策を十分認識したうえで行われたと発表しており、トランプ氏が対中政策について何らかの変更を試みている可能性もあるが、場合によっては中国が反発するのは必至であり、今後の展開が注目される。
12月4日付
『ヤフーニューズ』(AP通信引用)は、「トランプ次期大統領の電話協議、台湾に希望、北京に懸念をもたらす」という見出しで、トランプ次期大統領の10分間の電話と二つのツイッター投稿は、新聞の大見出しと台湾全土に新たな対米関係への希望をもたらしたが、米国、中国、それに独自に統治されているが中国が離反した自国の省とみなす台湾との複雑な関係に新たな緊張ももたらしたと報じた。トランプ次期大統領が1979年以来の米国の台湾政策を転換するのかどうかは不明であるが、台湾の指導者と公式に協議しなかった従来の方針を覆したのは事実である。...
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12月4日付
『ヤフーニューズ』(AP通信引用)は、「トランプ次期大統領の電話協議、台湾に希望、北京に懸念をもたらす」という見出しで、トランプ次期大統領の10分間の電話と二つのツイッター投稿は、新聞の大見出しと台湾全土に新たな対米関係への希望をもたらしたが、米国、中国、それに独自に統治されているが中国が離反した自国の省とみなす台湾との複雑な関係に新たな緊張ももたらしたと報じた。トランプ次期大統領が1979年以来の米国の台湾政策を転換するのかどうかは不明であるが、台湾の指導者と公式に協議しなかった従来の方針を覆したのは事実である。トランプ氏がツイッターへの投稿で「台湾の大統領」と言及したことを台湾の新聞は大きく報じており、これは台湾を独立国と認めていない中国にとっては受け入れられない表現である。
今回の協議について台湾では、トランプ次期大統領の下中国の脅威に対し米国の従来以上の援助が期待できる、台湾の国際的地位向上に役立つ、米国の台湾への武器輸出増加に繋がるなどの意見が出ている。台湾の大学教授はトランプ氏は従来の米国の方針にとらわれず、柔軟な政策を出してくるだろうと見る。今回の動きを受けて中国の王毅外相は米国に対し不満表明を行うこととしたが、台湾における米国の出先機関の所長を勤めた米国人は台湾と正式な外交関係を持つ22ヶ国に対し中国が圧力をかけてくる可能性があるとみる。中国は今回の動きが偶発事故なのか、新たな外交政策の始まりなのか慎重に見極めるだろうと見ていると報じている。
12月4日付
『ワシントンポスト』は、「トランプ次期大統領と台湾指導者との電話協議は計算された動きと専門家は見る」という見出しで、トランプ次期大統領は40年間続いた外交儀礼を破って台湾の指導者蔡英文氏と協議したが、これは驚くに当たらないという見方もあると報じた。今回のことを素人外交の思慮に欠ける不手際とみる評論家がいる一方、十分に計算され事前に計画された断固たる新対中関係構築の合図とみる専門家もいる。トランプ氏は選挙中から米国経済を侵す中国と対峙することを表明しており、また当選後はワシントンにおける従来の政治外交慣習を改めることを表明している。また、プリーバス首席補佐官を含む政権移行チームの何人かは反中親台湾派で占められている。彼らは台湾をアジアにおける民主主義の灯台とみなしており、従来のオバマ政権の扱いに大いに不満を持っている。12月2日の電話協議がその証だとまでは言わないが、トランプ政権は台湾政策を再検討するつもりであると専門家は見る。大統領就任後にやれば外交上更に重大な結果をもたらす可能性があるため、就任前の今の時期感触を探っているのだと見る。
トランプ氏の盟友で元国連大使のボルトン氏は、中国の南シナ海での動きをけん制するためにも台湾カードを使うべきだと発言する。中国の対応次第では、台湾政府との公式のつながりを深めることも考えるべきだという。ハンツマン元中国大使は中国政府は今回の電話協議についてさほど重大視していないのではとみている。台湾は価値を共有し、経済も相応の規模で、成熟した市民社会が存在する国であり、もう少しその規模にあった活動の場を与えてもよいのではないかとみていると報じている。
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全米で時給15ドルの最低賃金要求の抗議行動(2016/11/30)
11月29日全米各地で時給15ドルの最低賃金を要求する抗議行動が行われ、逮捕者も出ている。トランプ次期大統領がこの問題にどう対応するのかは未だわからないが、労働長官に誰が選ばれるかに影響されることは間違いない。
11月29日付
『ニューヨークタイムズ』は、「全米各地で15ドルの最低賃金を要求する抗議行動」という見出しで、火曜日全米各地で数千人の低賃金労働者が15ドルの最低賃金と労働組合結成の権利を主張して抗議行動を行い、道路を封鎖し空港のサービスを中断させたと報じた。抗議行動は労働者による「15ドルを勝ち取る運動」の4周年の日に行われたが、この運動はカリフォルニアやニューヨークで15ドルの最低賃金法制化など数百万人の労働者の賃金引上げに寄与した。...
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11月29日付
『ニューヨークタイムズ』は、「全米各地で15ドルの最低賃金を要求する抗議行動」という見出しで、火曜日全米各地で数千人の低賃金労働者が15ドルの最低賃金と労働組合結成の権利を主張して抗議行動を行い、道路を封鎖し空港のサービスを中断させたと報じた。抗議行動は労働者による「15ドルを勝ち取る運動」の4周年の日に行われたが、この運動はカリフォルニアやニューヨークで15ドルの最低賃金法制化など数百万人の労働者の賃金引上げに寄与した。火曜日の抗議行動はニューヨーク、デトロイト、ロスアンゼルス、オークランドなどでライドシェアのウーバーの運転手、小売り業、ファーストフードレストラン、空港や病院の労働者により行われた。
ニューヨークでは2011年にウォール街を占拠した抗議者が宿営したズッコッティ公園を出発してブロードウェイを行進した。シカゴではオヘア空港に労働組合、教会、コミュニティグループを代表する人々が集まり労働組合の結成を要求して気勢を挙げた。デトロイトではマクドナルドレストランの外に集まった抗議者から40名の逮捕者が出た。逮捕者はロスアンゼルスやマサチューセッツ州ケンブリッジでも出たと報じられている。デトロイト市警察当局は、抗議者を逮捕する際に特に抵抗はなかったが、交通の妨げになるので逮捕したと語ったと伝えている。
11月30日付
『ヤフーニューズ』(ロイター通信引用)は、「トランプ勝利後最初の15ドルへの抗議行動で多数の逮捕者」という見出しで、トランプ氏が大統領に選出されて初めてのファーストフードや空港労働者の賃上げと労働組合の権利を主張する全米の抗議行動が火曜日行われ多数の逮捕者が出たと報じた。労働組合が支援する「15ドルを勝ち取る」団体は大都市のマクドナルドレストランを標的にした。シカゴのオヘア空港やボストンのローガン空港では手荷物扱いや雑役の労働者が抗議行動を行ったが、空港当局によると運行上の支障は生じなかった。警察は交通を妨害したとして、シカゴで55名、マサチューセッツ州ケンブリッジで34名、デトロイトで39名、ロスアンゼルスで40名を逮捕したと発表した。
トランプ次期大統領は昨年は米国労働者の賃金は高すぎて競争力がないと言っていたが、今年になって州が先導して最低賃金を引き上げるべきだと発言した。これまで決定された新政権の陣営は親ビジネス派が多いが、労働問題に大きな影響力を持つ労働長官は未定である。民主党の大統領候補を争ったバーニー・サンダース上院議員は今回の抗議を支持し、ツイッターに「米国で週40時間働く人は貧しい生活になってはならない」と投稿したと報じている。
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