既報どおり、少子高齢化に喘ぐ日本では、岸田文雄首相(65歳、2021年就任)が異次元の少子化対策を進めるとし、その一環で2024年度以降3兆5千億円の予算を投じて、出生率向上、育児支援等に充てると標榜している。そうした中、西日本の地方都市がかつて市民向けに配布したパンフレットで、男女不平等を煽る表現を用いていたことが判明して物議を醸していると米メディアも注目して報じている。
7月28日付
『CNNニュース』は、日本の地方都市が市民向けに配布したパンフレットの中で、妊娠中であろうと妻は夫へのサービスを怠ってはならない等と言及していたことが判明し謝罪に追い込まれていると報じた。
広島県尾道市はこの度、かつて市民に配布したパンフレットの中で、男女不平等を煽るような表現をしていたことが判明して謝罪に追い込まれている。
同市のウェブサイトによると、2017年に実施した世論調査を踏まえて作成した市民向けパンフレットの中で、次のような不穏当な表現がなされていたという。...
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7月28日付
『CNNニュース』は、日本の地方都市が市民向けに配布したパンフレットの中で、妊娠中であろうと妻は夫へのサービスを怠ってはならない等と言及していたことが判明し謝罪に追い込まれていると報じた。
広島県尾道市はこの度、かつて市民に配布したパンフレットの中で、男女不平等を煽るような表現をしていたことが判明して謝罪に追い込まれている。
同市のウェブサイトによると、2017年に実施した世論調査を踏まえて作成した市民向けパンフレットの中で、次のような不穏当な表現がなされていたという。
●男女間には思考形態に差異があるが、それは脳の構造上の違いに因るもので、一般的に男性は論理的思考の基に行動し、女性は感情に則った行いをする。
●重要なことはかかる違いをお互いが理解し、それぞれの役割をうまく分担することである。
●例えば、夫や子供を持ったばかりの父親が、皿洗いをしたり、オムツ交換をしたり、子供を抱っこしたりしたら、感謝すべきである。
●妻は、“赤ちゃんの世話で忙しく、雑用が疎かになる”ことで夫を怒らせる場合があるので、“理由もなく夫をイライラさせないよう”気を付ける必要がある。
●そこで、子供を持ったばかりの妻としては、夫を喜ばせるためにマッサージをしたり、毎日昼食を用意したり、育児や家事もしっかり行い、夫の帰宅時には明るく“お帰りなさい”と挨拶したり、また、常に“笑顔で”接することが求められる。
かかる表現を掲載したパンフレットについて、地元メディアが今週報道したところ、早速SNSで怒りと不信感の投稿が相次いでいる。
ある人は、“市役所が自ら、子育ては女性の仕事で、父親は第三者的立場で母親を助ければよいと示すなど、最悪のことだ”とした上で、“市役所なら、父親も育児に関し重要な責任があると訴えるのが当然の務めであるはずだ”と訴えた。
またある人は、“妊娠中は特に母体にストレスとなるのに、女性だけを責めるのは全く筋違い”とし、“出産は母体に大きなダメージを与えることなので、(このような理解のないパンフレットより)出産経験のある女性らから初めて子を持つ父親に適切なアドバイスを送る手配をすることの方が何百万倍も助けになるだろう”と強調している。
なお、SNS上での炎上を受けて、同市の平谷祐宏市長(70歳、2007年就任)は7月25日付で同市ウェブサイトに投稿して、“このパンフレットは、妊娠中の女性、出産したばかりの母親、その他多くの人たちの感情を逆なでるものだ”とした上で、“男女間の役割について先入観を持って、そのように行動するよう奨励しているものなので、早速配布を中止した”と表明している。
一方で、SNS上では、このようなパンフレットを市役所が配布することこそ、今の日本の男女不平等を象徴するものだとしたり、これこそが出生率が下がり続ける理由のひとつになっていると非難する声が上がっている。
また、当該パンフレットが、市民への世論調査の結果を踏まえて作成したとされていることから、世の中の多くの男性が依然、育児や家事は自分の仕事ではないし、(育児等の言い訳せずに)自身の世話もちゃんとやって欲しいし、些細なことでイライラさせないで欲しい、と考えていることが明らかなので、女性陣には結婚などしない方が良いということになる、と断言する声もある。
なお、世界経済フォーラム(WEF、注1後記)が直近で発表した「世界男女格差ランキング2023(注2後記)」において、日本の順位は対象146ヵ国中125位と過去最低となっている。
(注1)WEF:経済、政治、学究、その他の社会におけるリーダーたちが連携することにより、世界、地域、産業の課題を形成し、世界情勢の改善に取り組むことを目的とした国際機関。1971年に経済学者クラウス・シュワブ(現85歳)により設立。スイスのコロニーに本部を置き、同国の非営利財団の形態を有している。スイスのダボスで開催される年次総会、所謂「ダボス会議」が特によく知られており、選ばれた知識人やジャーナリスト、多国籍企業経営者や国際的な政治指導者など、各国の要人が一堂に会し、各種会合を行う場となっている。
(注2)世界男女格差ランキング2023:政治(国会議員、閣僚、行政府の長の男女比率)、経済(労働参加、賃金格差、管理職比率等)、健康(出生比率、健康寿命)、教育(識字率、初等・中等・高等学校就学比率)の各部門を指標化して順位付け。1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランド、4位NZ、5位スウェーデン、6位ドイツ、・・、15位英国、・・、40位フランス、・・、43位米国、・・、105位韓国、・・、107位中国、・・、125位日本、・・、146位アフガニスタン。
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米国のドナルド・トランプ前大統領が15日、2024年の次期大統領選への立候補を表明した。連続しない2期目当選をめざす候補は初めてとなる。早期の立候補表明は、共和党のライバルに差をつける狙いがあるとみられている。
11月16日付米
『ザ・ヒル』:「トランプ氏の前広報担当補佐官、”覇気のない、退屈な演説だった”」:
トランプ前大統領の広報補佐官は、15日、同氏の出馬表明を批判し、演説は「覇気がない」「退屈」なものだったとしている。
トランプ氏はマーララゴでの集会で、数ヶ月前から仄めかしていたとおりに、大統領選挙への3回目の出馬を表明した。これまでの集会と比べ、非常に落ち着いた口調だったが、その振る舞いを批判する声もある。...
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11月16日付米
『ザ・ヒル』:「トランプ氏の前広報担当補佐官、”覇気のない、退屈な演説だった”」:
トランプ前大統領の広報補佐官は、15日、同氏の出馬表明を批判し、演説は「覇気がない」「退屈」なものだったとしている。
トランプ氏はマーララゴでの集会で、数ヶ月前から仄めかしていたとおりに、大統領選挙への3回目の出馬を表明した。これまでの集会と比べ、非常に落ち着いた口調だったが、その振る舞いを批判する声もある。
サラ・マシュー前補佐官はツイッターで、「私が聞いたトランプ氏の演説の中で、最も退屈な演説の一つとなった。聴衆も退屈している様子だった。出馬表明に似つかないものだった」と批判。バイデン政権のアンドリュー・ベイツ副報道官はツイッターで、「演説に多くの聴衆は退屈していた。それよりバイデン大統領の活気ある成果に注目してくれ」と述べている。
前フロリダ知事の子息で、ジョージ・H.W.ブッシュ元大統領の孫であるジェブ・ブッシュ・ジュニア氏は、演説に「覇気がない」と、2016年の共和党予備選挙でトランプ氏が元知事に言ったのと同じ言葉で返した。
共和党内からは控えめな演説を称賛する声も聞かれた。トランプ氏を支持してきたリンゼー・グラム上院議員は、「この調子で一貫性あるメッセージを続ければ負けなしだ。バイデン政権と対照的な政策や成果は、予備選で勝ち抜く武器になる」としている。
11月17日付米『CNN』:「トランプ前大統領、2024年の大統領選挙への立候補を表明」:
トランプ前大統領が15日、2024年の大統領選で共和党指名候補をめざすことを表明。連続しない2期目当選をめざす候補は初めてとなる。
フロリダの自宅「マール・ア・ラーゴ」で、支援者や補佐官など関係者が見守る中、在任中の成果について嘘や大げさな主張を織り交ぜ、比較的抑えめの演説を行ったトランプ氏は、「米国を再び偉大かつ栄光ある国にするため、今夜私は立候補を表明する」と述べた。演説後には、連邦選挙委員会とすぐに手続きを行ったという。
歴史的に世論は二分、2021年の国会議事堂襲撃事件を煽ったにもかかわらず、トランプ氏は演説で、懐かしむように任期中を振り返り、当時の成果をバイデン政権や今の経済状況と比べて見せた。厳格な移民政策や減税策、宗教の自由イニシアティブなどは、今も賛否両論となっている。
トランプ氏は演説で、ライバル候補を念頭に、共和党が一丸となるため、「これは私のキャンペーンでなく、我々のキャンペーンなのだ」と述べた。前回2020年の大統領選挙不正を全面に出さず、前向きなキャンペーンをするようアドバイスをしてきた側近は、そのような控えめな発言に安堵した。
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