インド:大気汚染の懸念の中ギネス記録の祭典(2023/11/13)
南アジアのインドでは12日、ヒンズー教徒の祭典が行われ、ギネス世界記録となるランプも灯されたが、一方で大気汚染が深刻な状況となっている。
11月13日付
『ロイター通信』:「大気汚染のインド首都でディワリ祭典」
12日ニューデリーではヒンズー教の光の祭典の中、空は爆竹による煙に包まれた。毎年政府当局またはインドの最高裁は爆竹を禁止しているのだが、実際の効力はほぼ無いに等しい。
40カ国の空気質指数(AQI)は500を基準にして平均が129となっているが、先週は約400~500レベルまで上がり、週末を迎える前の降雨により160未満まで下がったものの、政府汚染管理委員会によると、人口の殆どが影響を受ける「非常に劣悪」な状態だという。...
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11月13日付
『ロイター通信』:「大気汚染のインド首都でディワリ祭典」
12日ニューデリーではヒンズー教の光の祭典の中、空は爆竹による煙に包まれた。毎年政府当局またはインドの最高裁は爆竹を禁止しているのだが、実際の効力はほぼ無いに等しい。
40カ国の空気質指数(AQI)は500を基準にして平均が129となっているが、先週は約400~500レベルまで上がり、週末を迎える前の降雨により160未満まで下がったものの、政府汚染管理委員会によると、人口の殆どが影響を受ける「非常に劣悪」な状態だという。
また、PM2.5(微小粒子状物質)濃度は、WHO推奨最大値の20倍となる1立方メートルあたり約100マイクログラムとなっている。
医師らによると、爆竹の煙が空気中にとどまっているため13日の空気質は更に悪化し、目やのどの痛みを訴える人が増えると見られる。ゴパル・ライ環境大臣は呼吸疾患を予防するよう、市民に爆竹の禁止を呼びかけた。ヒンズー教徒の中には、宗教の祭典への干渉だとして、禁止に反発する人もいる。
最も大気汚染が進んでいるデリーでは、通常冬の数ヶ月の間、冷気に微粒子が包まれることで濃霧が発生し、呼吸器系疾患が急増する。
同日付『AP通信』:「大気汚染が懸念される中、世界記録となるディワリ祭典」:
インドでは12日、数百人がディワリを祝った。大気汚染が深刻なこの南アジアの国では、ギネス記録となる土のランプが煌めいていた。
インド各地では、各家庭や通りが色鮮やかな光で飾られ、闇に打ち勝つ光の勝利を象徴するヒンズー教の祭典が行われた。ラーマ神の誕生地アヨディヤのサリュー川のほとりでは、川の両岸では、2億2200万個のランプが45分間灯された。
これはギネスの新記録を塗り変えた。24000人以上のボランティアの学生が新記録のカウントを支援したという。昨年は1500万個超が点灯されていた。
ディワリはインドの祝日で、人々は家族や友人と交流したりギフトの交換をし、土のランプやキャンドルが灯され、花火が打ち上げられる。夜にはヒンズー教の幸運と豊穣の女神ラクシュミーへの祈りが捧げられる。週末にかけては、多くの人が帰省するため、当局は臨時便を運行。
祭典はインドの大気汚染が懸念される中執り行われた。安全基準の10倍以上となる汚染レベルが先週発表され、政府中央汚染管理委員会によると、11日の雨と強風で更に悪化、その後12日夜の祭典後には花火のため更に悪化すると予測されている。
先週ニューデリー当局は、スモッグ軽減対策として、小学校を休校とし、汚染を促す車両の使用や建設作業を禁止。水スプリンクラーや防煙銃を配備し、人々にマスクを使用するよう呼びかけた。
インドでは毎年大気汚染が問題となっている。周辺国での作物残渣の焼却の時期と霧の時期と重なることが原因で、特に冬の間の汚染が深刻となっている。
インドでは、州によっては花火の販売を禁止した州もあり、汚染物質の少ないタイプ花火の使用を推奨するなど汚染への規制を強めている。
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インドネシアで高速鉄道開業(2023/10/02)
インドネシアでは、中国の高速鉄道方式を利用した最高時速350キロの高速鉄道が開業する。
10月1日付
『AP通信』:「インドネシアで中国資本による東南アジア初の高速鉄道開業へ」:
インドネシアで東南アジア初の高速鉄道が開業される。中国の一帯一路構想のもと、都市間の移動時間の短縮をめざす。
プロジェクトは延期されコストも上昇、商業的利益を疑問視する声もあったが、ウィドド大統領が支持し2日の開業に至った。中国製の鉄道は「WHOOSH」と名付けられ、ジャカルタと人口の多いジャワ島西部の首都バンドンをつなぐ。...
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10月1日付
『AP通信』:「インドネシアで中国資本による東南アジア初の高速鉄道開業へ」:
インドネシアで東南アジア初の高速鉄道が開業される。中国の一帯一路構想のもと、都市間の移動時間の短縮をめざす。
プロジェクトは延期されコストも上昇、商業的利益を疑問視する声もあったが、ウィドド大統領が支持し2日の開業に至った。中国製の鉄道は「WHOOSH」と名付けられ、ジャカルタと人口の多いジャワ島西部の首都バンドンをつなぐ。142.3kmの距離で最高速度は350kphとされ、現在3時間かかるところを約40分に短縮する。
殆どを中国が負担する73億ドルのプロジェクトは、国営4社と中国鉄道グループの合弁会社である「インドネシア中国鉄道会社(PT KCIC)」が建設。
中国の李強首相は先月、東南アジア諸国連合(ASEAN)会合で3日間ジャカルタを訪問し、試運転に乗車した。ウィドド大統領もその後試乗し、報道陣に「最高速度で、座っても立って歩いても心地よかった。ジャカルタ、バンドン間の渋滞による経済コストは年間65億ドル超だ」と述べていた。
インドネシアでは2016年にプロジェクトが開始され2019年の開業を目指したが、土地の確保、環境問題やコロナ禍で延期を余儀なくされた。
鉄道はインドネシアの熱帯気候に合うよう変更されており、地震や洪水等の非常事態に備えた安全装置も装備している。幅209mの車両に乗客上限は601人。チケット価格は未定とされているが、PT KCICは、片道のセカンドクラス席で25万ルピア、VIP席で35万ルピアを予定しているという。
2015年、日本との受注競争を経て中国との契約がきまった。中国開発銀行から75%を残り25%は国営合弁会社が出資する。このプロジェクトは、ジャワ島の4つの州と第二の都市スラバヤを結ぶ750kmの高速鉄道ライン構想の一貫となる。
ジャカルタの住民は、高速鉄道の開業を喜んでいるようだが、短い区間のため高速である必要がなく、従来の鉄道を利用するのが一般的のようである。
交通機関の専門家は、ジャカルタ、バンドン2都市間は、既に多くの移動手段があり、特に高速鉄道は必要とされていないが、2都市が結ばれる経済効果は大きいとするものの、この計画で利益を出すまでには開業後30年はかかるとされる。
同日付米『CNN』:「インドネシア、中国の支援で東南アジア初の高速鉄道」
インドネシアは、国内の2大都市を結ぶ東南アジア最初の高速鉄道を今月1日開業する。
直接的なCO2排出のない電車で、ジャカルタとバンドン間を約217km/hで走行。「WHOOSH」は、インドネシア語で、時間短縮、最高機能、信頼のシステム」を意味する。PT KCICによると、8つの車両にはWi-FiとUSB電源が完備されている。
中国国営メディアでPT KCICのディヤナ・スラメット・リヤディ会長は、港湾都市であり東ジャワ州の首都スラバヤへの延伸計画に言及。他には停車駅として、主要都市スマランや、世界最大の仏教寺院「ボロブドゥール」への玄関口となるジョグジャカルタ市への延伸も計画されている。
人口世界第4位、東南アジア最大の経済大国であるインドネシアは最大の貿易相手国であり投資国である中国の資本を積極的に受け入れてきた。7月の両国代表協議では、エコ都市として、リアウ諸島のレンパン島に中国のガラス工場を建設する計画も発表されたが、反対する島民からの抗議デモが起きていた。
PT KCICは、「新たな高速鉄道は、インドネシアと中国が相互に協力した素晴らしい例となる。インドネシアのインフラだけでなく、鉄道や製造業界の発展にも繋がるもの」としている。
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