中国政府高官がインターポール幹部選挙に立候補、反体制派が懸念(2021/11/19)
中国公安部の高官が国際刑事警察機構(インターポール)の次期執行委員会への選出を目指していることから、人権活動家や国際政治家の間では、中国がインターポールの権限を悪用して海外の反体制派を追跡するのではないかという懸念が広がっている。
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『ガーディアン』によると、公安部国際協力局の副局長であるフー・ビンチェン氏は、同委員会のアジア代表として2議席を争う3人の候補者の1人である。13人のメンバーからなる執行委員会は、インターポールの事務局の仕事を監督するだけでなく、方針決定にも関与する。
インターポールは、人や物の識別情報を含む多数のデータベースを管理し、世界的な取り締まりを支援している。また、レッドノーティスという通知システムを運営している。...
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『ガーディアン』によると、公安部国際協力局の副局長であるフー・ビンチェン氏は、同委員会のアジア代表として2議席を争う3人の候補者の1人である。13人のメンバーからなる執行委員会は、インターポールの事務局の仕事を監督するだけでなく、方針決定にも関与する。
インターポールは、人や物の識別情報を含む多数のデータベースを管理し、世界的な取り締まりを支援している。また、レッドノーティスという通知システムを運営している。レッドノーティスとは、「身柄引き渡しを待つ個人の居場所を特定し、暫定的に逮捕する」ことを要請するものである。
しかし、政府や当局が反体制派を追跡するためにこのシステムを悪用しているという懸念が長年続いている。難民に対するレッドノーティスの使用を禁止する明確なルールがある一方で、注目を集めている事例の場合、インターポールの方針に反して、各国がレッドノーティスを繰り返し取得していることが明らかになっている。
活動家や権利擁護団体、および国際的な議員連盟である「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」からの50人が、中国が亡命ウイグル人活動家を標的にレッドノーティス制度を利用しようとしている疑いがあるとして、フー・ビンチェンの委員会への選出に異議を申し立てた。
インド『ビジネス・スタンダード』によると、異議申し立てに署名したIPACメンバーは4大陸20カ国に及び、この動きに合わせて、40人の活動家がインターポール加盟国宛てに、フー・ビンチェン氏の当選が「中国国外に住む中国人、香港人、台湾人、中国の人権活動家、そしてチベット人やウイグル人のディアスポラの安全と福利に重大な結果をもたらす」と警告する別の書簡を送った。
人権擁護団体「Safeguard Defenders」が最近発表した、中国の海外まで及ぶ取り締まりの現状に関する報告書では、中国政府がインターポールへのレッドノーティスを非公表にしていることで、何千人もの活動家や反体制派が逮捕、拘留、中国への引き渡しの危険にさらされていることを明らかにしている。また、中国が合法的、非合法的な手段で海外に逃亡した人を追跡する際に、フー氏が所属する公安部国際協力局が果たしている役割についても検証している。
IPACの共同議長であるキンバリー・キチング上院議員は、「中国共産党は、世界の最も重要な機関への影響力を強めている。国連人権理事会から世界保健機関に至るまで、中国共産党の悪質な影響力がいかに私たち全員に脅威を与えているかは、すでに明らかになっている。中国政府が世界の警察機関にまで影響力を及ぼす可能性があるということは、世界中の大使館で警鐘が鳴らされるべきである。我々の政府は、フー・ビンチェンの選出に反対するよう代表団に働きかけなければならない」と述べている。
なお、インターポールの前総裁であった中国の孟宏偉氏は3年前、訪中中に中国当局によって逮捕され、突然辞任した。彼の妻は双子の息子を連れてフランスに一人で滞在している。彼女は現在、フランス警察の24時間体制の保護下にある政治亡命者となっている。中国当局はその後、孟宏偉氏が家族の「贅沢な生活」を満足させるために権力を乱用し、妻が個人的な利益のために彼の権威を利用したと発表した上で、200万ドル以上の賄賂を受け取った罪で、13年6カ月の懲役刑を宣告した。これに対し、妻は、告発はでっち上げであり、夫が追放されたのは、彼がその地位を利用して変革を推し進めていたからだと長年主張してきた。妻は『AP通信』の取材に対し、「これは偽物の事件です。これは、政治的な意見の相違が犯罪的な事件に変えられた例です。今日、中国国内の汚職の広がり方は非常に深刻です。どこも汚職にまみれている。しかし、中国の汚職を解決する方法については2つの異なる方法があります。1つは今のような方法。もう1つは、憲法上の民主主義に移行し、問題を根本から解決することです。」と話している。
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トルコ、欧州との関係改善を望む姿勢を見せる(2021/01/18)
2020年、東地中海におけるギリシャとの海底資源争いなどを巡り、欧州との関係が悪化したトルコ。しかし2021年に入り、突如欧州との関係修復の希望を表明した。エルドアン大統領は12日、トルコの首都アンカラで欧州各国の大使を前に、「欧州との関係を元に戻したい」との意向を笑顔で述べた。
仏
『ヨーロッパ1』によると、トルコのエルドアン大統領は12日、地中海東部の海底資源探査を中心に多くの問題で強い緊張が続いてきたトルコと欧州連合(EU)の関係を「軌道に戻す」準備ができていると述べた。同大統領は、「我々は、我々の関係を軌道に乗せる準備ができている」とし、「我々はEUの友人が同じ意志を示すことを期待している。」と演説で述べた。
実は12月に開催されたブリュッセルで開催されたEU首脳会議で、トルコのギリシャとキプロスに対する地中海での「違法かつ攻撃的」な行為を処罰することが決定された。...
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仏
『ヨーロッパ1』によると、トルコのエルドアン大統領は12日、地中海東部の海底資源探査を中心に多くの問題で強い緊張が続いてきたトルコと欧州連合(EU)の関係を「軌道に戻す」準備ができていると述べた。同大統領は、「我々は、我々の関係を軌道に乗せる準備ができている」とし、「我々はEUの友人が同じ意志を示すことを期待している。」と演説で述べた。
実は12月に開催されたブリュッセルで開催されたEU首脳会議で、トルコのギリシャとキプロスに対する地中海での「違法かつ攻撃的」な行為を処罰することが決定された。会議では、トルコの東地中海における探査活動に関与する個人を対象とした個別制裁措置が採択された。
その後トルコ当局は、ここ数週間で、ギリシャとトルコの海事紛争に加えて、シリア、リビア、そして最近ではナゴルノ・カラバフでの紛争におけるトルコの役割に関連する摩擦解消を解決するために、欧州との対話の呼びかけを増やした。
インド『ビジネス・スタンダード』によると、エルドアン大統領はEU大使らを前に、トルコのEU加盟は英国の離脱によって引き起こされた不確実性を克服するのに役立つと信じているとも語った。ブレグジットによってもたらされている不確実性は、トルコがEUの中に正当な地位を獲得することによってのみ解消することができると述べた。
英『デイリー・エクスプレス』によると、トルコのメブリュト・チャブシオール外相も15日、スペインのアランチャ・ゴンサレス・ラ外相との会談に先立ち、トルコがEUに加盟したいとの意向を改めて表明した。
しかし欧州議会議員の中からは、反発の声が上がっている。イタリアの欧州議会議員ステファニア・ザンベリは「トルコが再び欧州に上陸しようとしている。私たちはいつも言ってきた。トルコがヨーロッパに上陸することはない。」とツイートした。フランスの欧州議会議員エレーヌ・ラポルテも「ノーです」とツイートした。
仏ニュース誌『マリアンヌ』によると、イスタンブールにあるガラタサライ大学の政治学者アフメット・インセル氏は、トルコのこの方向転換は驚くべきことではないと述べている。「正直言って、エルドアン大統領の戦略に目新しさは感じない」と語り、「態度をころころ変えることは、ヨーロッパに対してここ何年も使ってきた方法だ」と指摘している。今回の態度は、トランプ政権よりも厳しい姿勢を取る可能性のあるバイデン政権と疎遠になることのないように、様子見の姿勢ではないかと思う」と説明している。
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