比ドゥテルテ大統領、支援と引き換えに米ティラーソン国務長官におべっか【米・英・ロシア・フィリピンメディア】
目下、マニラ(フィリピン)で東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムが開催されている。この機会を捉えて、レックス・ティラーソン国務長官と会談したロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、昨年のオバマ大統領(当時)に浴びせた暴言は封印して、米国支援を期待して同長官におもねる発言をしている。
8月7日付米
『ザ・デイリィ・コーラー』オンラインニュース:「オバマ大統領に“地獄に落ちろ”と暴言を吐いたフィリピン大統領、今や米代表に“身分の低い友人”だとおもねる態度」
オバマ政権時代、反米的態度を取っていたロドリゴ・ドゥテルテ大統領は8月7日、レックス・ティラーソン国務長官と会談した際、“私は東南アジアの身分の低い友人”だと180度違う対応を取った。
現在フィリピンでは、イスラム過激派組織イスラミック・ステートと連携したフィリピン過激派組織が台頭しており、米軍の支援を受けて制圧に努めている。...
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8月7日付米
『ザ・デイリィ・コーラー』オンラインニュース:「オバマ大統領に“地獄に落ちろ”と暴言を吐いたフィリピン大統領、今や米代表に“身分の低い友人”だとおもねる態度」
オバマ政権時代、反米的態度を取っていたロドリゴ・ドゥテルテ大統領は8月7日、レックス・ティラーソン国務長官と会談した際、“私は東南アジアの身分の低い友人”だと180度違う対応を取った。
現在フィリピンでは、イスラム過激派組織イスラミック・ステートと連携したフィリピン過激派組織が台頭しており、米軍の支援を受けて制圧に努めている。そして、今回の会談でも、この議題が中心となった。
これまでドゥテルテ大統領は、自身の麻薬撲滅政策を非人道的と非難したオバマ大統領(当時)に様々な暴言を吐いたり、米軍駐留を再認した“拡大防衛協力協定(EDCA)”を破棄すると発言したりする等、ことごとく反米的な対応を取ってきた。しかし、同政策に直接触れないドナルド・トランプ大統領が当選したときには、いち早く祝辞を述べる等、これまでの対応を改める兆しを見せていた。
同日付英『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「フィリピンのドゥテルテ大統領、レックス・ティラーソン米国務長官に“私は東南アジアの身分の低い友人”だと告げる」
これまでの反米対応と打って変わって、ドゥテルテ大統領はティラーソン国務長官に穏やかな態度で接した。
会談に先立ち、大統領府のアーネスト・アベロ報道官は、マラウィ(フィリピン南部ミンダナオ島)の過激派一掃、世界のテロ対策、米比経済及び人的交流、バランギガのベル(注後記)返還等について協議されることになると発表している。
同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「ドゥテルテ大統領、ティラーソン国務長官の表敬訪問を受けて、“私は米国にとって身分の低い友人”だとおもねる」
ドゥテルテ大統領は最近も、米国は“ひどい”と言い、自身の任期中に訪米することはないと言っていたにも拘らず、ティラーソン国務長官を迎える態度は全く異なっていた。そして、これまでの暴言を忘れたかのように、米国は“友好国”であり“同盟国”だとも持ち上げている。
8月8日付フィリピン『マニラ・ブルティン』紙:「ドゥテルテ大統領、ティラーソン国務長官に“私は貴国にとって身分の低い友人”だと発言」
8月7日午後、大統領府にティラーソン国務長官を迎えたドゥテルテ大統領は、米比同盟関係やASEAN関係について協議できることをうれしく思うと述べた。
そして同大統領は、フィリピンの過激派一掃への米軍支援に感謝し、また、(指摘を忌み嫌っている)人権問題についてもオープンに話す用意があるとした。なおまた、長年未解決となっている、バランギガの教会ベルの返還についても話題にしている。
(注)バランギガのベル:フィリピンで3番目に大きいサマール島東部で1901年、米比戦争に勝利した米陸軍部隊が、戦利品としてバランギガの町の教会のベルを3つ略奪したもの。以前返却が為されないままで、米軍の基地に保管されている。
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中国の軍事力アピール;陸軍がインド国境付近で実弾演習し、海軍はバルト海でロシアとの合同海上演習【米・英・ロシア・インドメディア】
7月12日付Globali「日米印共同海上演習の仮想敵は中国の潜水艦」の中で、“日米印共同軍事演習には初めて米軍空母打撃群が参加し、インド洋に潜伏・航行する中国潜水艦の脅威に対抗することに焦点が当てられている”と報じた。仮想敵とされたことに激怒したためか、中国は、かねてから国境紛争で揉めていたインド国境付近で実弾演習を実施したかと思えば、昨年に引き続いて今年も、バルト海においてロシアとの合同海上演習を実行して、西側諸国にその軍事力をアピールしている。
7月18日付米
『NYSEポスト』オンラインニュース:「中国、インド国境付近で“敵国の航空機”を標的とした実弾演習を実施」
7月17日の中国国営メディア報道によると、中国人民解放軍が、インドと長らく国境問題で揉めているチベット自治区のヤルンツァンポ川(チベット内呼称、インド内ではブラマプトラ川)流域で、兵員4,000~7,000人の規模で実弾演習を展開したという。
更に、中国メディアは、インド軍は、中国と国境問題でもめている地域に20万人近くの部隊を駐留させており、今年の6月18日に起きたシッキム州(インドの北東部で、西がネパール、東がブータン、北が南チベット)国境付近での小競り合いは、インド軍兵士の中国領への侵入が引金になったものと報じている。...
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7月18日付米
『NYSEポスト』オンラインニュース:「中国、インド国境付近で“敵国の航空機”を標的とした実弾演習を実施」
7月17日の中国国営メディア報道によると、中国人民解放軍が、インドと長らく国境問題で揉めているチベット自治区のヤルンツァンポ川(チベット内呼称、インド内ではブラマプトラ川)流域で、兵員4,000~7,000人の規模で実弾演習を展開したという。
更に、中国メディアは、インド軍は、中国と国境問題でもめている地域に20万人近くの部隊を駐留させており、今年の6月18日に起きたシッキム州(インドの北東部で、西がネパール、東がブータン、北が南チベット)国境付近での小競り合いは、インド軍兵士の中国領への侵入が引金になったものと報じている。
なお、同州での中印部隊の睨み合いは、5週間経った現在も続いている。
7月17日付英『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「中国、緊張が高まる中でチベットのインド国境付近で実弾演習実施」
『中国中央テレビ』は7月14日、中国人民解放軍が南チベットのインド側アルナチャル・プラデシュ州(インド北東端で、西がブータン、東がミャンマー、北が南チベット)国境近辺で、11時間に及ぶ実弾演習を実施したと報道した。
同メディアは、いつ実弾演習が行われたかを明らかにしていないが、敵航空機に見立てた飛翔体をレーダーで捉え、地対空砲で撃墜する映像を流している。
中国は、インド側アルナチャル・プラデシュ州のほとんどの部分を、南チベット(チベット自治区)として中国領土と主張しており、インド側と絶えず紛争問題を起こしている。
(編注;インドと中国が接する国境は約3,540キロメーターに及ぶが、その4分の1がアルナチャル・プラデシュ州と南チベットとの間にあり、未だに国境が確定していない。)
同日付インド『デカン・ヘラルド』紙:「中国陸軍がチベット高原で実弾演習」
中国国防部は7月17日、チベット自治区のインド側と国境紛争が続いている地域で、チベット地区駐留部隊による実弾演習を11時間実施したと発表した。今回の演習は、5,000メーターを超える高地で行われた、初めての大規模訓練であり、中国側が、インドとの実戦に備えるとともに、インド政府への警告的意味合いがあるとみられる。
なお、6月中旬に発生した、インド側シッキム州の中国国境付近で発生した中印間の睨み合いは、依然一触即発の事態が継続している。
一方、7月18日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「中国の最新鋭駆逐艦、バルト海でのロシアとの合同海上演習に参加」
ロシア国防省は7月17日、バルト海において7月21日から、中国と合同海上演習を実施すると発表した。両軍から、戦闘機やヘリコプターに加えて、艦船10隻以上参加するといい、中国側は、2年前に就役したばかりの、最新鋭のミサイル駆逐艦を1隻参加させるという。
同省によると、ロシア海軍と中国人民解放軍海軍部隊との友好及び連携強化が目的だという。
なお、中国軍艦隊は先週、バルト海への航海途上、地中海で実弾演習を実施している。
なおまた、ロシアと中国は今年9月、中ロ合同軍事演習第2弾として、日本海とオホーツク海でも合同海上演習を実施する予定である。
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