2016年のフィリピン副大統領選に臨んだマルコス元大統領長男のマルコス・ジュニア上院議員は、約26万票差でロブレド下院議員に敗れた。しかし、この程フィリピン最高裁が、投票の集計に間違いがあったと同上院議員の訴えを認め、当時の投票結果について再集計をするよう命じた。そして、4月2日より票の数え直し作業が始まったが、マルコス・ジュニア氏が、将来の大統領就任のための布石と考えられる副大統領職に就けるのか、注目されている。
4月2日付米
『ロイター通信米国版』:「マルコス元大統領子息の副大統領選票集計問題提訴に基づき票の再集計始まる」
2016年5月の大統領選時に同時に行われた副大統領選において、かつての独裁者フェルディナンド・マルコス元大統領の長男であるマルコス・ジュニア氏(ニックネーム“ボンボン”、60歳)は、約26万票差でレニー・ロブレド下院議員(53歳)に敗れた。
しかし、ボンボン・マルコス氏はその後、ロブレド氏出身地のカマリネス・スール州の投票に大掛かりな不正があったとして、票の再集計を求めて提訴した。...
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4月2日付米
『ロイター通信米国版』:「マルコス元大統領子息の副大統領選票集計問題提訴に基づき票の再集計始まる」
2016年5月の大統領選時に同時に行われた副大統領選において、かつての独裁者フェルディナンド・マルコス元大統領の長男であるマルコス・ジュニア氏(ニックネーム“ボンボン”、60歳)は、約26万票差でレニー・ロブレド下院議員(53歳)に敗れた。
しかし、ボンボン・マルコス氏はその後、ロブレド氏出身地のカマリネス・スール州の投票に大掛かりな不正があったとして、票の再集計を求めて提訴した。
そしてこの程、フィリピン最高裁がその訴えを認めたため、4月2日より票の数え直しが始められた。
一方、ロブレド氏は、1986年のマルコス元大統領の追放運動に貢献した人物であるが、そのマルコス・ファミリーと長年交流があり、かつ、超法規的殺人を許容する等の政策を推進するロドリゴ・ドゥテルテ大統領とそりが合っていない。なお同氏も、マルコス陣営のおよそ8千の選挙区の投票結果に疑義があるとして反訴している。
4月3日付フィリピン『ザ・マニラ・タイムズ』紙:「ロブレド氏代理人、“無効票”が有効となってもマルコス・ジュニア氏が勝利することはないと明言」
レニー・ロブレド副大統領の代理人のロムロ・マカリンタル弁護士は4月3日、“無効票”がマルコス・ジュニア元上院議員のものだとの主張が通ったとしても、同氏が副大統領選に勝利することにはならないと明言した。
マカリンタル弁護士のコメントは、マルコス・ジュニア氏のビック・ロドリゲス広報担当がリリースした、カマリネス・スール州、ネグロス・オリエンタル州及びイロイロ州において無効とされた票に疑義があるとして、再集計を求めているとの声明に対して出されたものである。
一方、ロドリゲス氏は『CNNニュース』のインタビューに答えて、当該3州には無効票とされたものが少なくとも合計29万票あるので、ロブレド現副大統領との票差26万3,473票を十分逆転できると考えていると表明した。
これに対してマカリンタル弁護士も同メディアのインタビューで、無効票とされたのは集計機械の故障等ではなく、有権者の書き間違い、例えば、副大統領適任者として二人も三人も選択、あるいは、選択した候補者を示す箇所に正しくマークされなかった等がその理由と考えられるので、投票結果に大きく影響を及ぼすことにはならないだろうとコメントしている。
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南シナ海の領有権問題をめぐる、中国・フィリピンの二国間協議が今週開かれた。既報どおり、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は、各国の同海域での活動を規制する行動規範(COC)を年内に制定すべく、間もなく最終交渉が開始されるが、その前哨戦と位置付けられる。親中政策を取るロドリゴ・ドゥテルテ政権は、中国からの巨額の経済支援に期待する傍ら、領有権争いのある南沙(スプラトリー)・中沙(スカボロー)諸島においての天然資源、特に水産資源はしっかり権利を主張したい考えとみられる。一方、南シナ海と反対側(ルソン島東側)に広がる大陸棚(ベンハム隆起、注1後記)について、フィリピンは排他的経済水域(EEZ)と主張しているが、一時は中国の求めに応じて同海域の海洋調査を認めた。しかし、中国が同海域内の海山(注2後記)に中国名を命名し、あたかも中国主権内と新たに主張する気配を見せたことから、フィリピンがそれを阻止すべく、あわてて国際水路機関(IHO、注3後記)等に訴え始めている。
2月14日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「フィリピン、同国EEZ内の大陸棚地形に中国が中国名を命名することを拒絶」
フィリピン大統領府のハリー・ローク報道官は2月14日、フィリピンのEEZ内のベンハム隆起内の海山について、中国が中国名を命名しようと画策しているとして、これを明確に拒絶し、かかる動きを阻止すべくIHOにも公式にはたらきかけると発表した。
中国の外交部(省に相当)の耿爽(コン・シュアン)報道官が同日、ベンハム隆起がフィリピンの大陸棚であることは認めるとしながらも、関係国として同隆起の詳細・正確な海図作成事業に携わっていくことを望んでいて、具体的にはIHOの規定に基づき、国際慣行に沿って同隆起内の地形に新たな名称を付ける意向であると表明していた。...
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2月14日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「フィリピン、同国EEZ内の大陸棚地形に中国が中国名を命名することを拒絶」
フィリピン大統領府のハリー・ローク報道官は2月14日、フィリピンのEEZ内のベンハム隆起内の海山について、中国が中国名を命名しようと画策しているとして、これを明確に拒絶し、かかる動きを阻止すべくIHOにも公式にはたらきかけると発表した。
中国の外交部(省に相当)の耿爽(コン・シュアン)報道官が同日、ベンハム隆起がフィリピンの大陸棚であることは認めるとしながらも、関係国として同隆起の詳細・正確な海図作成事業に携わっていくことを望んでいて、具体的にはIHOの規定に基づき、国際慣行に沿って同隆起内の地形に新たな名称を付ける意向であると表明していた。
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、フィリピンが中国側と長い間南シナ海の領有権争いを繰り広げてきた歴史があるのに、ベンハム隆起の海洋調査について、今年初めに中国グループに許可を出しており、それは余りに軽率な行動だったと非難の声が上がっている。
なお、同大統領は先週末、同隆起において如何なる第三国の調査も認めず、かつ、石油・天然ガスや水産資源を取ろうとすれば、発砲してでも追い払うよう同国海軍に命令を下した旨明らかにした。ただ、中国による同隆起の海洋調査は既に終了してしまっている。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AFP通信』配信):「フィリピン、中国がフィリピン大陸棚内地形に新たな中国名を付けようとしていることに苦情表明」
フィリピン大統領府は、ベンハム隆起内の地形に中国名を付けることで、中国が新たに海洋権を主張してくるのではと恐れて、在マニラの中国大使館に対して、中国がIHOに新たな名前を登録しようとしている動きに反対する旨伝えたと発表した。
国連は2012年、同隆起がフィリピン大陸棚に続いているとしてフィリピンのEEZ内であると認めている。
ドゥテルテ大統領は今年初め、中国の求めに応じて、同隆起の海洋調査を認める決定をしていた。その後、この不用意な許可への非難を受けてか、今月初め、同大統領は同隆起における第三国の如何なる調査・探査を禁ずる旨宣言しているが、中国側の海洋調査は既に終了してしまっている。
2月15日付フィリピン『ザ・マニラ・タイムズ』紙:「フィリピン、中国によるベンハム隆起の地形への新たな命名に抵抗」
ローク大統領府報道官は2月14日の声明で、ベンハム隆起内の5つの海山について、中国が2017年に一方的に申告した中国名につき、IHOが承認してしまっていることが判明したと言及した。
同報道官によれば、これまで中国は、IHO・政府間海洋学委員会(IOC)が合同で組織する大洋水深総図(GEBCO、注4後記)合同指導委員会傘下の海底地形名称小委員会(SCUFN)にはたらきかけ、既に5つの海山に中国名を冠するよう提言しているという。
それらは、荊浩(チンハオ)海山、天宝(ティエンバオ)海山、海頓傾(ハイドンクィン)海山、崔照(スイヂャオ)海山、朱九(チュウチウ)海山である。
なお、デルフィン・ロレンザーナ国防相は同日、かかる中国の動きに対抗して、フィリピンとしても同隆起内の海山にフィリピン名を付ける意向であると表明している。
(注1)ベンハム隆起:ルソン島北東側沖に広がる、水深35メーター前後の1万3,000平方キロメーターの、水産資源が豊富な高原。ルソン島の大陸棚の続きとして、フィリピンが長らくEEZと主張。
(注2)海山:深海底から1,000メーター以上の高さの海面下の山で、その頂上が海面上に出ておらず、島となっていない地形や場所。
(注3)IHO:1967年の国際水路機関条約に基づき、海図などの改善により航海を容易かつ安全にすることを目的に設立された機関。世界の海域の境界と名称を記載した「大洋と海の境界」の編集・出版も手掛ける。本部はモナコ。
(注4)GEBCO:全世界の海底地形図の作成と海底地形名称の標準化を行っている、IHO及びIOCの共同プロジェクト。
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