世界気象機関、エルニーニョ現象が7年振りに発生し、世界中で猛暑と熱帯病の感染拡大の恐れと警告【欧米メディア】(2023/07/05)
世界気象機関(WMO、1950年設立の国連専門機関のひとつ)はこの程、エルニーニョ現象(注1後記)が7年振りに発生したと正式に発表した。そのため、世界各地で猛暑となり、また熱帯病の感染拡大の恐れがあると警告している。
7月4日付
『ロイター通信』、
『ユーロニュース』、
『ザ・ガーディアン』紙等は、WMOが正式にエルニーニョ現象の発生を確認した上で、世界中で猛暑と熱帯病の感染拡大の恐れがあると警告したと報じている。
WMOは7月4日、7年振りにエルニーニョ現象の発生が認められたと発表した。
これまで同現象が発生した際には、地域によって熱帯低気圧(サイクロン)や豪雨の発生、また深刻な干ばつに襲われている。...
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7月4日付
『ロイター通信』、
『ユーロニュース』、
『ザ・ガーディアン』紙等は、WMOが正式にエルニーニョ現象の発生を確認した上で、世界中で猛暑と熱帯病の感染拡大の恐れがあると警告したと報じている。
WMOは7月4日、7年振りにエルニーニョ現象の発生が認められたと発表した。
これまで同現象が発生した際には、地域によって熱帯低気圧(サイクロン)や豪雨の発生、また深刻な干ばつに襲われている。
世界の平均温度が最高となったのは2016年で、そのときもエルニーニョ現象が発生していた。
しかし、気象専門家は、気象変動の影響で更に極端な高温事態が発生する恐れがあるとコメントしている。
WMOも今年5月、今後5年間が異常気象となる可能性が高いと表明していた。
WMO気象予報部門のウィルフラン・モーフォーマ=オキア部門長は記者会見で、“厳しい気象状況となるのが今年なのか来年なのか予想するのは難しい”とした上で、“今後5年内に平均気温の最高値を更新する事態となるのは確かだと考えられる”と発言した。
WMOは6月にも、エルニーニョ現象に関連して、デング熱(注2後記)、ジカ熱(注3後記)、チクングニア熱(注4後記)のような熱帯感染症が広範囲にわたって発生する恐れがあると表明していた。
世界保健機関(WHO、1948年設立)環境・気候変動・公衆衛生担当のマリア・ニーラ理事(60歳、2005年就任)も、“今後の異常高温現象に伴って、感染症の拡大が十分考えられる”とコメントしている。
なお、WMOによれば、エルニーニョ現象は2~7年毎に発生し、9~12ヵ月にわたって続くことが多いという。
過去エルニーニョ現象が発生した際には、南米南部、米国南部、中央アジアが豪雨に襲われ、一方で豪州、インドネシア、南アジア、中米、南米北部で深刻な干ばつが発生していた。
(注1)エルニーニョ現象:中央太平洋及び東太平洋の熱帯域で発生する海面水温が上昇しては下降する振動。その結果、西太平洋に高い気圧を、東太平洋には低い気圧をもたらし、そのために発生した偏西風によって本来冷水海域の南米ペルー沖に赤道方面から暖かい海水が流れ込み、平均水温が1年余り平年より高い状態が続く現象。これまでの記録で、エルニーニョ発生時に地球上の平均気温が高くなり、一部地域に極端な少雨・干ばつ、また別の地域に豪雨をもたらす異常気象が発生している。
(注2)デング熱:デングウィルスが原因の感染症で、熱帯病の一つ。蚊の吸血活動を通じて、ウィルスが人から人へ移り、高熱に達することで知られる一過性の熱性疾患。症状には、発熱・頭痛・筋肉痛・関節痛、はしかの症状に似た特徴的な皮膚発疹を含む。
(注3)ジカ熱:ジカウィルスによって引き起こされる病気。アジア、アメリカ、アフリカ、太平洋で感染が発生。主たる症状は軽度の発熱、結膜充血、筋肉痛、関節痛、頭痛、斑点状丘疹。
(注4)チクングニア熱:ネッタイシマカやヒトスジシマカなどにより媒介されるウィルス性の伝染病。2日から長くても2週間程度の潜伏期間の後に、40℃に達する高熱と斑状丘疹があり、関節が激しく痛む。他に頭痛や結膜炎、羞明(眩しがること)などを伴うことがある。
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中国、出生率低下阻止のためいよいよ体外受精等支援の出生促進政策実施【欧米メディア】(2023/06/18)
中国は、韓国や日本と同様、出生率低下による人口減少問題に直面しつつある。そこでこの程、出生率低下阻止のため、女性の卵子凍結や体外受精等を公費で支援する出生促進政策を実施することになった。
6月15日付
『ロイター通信』、6月16日付英国
『ザ・テレグラフ』紙は、中国当局が近年の出生率低下に伴う人口減少問題に対応するため、体外受精等を支援する出生促進政策に踏み切ることにしたと報じている。
北京市人民政府は6月15日、近年の出生率低下を食い止めるため、7月1日以降公費で様々な出生促進政策を実施する旨発表した。
同政府傘下の医療保障局の独信副局長(ドゥエ・シン)によると、体外受精、受精卵移植、精子凍結・保存措置等、16に上る様々な不妊治療行為を保険で賄う等で支援するという。...
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6月15日付
『ロイター通信』、6月16日付英国
『ザ・テレグラフ』紙は、中国当局が近年の出生率低下に伴う人口減少問題に対応するため、体外受精等を支援する出生促進政策に踏み切ることにしたと報じている。
北京市人民政府は6月15日、近年の出生率低下を食い止めるため、7月1日以降公費で様々な出生促進政策を実施する旨発表した。
同政府傘下の医療保障局の独信副局長(ドゥエ・シン)によると、体外受精、受精卵移植、精子凍結・保存措置等、16に上る様々な不妊治療行為を保険で賄う等で支援するという。
同政策実施に至る背景として、今年1月、中国の2022年における人口が14億1,180万人と、前年比▼85万人(出生数956万人、死者数1,041万人)と初めて減少に転じたことが挙げられる。
すなわち、2022年出生率が1千人当り6.77人と、直近60年間で初めて前年より大幅に減少(2021年は7.52人)した上、2023年も減少傾向が続くとの予測が明らかになっている。
(編注;2021年の米国における出生率は11.06人、英国10.08人、インド16.42人)
これに先立って中国国家衛生健康委員会(1949年前身設立)は昨年8月、出生率向上のため地方政府に対して具体的な施策実施に向けてのガイドラインを発信していた。
これに沿って中国北東部遼寧省政府(リャオニン)も5月、7月1日以降出生率向上のための支援策を講じると発表している。
ただ、これら支援策の対象は婚姻女性とされていて、未婚の女性は対象外となっている。
この措置に対して、中国政府政策顧問らが今年3月、未婚の女性に対しても卵子凍結・体外受精等の支援を認めるよう提言していた。
かかる状況下、未婚の35歳の北京市在住の女性が北京市公立病院を相手取って、自身の卵子凍結要請が拒否されて権利が侵害されたとして裁判を起こしている。
一方、中国では1979年から施行された一人っ子政策(注1後記)のため、男女間に異常なアンバランスが生じていて、男性が女性よりも3,700万人も多く、婚姻の減少にも繋がってしまっている。
更に、同政策の弊害として、少子高齢化が進む状況となっていて、2035年までには60歳以上の高齢者(注2後記)が4億人超となると見込まれている。
(注1)一人っ子政策:1979年から2014年まで実施された産児制限政策。原則として一組の夫婦につき子供は一人までとする計画生育政策。家父長制の中国では、同政策下で男児が最優先された。2015年から2021年までは一組の夫婦につき子供二人までとされていたため、俗に二人っ子政策と呼称。
(注2)高齢者:国連の定義は60歳以上で、世界保健機関(WHO)では65歳以上。日本の雇用関連の法律上では55歳以上、医療制度上は65~74歳が前期高齢者、75歳以上が後期高齢者と規定。
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