世界経済フォーラム(WEF)は4日、2019年版の「旅行・観光競争力レポート」を発表した。同報告書の旅行・観光競争力ランキングによると、首位はスペインで、日本は過去最高だった前回と同じ4位だった。報告書は、世界的に観光需要が増大する一方、観光客の急増による問題点が顕在化しているとして、文化・自然資産の保護を呼び掛けている。
米
『CNBC』やインドの
『ビジネス・スタンダード』など各国メディアが報じた。WEFの「旅行・観光競争力レポート」は、世界各国の旅行・観光業の事業環境に関する報告書であり、2007年以降公表されている。
同報告書に掲載されている旅行・観光競争力ランキングは、環境、政策、インフラ、自然・文化資源の4分野につき、環境の持続性、保健・衛生、国際的な開放度など14項目90指標によって、各国の観光地としての魅力を評価し順位付けしている。今回公表された2019年の最新版では、140カ国・地域の状況について評価が行われた。
2015年以降首位を維持するスペインは、豊富な自然・文化資源やインフラ整備が高く評価された。2位はフランス、3位はドイツで、4位の日本に続き5位に米国が入り、以下英国、オーストラリア、イタリア、カナダ、スイスとトップ10には先進観光立国が並んだ。前回2017年との比較では、米国が英国を抜き5位となった以外に変化はなかった。
報告書は日本について、訪問者は「独特な文化的資源」に魅了されていると高く評価した一方で、有望な自然資源をうまく活用することにおいて、なお改善の余地があると指摘した。今回のランキングで観光業が最も急成長している地域の1つとされたアジア太平洋地域では、日本が9位から順位を大きく上げた前回に続く4位となり、7位のオーストラリアを上回って再び最高順位となった。中国は13位、韓国は16位だった。
今回の報告書でWEFは、多くの国々が観光業の「転換点」に差し掛かっており、観光客の急増により、観光客を引きつける資源に悪影響がもたらされ、損害が発生するなどの問題が生じているとして、観光地の負担を警告した。これは特に先進諸国で顕著であり、WEFは観光関連業界に対し、文化・自然資産の維持に尽力するよう呼び掛けた。
報告書は、急増する観光客がもたらす問題への対策は、観光客の流れの管理が重要だとして、ピーク時を外した旅行の推奨や、地元住民への対策の意見聴取、観光地での入場料の徴収などを提案したが、最も重要な対策の1つはインフラ整備であると指摘している。
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