米・英・トルコメディア;安倍首相の消費税増税再延期の評価(2016/06/01)
安倍首相は、主要7ヵ国・地域首脳会議(G7サミット)で提唱した世界経済の不透明さを掲げ、G7が一致して、世界経済が更なる危機に陥るリスクに立ち向かっていくことで各国首脳の了解を得た。そしてこの程、このリスク回避のため、消費税増税の時期を再延期することで連立与党の自民党及び公明党の了承を取り付けた。各国メディアは、同首相がこれまでの前言を翻したと厳しい評価をしている。
6月1日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』記事引用)の報道記事「消費税増税に関わり、安倍氏のコメントはどう変化したか」:
「・安倍首相はこれまでの数ヵ月間、来年4月の消費税増税は予定どおり実施すると繰り返し発言。
・しかし、今夏の参議院議員選挙を考えたら、(増税時期を)再延期するのではないかとの巷の噂どおり、同首相は5月30日、同時期を2019年10月まで2年半再延期すると表明。...
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6月1日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』記事引用)の報道記事「消費税増税に関わり、安倍氏のコメントはどう変化したか」:
「・安倍首相はこれまでの数ヵ月間、来年4月の消費税増税は予定どおり実施すると繰り返し発言。
・しかし、今夏の参議院議員選挙を考えたら、(増税時期を)再延期するのではないかとの巷の噂どおり、同首相は5月30日、同時期を2019年10月まで2年半再延期すると表明。
・同首相は、2014年11月に、2015年10月の増税時期を2017年4月に延期すると発表して以来、ずっと2017年4月の増税は予定どおり行うと言い続けてきた。」
同日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュースの報道記事「日本の消費者は、消費税増税延期でも消費には消極的」:
「・2014年に消費税が8%に増税された際、日本は景気後退に遭い、2015年10月と決まっていた10%への追加増税は1年半延期。
・日経新聞が5月30日に行ったアンケートの結果、回答者の3分の2が消費税増税に反対。
・ただ、経済アナリストの中には、増税延期は消費者や小売り業界は歓迎する事態であるが、短期的な措置であることは否めず、将来の賃金上昇や年金受給等の不確かさから、消費者の多くが然程消費に積極的になりずらいとコメント。」
同日付英
『メール・オンライン』ニュース(
『ロイター通信』記事引用)の報道記事「日本
の首相の消費税増税時期の再延期決定で、財政構造改革は後回しに」:
「・消費税増税延期の首相発表について、今年7月の参議院議員選挙に臨む有権者の多くは歓迎するも、同時に、膨大な国の借金の対応や超高齢化社会に対応すべき年金等社会保障制度の拡充はどうなるのか、懐疑的。
・エコノミストの中には、安倍政権による(消費税増税延期しても)2020年度までに経済収支の黒字化は達成可能とする説明に納得しておらず、仮に同政権が標榜する年率2.0%の経済成長(注;消費物価上昇)を遂げても、その達成は困難だろうとの見方。」
同日付トルコ
『デイリィ・サバ』紙の報道記事「安倍政権、(野党提出の)経済失速を理由
とした内閣不信任決議案を否決」:
「・野党連名で提出された、経済失速の結果責任を問うための内閣不信任決議案は、5月31日の衆議院本会議で否決(反対345票、賛成124票)。
・安倍首相は、消費税増税時期を再度延期することを決定したが、税収不足をどう補うか依然不明な状態。
・なお、日本の国の借金は、今やGDPの240%程にも達しており、可及的速やかな対応策が必須。」
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トルコ・アフガニスタン・パレスチナメディア;中東から見た米大統領予備選(2)(2016/05/09)
3月17日付
Globali「中東から見た米大統領予備選」を報じた際は、民主/クリントン候補及び共和/トランプ候補とも、一歩抜け出しているとは言え、それぞれ過半数が取れるか不確かであった。そして、両候補とも各々の党の本選候補が確かとなった現在、中東メディアがどう報道しているかみてみたい。
5月5日付トルコ
『デイリィ・サバ』オンラインニュースの報道記事「米下院のポール・ライアン議長、トランプ候補を共和党本選候補とするか未定」:
「・米下院のポール・ライアン議長(共和党)は5月5日、トランプ候補を共和党本選候補とするか未定と発言。
・ただ同議長は、トランプ候補が共和党の目指すところを理解し、共和党をひとつにまとめるようリーダーシップを発揮できるとなれば、同候補を推す可能性ありと表明。...
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5月5日付トルコ
『デイリィ・サバ』オンラインニュースの報道記事「米下院のポール・ライアン議長、トランプ候補を共和党本選候補とするか未定」:
「・米下院のポール・ライアン議長(共和党)は5月5日、トランプ候補を共和党本選候補とするか未定と発言。
・ただ同議長は、トランプ候補が共和党の目指すところを理解し、共和党をひとつにまとめるようリーダーシップを発揮できるとなれば、同候補を推す可能性ありと表明。
・一方、2012年大統領選の共和党候補だったミット・ロムニー氏側近は、共和党大会で同氏がトランプ候補ではなく他候補に投票するとしているとコメント。」
5月7日付アフガニスタン
『アフガニスタン・サン』紙の報道記事「オバマ氏、トランプ候
補に大統領選は見世物ではないと警告」:
「・オバマ大統領は5月6日、共和党本選候補にほぼ決まったとみられるトランプ候補に対して、これは劇でもエンターテインメントでもなく、(国のために)真剣な仕事をする大統領選であることをわきまえるよう警告。
・同時に同大統領は、マスコミや有権者に対して、トランプ候補が過去にどんな発言をしてきたか等しっかり調べておくことを要求。
・また、マスコミに対しては更に、サーカスショーの始まりのような有権者を惑わす報道ではなく、冷静に判断できるようなきちんとした情報を伝えることも要求。」
同日付パレスチナ
『ドニア・アル・ワタン』英文ニュースの報道記事「トランプかクリン
トンか、いずれにしても中東の板挟み」:
「・米大統領予備選の候補がクリントン氏とトランプ氏にほぼ絞られてきた現在、どちらが中東にとって歓迎されるか。
・クリント氏はまず、国務長官時代の2003年にイラク戦争に賛成し、かつ、シリアやリビアへの米軍の介入を先導したことで、今の中東の大混乱を招いた張本人。
・一方トランプ氏は、米国内優先政策で、他国派遣の米軍防衛の勢力・経費も削減を要求。そして、オバマ政権の中東政策が過激派組織イスラミックステート(IS)の勢力拡大を許したと批判。
・またトランプ氏は、オバマ氏のイラン核合意を非難しており、同合意を苦々しく思っているサウジアラビアやその他のスンニ派のイスラム教国にとって複雑な心境。
・但し、両氏とも3月開催の米・イスラエル政治問題委員会(AIPAC、注後記)に出席し、イスラエルへの米国の更なる支援が必要と発言
・なお、イラン核合意に関し、クリントン氏はオバマ政権を非難しているも、今から見直し等はしないだろうが、トランプ氏は同合意の白紙撤回などと言い出しかねず、現在の米国・イラン関係に多大な影響を与えかねず。」
(注)AIPAC:1953年に設立された、米国において強固な米・イスラエル関係を維持する
ことを目的とするロビースト利益団体。米国において、全米ライフル協会をも上回る影響
力のあるロビー団体と言われる。全米50州で10万人の会員数。AIPACの政治目標は、ハ
マスに率いられたパレスチナ自治政府の孤立化、イランの核兵器保有の防止、中東におけ
る唯一の民主主義国家としてのイスラエルの支援等。
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