豪上院、政府資料にジェンダーニュートラルな言葉の使用を禁止する動議を可決(2021/03/18)
オーストラリアの元老院(上院)は、政府の公式資料にジェンダーニュートラルな言葉を使用することを禁止するというワンネイション党が提出した動議を可決した。
英
『デイリー・テレグラフ』や
『デイリーメイル』によると、ワンネイション党のマルコム・ロバーツ上院議員は、17日に上院で動議を提出し、与党であるオーストラリア自由党の支持を受けたうえで投票が行われた。動議は33-31の僅差で可決された。
タスマニア州選出の自由党上院議員ジョナサン・ドュニアム氏は、投票前に政府の立場に関する声明を読み上げた。
「政府は、他の人の好みを尊重することを奨励しつつ、個人が好む代名詞や記述法を使用する権利を支持します。...
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『デイリー・テレグラフ』や
『デイリーメイル』によると、ワンネイション党のマルコム・ロバーツ上院議員は、17日に上院で動議を提出し、与党であるオーストラリア自由党の支持を受けたうえで投票が行われた。動議は33-31の僅差で可決された。
タスマニア州選出の自由党上院議員ジョナサン・ドュニアム氏は、投票前に政府の立場に関する声明を読み上げた。
「政府は、他の人の好みを尊重することを奨励しつつ、個人が好む代名詞や記述法を使用する権利を支持します。」と述べた。「政府は、伝達の目的に適した、かつ聴衆を尊重した言葉を使用して情報伝達を行っていきます。」と述べた。
ロバーツ上院議員が提出した動議は、「私たちの基本的な生物学的および人間関係は、次のような記述によって表現されている。母親、父親、息子、娘、兄弟、姉妹、男の子、女の子、祖母、祖父、叔母、叔父、女性、男性、男、女、紳士、淑女、ミスター、ミセス、サー、マダム、お父さん、お母さん、夫、妻」と主張している。
そして、「大々的な真のインクルージョンとは、生物学的な記述や関係性の記述を歪めることで実現することはできない。個人的に使用する表記方法や代名詞の個人の選択する権利は、人類の人間性を奪う、あるいは性別を弱体化させるものであってはならない」と述べている。
そして連邦政府に対しては、「妊娠中/非妊娠中の親、胸部授乳、人乳、授乳中の親、月経者、出産した親/非出産の親」などのジェンダーニュートラルとされる言葉の使用を禁止とし、「すべての連邦政府および連邦政府から資金提供を受けている機関が、法律、ウェブサイト、従業員向け文書、研修資料などの資料にもこれらの言葉を含まないようにすること」を求めている。つまり、「赤ちゃんのお母さん、赤ちゃんのお父さん、母乳、授乳している母親、女性、母、父」の単語をこれまでどおり使用できることになる。
ロバーツ議員は、クイーンズランド州の医師が「幼い子供たちが、男子や女子という言葉を使っていいのかどうか、ストレスやパニックを感じている事例が報告されており、ジェンダーニュートラルな言葉を押し付けることは、成長過程にある子供たちへの適切な感情的、心理的サポートに代わるものではない」と述べていることを紹介した。
『デイリーメイル』によると、緑の党のジャネット・ライス上院議員は、この動議が可決された直後、動議は自分自身のアイデンティティを主張する人々を否定しようとするものだとツイートして糾弾した。
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スウェーデン、ヨーロッパで新型肺炎が最も収束している国の一つになっていた(2020/09/07)
ヨーロッパでは新型肺炎の感染拡大が再び激化しているが、唯一スウェーデンは例外となっている。スウェーデンでは新規感染者数が3月以来の低い水準となり、第2波の兆しは全くない。
仏
『LCI』によると、ここ数週間の間ヨーロッパの多くの国が新型肺炎の感染が再拡大の傾向を見せている。しかし、スウェーデンでは流行の震源地である首都ストックホルムの新規感染者数が増える兆しはない。
スウェーデンの首都とその周辺地域で先週実施された1万4000件の検査のうち、陽性となったのは250件、つまり1.8%に過ぎなかった。これに対し例えば東京都の陽性率は8月29日から9月4日までの7日間平均で3.4%となっている。...
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仏
『LCI』によると、ここ数週間の間ヨーロッパの多くの国が新型肺炎の感染が再拡大の傾向を見せている。しかし、スウェーデンでは流行の震源地である首都ストックホルムの新規感染者数が増える兆しはない。
スウェーデンの首都とその周辺地域で先週実施された1万4000件の検査のうち、陽性となったのは250件、つまり1.8%に過ぎなかった。これに対し例えば東京都の陽性率は8月29日から9月4日までの7日間平均で3.4%となっている。
ストックホルム感染予防局の責任者パー・フォリン(Per Follin)氏は、これは「非常に長い期間見ることのできなかった低い数値」であると語っている。ただし、大規模検査は6月以降から行われているため、6月以前の数値と単純に比較することはできないとも付け加えている。
陽性率の低下の他にも、重傷者の人数が下がっている。8月31日時点、集中治療室にいる患者は31名。地元の保健所が発表した数字によると、4月時点の225人よりも7分の一に減っている。
その他の指標でも、4月のピーク時以降、1日の死亡者数は着実に減少しており、ウイルスの基本再生指数(R0)は7月初旬からほぼ継続的に1を下回っている。
こうした数値の変化は、国内での流行が沈静化していることを示している。フォリン局長は「現在、感染率が比較的低いのは、多くのストックホルム市民が病気の時は家から出ないこと、手を洗うこと、ソーシャルディスタンスを保つこと、などの奨励を守っていることが大きく影響している」と述べている。
英『デイリー・テレグラフ』によると、感染ピーク時には、スウェーデンでは新型肺炎の死亡率が、都市封鎖を講じた隣国のデンマークとノルウェーよりも上回っていた。しかし現在はスウェーデンの死亡率が下回っているという。
欧州疾病予防管理センター(ECDC)に提出された数字によると、スウェーデンは、デンマークの18人、ノルウェーの14人と比較して、過去1週間で100万人あたりの新規感染者数が平均12件と下回っている。
死亡者数も現在は1日あたり平均2~3人と落ち着いており、4月中旬の1日あたり100人以上のピーク時から確実に減少している。
また、8月最終週にランダムに選択された2,500人を検査したところ、陽性者は4月末には0.9%、5月末には0.3%だったのに対し、今回は0%だった。スウェーデン政府は、これを「症状のない人々の間では現在のところ感染が広まっていないことを意味する」と解釈している。
スウェーデンでは感染ピーク時でも幼稚園やほとんどの学校、バー、レストラン、店舗、オフィスなどを休みとせず、外出禁止令も出さなかった。スウェーデンの公衆衛生局は、より長期的に実施可能な、自発的なソーシャルディスタンシングや、自発的な隔離措置に頼る方が良いと判断したためだ。
スウェーデン政府に助言をしてきた疫学者のアンデシュ・テグネル氏は「今、私たちが見ているのは、持続可能な政策は結果を得るのが遅いかもしれないが、最終的には結果を得るだろうということだ」と述べている。
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