原発プロジェクトに見る英国メイ新首相の対中方針
英国で何十年かぶりに建設を計画されているヒンクリーポイント原子力発電プロジェクトが7月29日に行われる予定であった建設契約調印式を延期することとなった。同プロジェクトはフランス電力庁(EDF)との間で建設計画が進んでいたものを、昨年中国の習近平主席が訪英した際に当時のキャメロン首相の親中政策の下、中国の国営会社が33%出資することになった。メイ首相は電力供給という国の根幹にかかわることに中国の政府系会社が関与することに懸念を示している模様であり、調印を秋まで延期して再検討することとなった。キャメロン前首相は極めて積極的に中国との親密な関係作りに腐心して来たが、メイ首相は当時からこれに疑念を抱いていたようで、今回のプロジェクト延期を契機として英国の対中方針が変わる可能性が出て来た。メイ首相はサッチャー元首相と比較されるが、サッチャー氏以上に自分の考えを通す鉄の女であると専らの評判である。
7月30日付
『ヤフーニューズ』(ロイター通信引用)は、「英国メイ首相、中国の投資を懸念しヒンクリーを延期させる」という見出しで、側近の話によるとメイ首相は中国の投資を安全保障の観点から懸念し、自らヒンクリーポイント原発プロジェクトを延期に導いたと報じた。フランスのEDFが中国の資金協力を得て建設する同プロジェクトを、キャメロン前首相は英国が外国からの投資に開放的である象徴と自賛したが、今回英国政府は、同国のインフラ建設、エネルギー供給、外国からの投資に関する対応が変化しているため再検討すると発表した。...
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7月30日付
『ヤフーニューズ』(ロイター通信引用)は、「英国メイ首相、中国の投資を懸念しヒンクリーを延期させる」という見出しで、側近の話によるとメイ首相は中国の投資を安全保障の観点から懸念し、自らヒンクリーポイント原発プロジェクトを延期に導いたと報じた。フランスのEDFが中国の資金協力を得て建設する同プロジェクトを、キャメロン前首相は英国が外国からの投資に開放的である象徴と自賛したが、今回英国政府は、同国のインフラ建設、エネルギー供給、外国からの投資に関する対応が変化しているため再検討すると発表した。
今回の決定は英国がフランスや中国との新たな経済関係を構築する必要がある時期に、両国との緊張関係に発展する可能性もある動きであり、メイ首相の試金石ともなる。当時のキャメロン首相とオズボーン財務相が、他の西欧諸国も驚くほど積極的に親中政策を推進していた時期に、メイ首相はやり過ぎではないかと懐疑的であった。投資予定の中国の国営会社は、今回の延期を新しい政権がプロジェクトの理解を進めるために必要なものとして尊重すると発表した。
8月1日付英国
『メールオンライン』(ロイター通信引用)は、「英国の原発に対する方針変更の中、中国
『新華社』疑惑を非難」という見出しで、英国の原発プロジェクトに対する突然の変更の中、中国の新華社が8月1日、EU離脱後新たな貿易関係を必要とし中国の投資を遠ざける余裕などないはずなのに、中国の投資を誹謗中傷することは認められないと発表したと報じた。過去にも中国に対し疑惑を持たれることがあったが、すべては差別や偏見から来ているものだった。中国は合理的な英国政府が責任ある決定を行うまで待つことはできるが、互恵協力関係を誠実に希求していることに対し誹謗中傷することは認められないと新華社は続けて主張した。新華社の論評は政府声明ではないが、政府の考えを反映しているものだと報じている。
8月3日付
『ヤフーニューズ』(ロイター通信引用)は、「英国は世界からの投資を求め続ける」という見出しで、8月2日メイ首相のスポークスマンは、経済産業政策を大臣と協議した後、見出しの通り発表したと報じた。声明には英国はビジネスに対してオープンであり、引き続き自由貿易を唱道するとも触れられている。記事は原発プロジェクト延期発表後外国投資中でも中国からの投資に対する方針変更の懸念が生じていると付け加えている。
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安倍内閣28兆円の経済対策を決定
安倍内閣は8月2日総額28兆円の経済対策を決定した。内容は先週安倍首相が発表済みであるが、財政への負担を極力抑えるために実際に政府から資金が出る真水部分は7.5兆円で、そのうち今年度に支払われる分は4兆円と言われており、短期的な景気へのインパクトは今一つというのが海外メディアも含めた大方の評価である。
振り返れば安倍首相は今年5月のサミット前から政府による財政出動を唱えて、G7各国をリードして来たわけであるが、今の日本の実力からすればこれが精一杯というところであろう。この経済対策と先に決めた消費税の延期で何とか景気は失速せずに行くのであろうが、日銀の異次元緩和も限界が見えている中、日本経済をデフレから脱却させて本格的な成長軌道に乗せるためには抜本的な構造改革しかないという結論がはっきりして来たようだ。
8月2日付
『ニューヨークタイムズ』は、「経済が苦闘する中、日本追加景気刺激策を発表」という見出しで経済対策決定を報じた。安倍首相は3年半前に政権について経済の再活性化を公言し、日銀の異次元緩和や財政支出拡大を行って来たが、彼の言う経済ルネッサンスには程遠い状況にある。その中で火曜日28兆円という最大の経済対策に打って出た。その経済効果について早速エコノミストの議論が始まったが、28兆円という見出しの数字ほどには効果がないだろうといわれている。...
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8月2日付
『ニューヨークタイムズ』は、「経済が苦闘する中、日本追加景気刺激策を発表」という見出しで経済対策決定を報じた。安倍首相は3年半前に政権について経済の再活性化を公言し、日銀の異次元緩和や財政支出拡大を行って来たが、彼の言う経済ルネッサンスには程遠い状況にある。その中で火曜日28兆円という最大の経済対策に打って出た。その経済効果について早速エコノミストの議論が始まったが、28兆円という見出しの数字ほどには効果がないだろうといわれている。実際の政府支出は7.5兆円であり、それも具体的支出時期は未定である。またこれらの経済対策は一時的には景気を持ち上げるが、最終的には政府債務の更なる増加というこれまで来た道の繰り返しになるという経済評論家のコメントも伝えている。
8月2日付
『フランス24』(AFP通信引用)は、「日本、停滞する景気対策で巨額の刺激策を承認」という見出しで、日本の内閣は火曜日停滞する景気を刺激するために、インフラ整備と出生率引き上げに対する資金を含む28兆円の経済対策を承認したと報じた。経済対策には英国EU離脱で影響を受ける中小企業対策も含まれる。しかし目新しいものはなくアベノミックスに対する信任も揺らいでいるとも報じている。
8月2日付英国
『メールオンライン』(ロイター通信引用)は、「日本銀行が緩和策の変更を否定する中、日本1,300億ドルの財政出動を承認」という見出しで、日本銀行が金融緩和に歯止めをかけるのではという市場の憶測と戦う中、安倍内閣は火曜日13.5兆円(7.5兆円の政府支出と6兆円の財政投融資)の財政出動を承認したと報じた。財政出動は28兆円と銘打っているが、政府の支出を伴わず直接景気に寄与しないものも含まれている。内閣承認の発表前日本国債は、日銀が買い取り額を減らすのではと懸念する投資家の活発な売りを浴びた。金曜日の日銀の追加緩和の内容は失望を生み、9月に政策の見直しを行うという発表が投資家を神経質にしているが、黒田総裁は9月の見直しで緩和の度合いを弱めることはないと語ったとも報じている。
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