マグロの初競り、海外の反応(2016/01/06)
築地市場で、今年もマグロの初競りが行われた。近年は外国人観光客で賑わうエリアでのイベントでもあり、各メディアも大きく取り上げている。
1月5日付
『ウォールストリート・ジャーナル』(米)は寿司三昧の木村社長が今年の初競りで200キログラムのクロマグロを1400万円で落札したことを伝え、以下のように報じた。
「去年も木村氏は初競りでクロマグロを落札しているが、451万円ほどだった。これに比べると今年はかなり値上がりしている。今までの最高額は2013年の1億5540万円で、未だにこの記録は破られていない。」
同日付
『ヤフーニュース』(米)は初競りの賑わいを取り上げながらも、クロマグロが絶滅危惧種であり、保護の必要性があると伝えている。...
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1月5日付
『ウォールストリート・ジャーナル』(米)は寿司三昧の木村社長が今年の初競りで200キログラムのクロマグロを1400万円で落札したことを伝え、以下のように報じた。
「去年も木村氏は初競りでクロマグロを落札しているが、451万円ほどだった。これに比べると今年はかなり値上がりしている。今までの最高額は2013年の1億5540万円で、未だにこの記録は破られていない。」
同日付
『ヤフーニュース』(米)は初競りの賑わいを取り上げながらも、クロマグロが絶滅危惧種であり、保護の必要性があると伝えている。「今年の落札価格は去年の3倍であり、日本ではマグロが大変人気である。しかしその反面、環境保護団体からはクロマグロの取引に規制をかける必要性が叫ばれている。米国のシンクタンク、ピュー・チャリタブル・トラストによれば、現在計画中のクロマグロ保護策が全て完全に実施されたとしても、クロマグロの個体数は減少の一途をたどるとしている。」
同日付
『ワシントンポスト』(米)は今年築地市場が豊洲に移転することを伝えたうえで、やはりクロマグロが絶滅の危機にあり、保護が必要とつづっている。「現在の市場は1935年に建てられたものの老朽化が進んだことから、11月にオリンピック村予定地近くの埋め立て地に移転予定である。新しい市場はショッピングモールのようと揶揄する声もあるが、現市場は大勢の観光客の見学には対応しておらず、不衛生かつ危険なため移転せざるをえない。」「マグロに関しては、世界の漁獲高の約8割を日本人が消費しており、ここ15年は特に乱獲によりその個体数は減少している。」
同日付
『マッシャブル』(米)は「AP通信」の記事を引用し、初競りの価格が縁起を担いで通常よりも高額になりがちなことを伝えている。また、やはり今年市場が移転することを取り上げ、築地市場内の小売店が移転を前に在庫を一掃しようと安売りを行い、数百人の客が押し寄せたことを報じている。
同日付
『ザ・ガーディアン』(英)はクロマグロが絶滅の危機に瀕しているとの批判にもかかわらず競りが行われていると伝えている。また、初競りがイベントの様を呈しており、これがクロマグロの消費意欲をかきたて、クロマグロの減少にもつながっているとする。「クロマグロはここ1世紀の間で96%も減少しており、保護のため何らかの対応をとることが喫緊の課題となっている。日本人がクロマグロの漁獲高の約8割を消費しているものの、近年の日本食人気が、中国をはじめとした海外での消費に拍車をかけている。クロマグロは国際自然保護連合(IUCN)により、2014年にレッドリストに指定された。」
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ISとの攻防;「テレグラム」、テロの通信手段を削除(2015/11/19)
『スプートニク』(ロシア)はツイッターがIS関連の900のアカウントを閉鎖したことを報じている。これに引き続き、より高い情報保護がなされているというメッセージ・サービス「テレグラム」がIS関連の連絡手段を絶ったことを明らかにした。「テレグラム」は元々はロシア政府と反政府勢力との軋轢から逃れた人物らにより創設されたため、今回の削除が創設の意図に反するのではないかが注目されている。また、今回の削除によりISの連絡手段に影響はあるのか、各メディアは以下のように伝えている。
11月18日付
『ロイター通信』は、モバイル向けのメッセージサービス「テレグラム」が、ISが用いていると考えられる78の連絡手段を削除したことを報じている。ISは「テレグラム」を通じて広報宣伝活動や賛同者の獲得を行っていたという。
「テレグラム」は2年前ベルリンでロシアから亡命したデュロフとニコライ兄弟により開始されたサービスである。無料で簡単にダウンロードでき、かつ高い情報セキュリティを有しており、メッセージはもとより、映像などの情報を送ることができるという。...
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11月18日付
『ロイター通信』は、モバイル向けのメッセージサービス「テレグラム」が、ISが用いていると考えられる78の連絡手段を削除したことを報じている。ISは「テレグラム」を通じて広報宣伝活動や賛同者の獲得を行っていたという。
「テレグラム」は2年前ベルリンでロシアから亡命したデュロフとニコライ兄弟により開始されたサービスである。無料で簡単にダウンロードでき、かつ高い情報セキュリティを有しており、メッセージはもとより、映像などの情報を送ることができるという。特に高度に暗号化されたメッセージを一度に200人に向けて送信でき、自動消滅するメッセージの送信も可能ということで人気を集めており、世界には6000万人のユーザーがいるという。同兄弟は以前「フコンタクチェ」というロシアのソーシャル・ネットワーク・サービスを運営しており、現在も世界に一億人のユーザーがいるという。同兄弟は「フコンタクチェ」運営時の2014年に、ロシアへの反体制派の連絡手段を断つことや、ウクライナ独立運動の情報を政府に提供する要請を受け、プーチン大統領と対立しロシアを出国したという経歴を持つ。また、同記事は同兄弟が国家によるインターネットの検閲を批判したエドワード・スノーデン氏に大変共感し、刺激を受けていることにも言及している。
この「テレグラム」は2か月ほど前からISの広報活動や情報交換手段の手段になっているとの報告がなされていたということである。先週のパリのテロ事件とエジプト上空でのロシア機の墜落事件の犯行声明も「テレグラム」を通じて発表されていたという。
今回の措置について、「テレグラム」は自身のサイトでISの連絡手段を断つ努力を続けていくとコメントしているという。また、表現の自由との兼ね合いについては、それを阻害することはないとしている。「我々はテロリストの連絡手段を断つものの、平和的手段での個人の意見表明を阻害するつもりはない」。
11月18日付
『マッシャブル』は、「テレグラム」が利用者が反社会的コメントを通報しやすくすべく、プログラムを改良していく所存であることを報じている。また、前出のデュロフ氏はプライバシーは神聖なものであり、公のチャットを監視はするものの、個人間のチャットでは以前と変わらず秘密が守られると語ったという。「歴史上すべてのテクノロジーの進歩にあてはまることだが、テクノロジーは悪用されれば大変危険な事態を招きうるのだ」。
通信内容の高度な暗号化に対しては以前から各国より懸念が寄せられており、特にパリのテロ事件以降はその声が高まっているという。イギリスのキャメロン首相は以前から高度に暗号化された通信内容に対し、いわば「裏口」のようなチェック方法を設け、場合によっては政府が通信の内容をチェックできるようにすべきと主張しているという。
11月18日付
『CNNマネー』は、今回の「テレグラム」の措置も、ISの連絡手段の確保に影響は及ぼさないだろうとしている。同記事は「テレグラム」が連絡手段を削除する前にISのメンバーが「注意しろ、テレグラムも我々に戦争を仕掛けてきた。これから先はどの連絡手段も安全とは言えない」とのメッセージを送信していたことを伝えている。おそらくは「テレグラム」がダメでも、ISは他の連絡手段を使っていくのだろう。
同記事も、「テレグラム」の、今回の措置は個人の通信の秘密と共存しうるとのコメントを引用している。「我々の使命は地球上すべての人に対して安全な通信手段を提供することだ。その実現のためにも不法な内容の通信を阻止するということも必要である」。
ただ、同記事はどれが不法でどれが合法かの選別は難しいと指摘する。事実、ISに賛同する団体がツイッターに、「テレグラム」にすでに新しい連絡手段を確保した旨の投稿をしていることを報じている。
ISとの情報合戦はまさにいたちごっことしか言いようがない。「テレグラム」が創立理念と相反する通信内容のチェックをどこまで行えるかは疑問であるし、また仮にチェックが徹底されるということは、完璧な「検閲」体制が整ったと言えはしないか。
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