ロシアのアルコール消費量が40%以上減少;WHO(2019/10/02)
世界保健機関(WHO)が1日に公表した報告書によると、ロシアのアルコール消費量が、2003~16年に43%も減少したことが判明した。国が講じてきた各種の政策が功を奏しており、飲酒量の減少は平均寿命の大きな延びにもつながっている。
『AFP通信』のほか、英
『BBC』『デイリー・テレグラフ』などの報道によれば、WHOはロシアのアルコール消費量減少の背景に、健康志向でスポーツ好きのウラジーミル・プーチン大統領が主導した各種政策があったと説明している。プーチン氏は、アルコール飲料の販売規制や健康的なライフスタイルの推進など各種施策を推進してきた。
WHOの報告書は、「ロシア連邦は長い間、世界で最も飲酒量が多い国の1つと考えられてきた。...
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『AFP通信』のほか、英
『BBC』『デイリー・テレグラフ』などの報道によれば、WHOはロシアのアルコール消費量減少の背景に、健康志向でスポーツ好きのウラジーミル・プーチン大統領が主導した各種政策があったと説明している。プーチン氏は、アルコール飲料の販売規制や健康的なライフスタイルの推進など各種施策を推進してきた。
WHOの報告書は、「ロシア連邦は長い間、世界で最も飲酒量が多い国の1つと考えられてきた。」と述べ、飲酒は同国で1990年代に死亡率が急上昇した主要な要因だったと指摘した。その上で、「しかし近年では、こうした傾向は反転した。」としている。WHOの調査によれば、密造酒の消費が大きく落ち込んだことなどもあり、2003~2016年に同国の1人あたりアルコール消費量は43%減少した。ロシア人の平均アルコール消費量は現在、年間11~12リットルとなお高水準だが、2005年には18.7リットルだった。
同報告書はまた、飲酒量の減少が平均寿命の延びの一因となったと指摘している。同国の平均寿命は2018年、男性が68歳、女性が78歳と過去最高を記録した。1990年代初めの男性の平均寿命は57歳と短く、特に若い就業世代の男性の過度の飲酒が影響していた。
旧ソビエト連邦の最後の最高指導者だったミハイル・ゴルバチョフ元大統領は、反アルコール・キャンペーンを展開し、この結果1980年代半ばから90年代にかけて同国のアルコール消費量は減少した。しかしながら、旧ソ連崩壊後に消費量は一転して急増し、2000年代の初頭まで増加を続ける。
その後ロシアで発足したプーチン政権は、アルコール飲料への増税や、午後11時以降の酒類販売の全面禁止、公園など公共の場所での飲酒の禁止、酒類の最低小売価格の引き上げ、広告規制などの各種の措置を導入してきた。この結果、WHOの統計によれば、ロシア人の成人の現在の飲酒量は、フランス人やドイツ人の成人より少なくなっている。
ロシア政府は喫煙対策も強化しており、先週には自宅のバルコニーでの喫煙さえも禁止する厳しい規制策を発表した。同国では2009~16年、タバコの消費量が20%以上減少し、最新の統計では、同国で喫煙する人の割合は30%にまで低下しているという。
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フランス下院、女性の同性愛者や独身女性に体外受精を認める法案を可決(2019/09/30)
フランスの国民議会(下院)は27日、女性の同性愛者や独身女性が、体外受精により子どもをもうけることを認める法案を可決した。法案成立のためには今後上院での可決が必要だが、保守派などからの激しい反対があり、成り行きが注目されている。
『AFP通信』や
『ユーロニュース』『デイリー・テレグラフ』などが報じた。同法案は、マクロン氏が2017年に大統領に就任後推進する、大規模な社会的改革を象徴するものである。国民議会は同法案を賛成55、反対17で通過させ、大きな拍手が沸き起こった。
フランスでは現在、異性のカップルだけに体外受精(IVF)などの生殖医療技術を利用する権利が与えられているが、同法案はこれを女性の同性愛者や独身女性にも認めるものである。...
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『AFP通信』や
『ユーロニュース』『デイリー・テレグラフ』などが報じた。同法案は、マクロン氏が2017年に大統領に就任後推進する、大規模な社会的改革を象徴するものである。国民議会は同法案を賛成55、反対17で通過させ、大きな拍手が沸き起こった。
フランスでは現在、異性のカップルだけに体外受精(IVF)などの生殖医療技術を利用する権利が与えられているが、同法案はこれを女性の同性愛者や独身女性にも認めるものである。法案には合計で約2,500の修正が提案され、大きな論議を呼んだ。
同法案では、43歳未満の全ての女性を対象に、同国の医療制度が体外受精の費用を負担する。また、精子の提供を受けてもうけられた子どもが18歳に到達した時点で、提供者の身元の開示を可としており、提供者の匿名性を厳しく保護する現在の措置からの変更となる。女性カップルの子どもの出生証明書には、「2人の母親」の名前が記される。
伝統的な家族の概念を維持しようとするカトリック教会や保守派の団体などは、これに強く反発しており、同法案は「父親から子どもを奪う」ことになると批判している。法案を提出したマクロン氏率いる中道主義の与党「共和国前進」内にも反対の動きがあった。約20の宗教団体や保守派の団体が、10月6日にパリで抗議デモを予定している。
極右政党「国民連合(RN)」のルペン党首は先週RTLラジオに対し、「国は子どもに対し、2人の母親から生まれたと嘘をつこうとしている。国は出生証明書で嘘をつくべきではく、見知らぬ父親から生まれたと言うべきだ。」と述べ、同法案を批判した。保守的な仏紙ル・フィガロは社説で、法案は「我々の人間性の基礎を脅かす」と指摘。フランス医学アカデミーは、父親のいない子どもへの潜在的な心理的影響について懸念を表明した。
4月に行われた世論調査では、約3分の2の国民が法案を支持しているが、成立には上院での可決が必要だ。欧州では英国など同様の法律が成立済みの国が多く、フランスの同性愛者や独身の女性らは大金を支払い海外で体外受精を受けており、この状況は差別的と主張してきた。性的少数者の権利保護団体など支持者らは、法案の成立により年間約2,000人の女性が救済され、愛情と責任感あふれる親になることができると説明している。
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