バイデン政権で国務省長官に就任したばかりのアントニー・ブリンケン氏(58歳、元国務省副長官)が、カナダ、韓国、日本、メキシコ外相と立て続けに電話会談を行い、トランプ政権下での不和を改めて、新たな協調を呼びかけた。なお、米メディア報道では、同長官の電話会談の順番が、カナダ、韓国、日本、メキシコとなっているように記載されているが、インドメディアは、日本、韓国、カナダ、メキシコの順となっている。
1月27日付
『ザ・ヒル』(1994年創刊の政治専門紙):「ブリンケン国務長官、就任早々に関係国外相と電話会談」
アントニー・ブリンケン国務長官は1月26日、当日上院で長官就任が承認されてすぐ、近しい関係国であるカナダ、韓国、日本、メキシコ外相と立て続けに電話会談を行った。
国務省がリリースした公式声明によると、同長官はカナダのマーク・ガーノー外相(71歳)と会談し、“両国間の幅広い分野での密接なパートナーシップ”について協議したという。...
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1月27日付
『ザ・ヒル』(1994年創刊の政治専門紙):「ブリンケン国務長官、就任早々に関係国外相と電話会談」
アントニー・ブリンケン国務長官は1月26日、当日上院で長官就任が承認されてすぐ、近しい関係国であるカナダ、韓国、日本、メキシコ外相と立て続けに電話会談を行った。
国務省がリリースした公式声明によると、同長官はカナダのマーク・ガーノー外相(71歳)と会談し、“両国間の幅広い分野での密接なパートナーシップ”について協議したという。
同長官は、“両国間の貿易の再活性化や幅広い北米パートナーシップの強化、更には、新型コロナウィルス(COVID-19)や気候変動、その他多くの重要問題について、カナダ外相と密接に協動していきたい”と述べたという。
同長官は、韓国の康京和外交部長官(カン・ギョンファ、65歳、注後記)と会談した際には、“米韓同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋地域の平和と安定の維持に寄与していくことを確認した”という。
更に同長官は、“北朝鮮の非核化実現のため、日米韓3ヵ国の協調の重要性についても強調した”とする。
そして、日本の茂木敏充外相(65歳)との会談に当たっては、“自由で開かれたインド太平洋地域、更には世界の平和と安定のために協力して当たっていく”ことを確認した。
そして同長官は、メキシコのマルセロ・エブラード外相(61歳)と会談し、“両国間の安全保障及び経済関係を重視すること、また両国間の移住に関して秩序及び人権尊重に基づく対応をしていくことを強調した”。
ジョー・バイデン大統領(78歳)は、トランプ政権下で特に棄損された関係国との関係修復に最優先で取り組んでいくと表明している。
特に、前述したカナダ、韓国、日本、メキシコとは、貿易や外交面で対峙することが多かった。
例えば、前政権は、カナダ、メキシコと締結していた北米自由貿易協定(1994年成立、2020年失効)について強圧的に改定を迫っており(2020年に、米国・メキシコ・カナダ協定が発効)、メキシコに対しては、不法移民対策で強烈に非難していた。
また、日本に対しては、貿易不均衡の是正を要求し、韓国に対しては、米韓合同軍事訓練のキャンセルを求めていた。
なお、ブリンケン国務長官の就任はバイデン政権下では4番目で、アブリル・ヘインズ国家情報長官(51歳)、ロイド・オースティン国防長官(67歳)、ジャネット・イエレン財務長官(74歳)は既に上院で承認されて就任している。
同日付インド『ザ・ヒンドゥ』紙(1878年創刊の日刊英字紙):「アントニー・ブリンケン氏が新国務長官に就任」
ブリンケン新国務長官は、1月26日に開催された上院議会で、賛成78票、反対22票で承認された。
同長官は、その後すぐさま、米国の同盟国である日本、韓国、カナダ、メキシコ外相との電話会談に臨んだ。
これら外相との会談でも触れたが、同長官は今後、前政権下で標榜された“米国第一主義”政策によって棄損された関係国との関係修復に努めていく意向である。
ただ、同長官は上院公聴会で、前政権が徹底的に対立を煽った対中政策に賛同はしないが、一部の対中強硬戦略には同意していると表明した。
一方、インドとの関係は、“超党派政策の成功例”だと語っている。
なお、同長官は先週、国務省を“超党派機関”として運営していく意向を表している。
(注)外交部長官:文在寅大統領(ムン・ジェイン、68歳)は1月20日、突然康長官に代えて、鄭義溶外交安保特別補佐官(チョン・ウィヨン、74歳)を任命する人事を発表。新長官は目下、国会の公聴会待ち。
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ジョー・バイデン大統領(78歳)就任前から、対中政策はどうなるのかと種々憶測報道がなされている。その一環で、ある米メディアが、“昨年12月に中国側から、トランプ政権が強行した関税賦課措置をはずすための協議を申し入れた”と報じたが、この程、在米中国大使館が改めて事実無根と否定するコメントを発表した。
1月24日米
『ニューズマックス』(1998年設立の保守系メディア):「中国、バイデン政権高官との協議要請との報道を否定」
在米中国大使館は1月23日、トランプ政権の4年間で起きた米中間の緊張関係を弱めるべく、中国側がバイデン新政権高官との協議を申し入れたとの報道を否定するコメントを発表した。
『ザ・ヒル』(1994年設立の政治専門紙)報道によると、“在米大使館は1月23日付声明で、当該報道は事実無根であり、メディアは、米中関係について、事実に即した報道を心掛けるべきだと表明した”という。...
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1月24日米
『ニューズマックス』(1998年設立の保守系メディア):「中国、バイデン政権高官との協議要請との報道を否定」
在米中国大使館は1月23日、トランプ政権の4年間で起きた米中間の緊張関係を弱めるべく、中国側がバイデン新政権高官との協議を申し入れたとの報道を否定するコメントを発表した。
『ザ・ヒル』(1994年設立の政治専門紙)報道によると、“在米大使館は1月23日付声明で、当該報道は事実無根であり、メディアは、米中関係について、事実に即した報道を心掛けるべきだと表明した”という。
この直前の1月22日、『ウォールストリート・ジャーナル』紙が、中国側は、中国共産党の政策を討議・決定する機関である党中央政治局委員会(計25名)メンバーの楊潔篪(70歳)を米国に派遣し、バイデン新政権高官と協議させたいとの意向を表明したと報じていた。
同紙は更に、崔天凱駐米大使(68歳、ツイ・ティアンカイ)が12月、習近平国家主席(67歳、シー・チンピン)からジョー・バイデン次期大統領に宛てて祝辞が送付されて間もなく、米政府に申し入れたと報じている。
しかし、中国大使館声明で、当該報道を否定した上で、米中双方は多くの不一致事項について“お互いに歩み寄るべきだ”と強調している。
トランプ政権下では、貿易紛争に加えて、南シナ海での領有権問題で緊張が高まっていたが、直近でも、マイク・ポンペオ国務長官(57歳)が、新疆ウィグル自治区においてウィグル族に対して集団虐殺が行われたと宣言したことで、分断が決定的となっていた。
これに対抗して中国は、“嘘をついて騙そうとしている”ポンペオ氏及び他27人の米高官に対して制裁を科すと発表している。
しかし、アントニー・ブリンケン国務長官候補(58歳)は、ポンペオ氏の意見に賛同すると表明している。
なお、バイデン大統領は、中国とはもっとうまくやっていきたいと発言しているものの、トランプ政権が科した制裁関税賦課についてすぐさま撤回する考えはないとしている。
1月23日付中国『チャイナ・デイリィ』紙:「中国大使館、米国高官との協議希望との報道に反論」
米『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、崔中国大使が米政権高官宛に、両国高官による協議の場を設けることを提案する書簡を送ったと報道したが、大使館はすぐさま当該記事を全面否定した。
中国大使館声明によると、“報道内容は事実無根で、同大使はそのような書簡を送付したことはない”という。
更に、“メディアは事実に即した報道をすべきである”とした上で、“米中双方は、協力姿勢で臨み、両国間の健全かつ安定した関係構築のため、不一致点についても真摯に協議していくべきだ”と付言している。
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