パリのテロ事件が及ぼす影響は計り知れず、まだまだ続くと思われる。世界の衝撃が冷めやらぬ中、アメリカ発フランス行きの飛行機2便に爆弾をしかけたとの予告が寄せられ、2便ともそれぞれ緊急着陸したという。各メディアは以下のように報じている。
11月17日付
『CBSニュース』は、アメリカからパリへ向かうエールフランスの2便に対して爆弾を仕掛けた旨の電話があり、2便とも緊急着陸を余儀なくされたことを報じている。1便はロサンゼルスから、もう1便はワシントンDCからパリのシャルル・ドゴール空港へ向かう飛行機だったという。
ロサンゼルス発の飛行機はユタ州のソルトレークシティーに緊急着陸したという。同機には乗員・乗客合わせて約400人が乗っており、着陸後速やかに避難し、機内をFBIの捜査員が警察犬を伴って、爆破物がないかくまなく捜査していたということである。...
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11月17日付
『CBSニュース』は、アメリカからパリへ向かうエールフランスの2便に対して爆弾を仕掛けた旨の電話があり、2便とも緊急着陸を余儀なくされたことを報じている。1便はロサンゼルスから、もう1便はワシントンDCからパリのシャルル・ドゴール空港へ向かう飛行機だったという。
ロサンゼルス発の飛行機はユタ州のソルトレークシティーに緊急着陸したという。同機には乗員・乗客合わせて約400人が乗っており、着陸後速やかに避難し、機内をFBIの捜査員が警察犬を伴って、爆破物がないかくまなく捜査していたということである。
もう1便はワシントンDC発の、同じくシャルル・ドゴール空港行きで、カナダのノバスコシア州、ハリファックスに緊急着陸したという。こちらの飛行機は乗員・乗客合わせて298人で、やはり緊急着陸後爆発物の捜査が行われているということである。
11月18日付
『WTHR』(アメリカ・インディアナ州)によれば、飛行機に乗っていた乗客や荷物もFBIによる検査を受けているという。爆破予告をした電話の主についても現在捜査中だという。記事によれば、乗客一人ひとり、個別に聞き取り調査が行われたという。
同記事は今回の事件が起きる数時間前に、ドイツがサッカーの対オランダ戦を、爆破物を仕掛けたという予告電話があったことを受けて中止に追いやられたことにも言及している。
11月17日付
『マッシャブル』によると、エールフランス航空は今回の緊急着陸は2本の予告電話を受けて、予防策として講じられたものとしている。爆破予告は同一人物によるものか否かは定かではない。
今回の爆破予告が、パリのテロに直接関連するものか、それともただの便乗犯によるものかは明らかではない。ただ一つ言えるのは、テロのもつ萎縮効果の大きさだろう。人々の周辺にじわじわと迫るような得体の知れない恐怖、これこそがテロを行う者たちの最大の狙いと言えるだろう。
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アメリカのイエール大学といえば、アイビーリーグの一つであり、アメリカ国内のみならず、世界的にも名の知れた大学である。その名門大学内で、人種差別問題が起こり、学内にとどまらず学外からも関心を集めている。事の発端、経過、根底にあるものについて各メディアは次のように報じている。
11月8日付
『CBSニュース』によると、今回の人種差別問題は学内に存在する「シグマ・アルファ・イプシロン(SAE)」という「友愛会」(必ずしも同義ではないが、日本の大学のサークルのようなもの)が白人女性以外お断りとして、人種差別をしているとの報告が上がったために起きた問題だという。ただ、この件に関してSAEはそのような差別をした事実はないと否定しているという。
大学側と学生側は先週数時間にわたりこの問題について話し合いを重ね、学内で行われている人種差別について、大学長であるサロウェイ氏と学部長であるホロウェイ氏は大学全体に向けてEメールでメッセージを送ったという。...
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11月8日付
『CBSニュース』によると、今回の人種差別問題は学内に存在する「シグマ・アルファ・イプシロン(SAE)」という「友愛会」(必ずしも同義ではないが、日本の大学のサークルのようなもの)が白人女性以外お断りとして、人種差別をしているとの報告が上がったために起きた問題だという。ただ、この件に関してSAEはそのような差別をした事実はないと否定しているという。
大学側と学生側は先週数時間にわたりこの問題について話し合いを重ね、学内で行われている人種差別について、大学長であるサロウェイ氏と学部長であるホロウェイ氏は大学全体に向けてEメールでメッセージを送ったという。メールの中でサロウェイ氏は「今回の学生との対話により明らかになった内容に大変困惑している。大学全体が互いを理解し、受け入れ、敬意を払い、理解するために一丸とならなければならない」と語ったという。
11月8日付
『マッシャブル』によれば、今回の人種差別騒動はイエール大学のSAEメンバーらによるパーティーで白人女性以外が入場を断られた事に端を発しているという。また、その前日にも大学側から学生たちに「(いわゆる人種差別と同視されるような衣装は避け)、適切な衣装を選ぶよう」要請があったことも今回の騒動に関係しているという。
前述のようにSAEは人種差別的な扱いのあったことは否定しているが、学生の一人がフェイスブックに書き込みをしたことから、この話が瞬く間に広まったのだ。今回の投稿をした学生は女性で、ハロウィーンでの差別的扱いの他にも様々な人種差別が行われていると書き込んでいる。「食堂や学内の施設など、様々な場所で、顔見知りやそうでないにかかわらず、男子学生らから差別的な発言を投げかけられていた。そのほとんどが私が一人でいる時に起こり、肉体的にも精神的にも苦痛を被ってきた。そんな連中を学友と呼ばなければならないなんて」。
11月9日付
『ハフィントンポスト』はイエール大学の現役学生の記事を掲載し、今回問題になっている人種差別について考察を加えている。
まず同記事は、今回の人種差別騒動はハロウィーンパーティーへのSAEメンバーによる参加拒否により火が付いた格好になっているが、根本的な問題はそこにはないとしている。イエール大学に入学した学生は、パンフレットで謳われている内容と学内の状況の食い違いを毎日経験しているという。大学側はイエールが全ての文化的背景を持つ学生に開かれているとするが、実際はそうではない。この問題は学内で長いこと放置されてきた人種差別が原因だというのである。
学内での人種差別を訴える声は以前からあったにもかかわらず、それらはないがしろにされてきたという。慢性的にはびこる人種差別は人目を引くニュースにもならない。人種差別を訴えたところで何も変わらないと、皆主張することを諦めてしまうのだという。
学内で差別を受けるのは主に、いわゆる有色人種の女性だという。彼女たちは学内では物理的にも心理的にも安全な立場に置かれていない。
また、同記事は今回の人種差別騒動に対して大学側が正式な対応に出るまでに一週間もかかっていると、対応の鈍さを指摘している。先週の月曜日から学生側からの声は上がっていたというのに、木曜日に至るまで大学長は沈黙したままだったという。学部長は火曜日には調査を開始し、相当な時間を割いて差別を受けてきたと主張する学生らから話を聞いている間も学部長は沈黙したままであった。そして木曜日に学内に集まった学生らを前にして学長は突然泣き出したというのである。それから一時間経たないうちに学生らにEメールを送り、学外の調査機関による調査を開始すると発表したという。
学外からはイエール大学は「特権階級の行くところ」として別格扱いしようとする見方もあるという。しかしながら、いわゆる名門大学でこのような問題が起きているのであれば、人種差別はアメリカのいたるところで起きているはずと同記事は指摘する。今回問題になった、「適切な衣装選び」の件や、SAEでの問題は些細なきっかけにすぎず、根本にある組織的な人種差別に目を向けるべきだとする。
日本も近年多数の外国人留学生を受け入れるようになってきている。露骨な形ではないかもしれないが、同様の問題は起こりうる。対岸の火事とは言えまい。
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