世界保健機関(WHO、1948年設立)はこの程、世界における喫煙率が減少していて、この傾向は更に続くとするも、代わって電子タバコ(注後記)利用者は増加し、かつ若年層にまで広がっていると警鐘を鳴らしている。
1月17日付
『ロイター通信』や
『ボイス・オブ・アメリカ』等は、WHOがこの程、世界の喫煙率のデータを公表し、減少傾向にあることを評価するも、代わって電子タバコが蔓延しつつあるとして、各国に規制政策の実施を訴えたと報じている。
WHOは1月16日、世界の喫煙率のデータを公表した。
それによると、世界中の15歳以上の喫煙者が2000年に13億6,200万人(喫煙率33%)だったのが、2022年には12億4,500万人(同21%)に減少しているという。...
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1月17日付
『ロイター通信』や
『ボイス・オブ・アメリカ』等は、WHOがこの程、世界の喫煙率のデータを公表し、減少傾向にあることを評価するも、代わって電子タバコが蔓延しつつあるとして、各国に規制政策の実施を訴えたと報じている。
WHOは1月16日、世界の喫煙率のデータを公表した。
それによると、世界中の15歳以上の喫煙者が2000年に13億6,200万人(喫煙率33%)だったのが、2022年には12億4,500万人(同21%)に減少しているという。
更に、2030年までには、人口は増加するものの喫煙者は12億人未満(同18%)になると推計している。
2022年の実績を地域別にみると、東南アジアが26.5%と最も高く、次いで欧州が25.3%であり、最も低いのは低中所得国の多いアフリカ地域で10%未満となっている。
なお、データ公表に当たって、WHO健康増進担当のルーディガー・クレッチ理事(59歳、2019年就任)は、次のように発言している。
・各国での喫煙抑制政策が奏功して、喫煙率が下がっていることを評価。
・しかし、大手タバコ会社は、喫煙によって毎年800万人以上が早世しているにも拘らず、依然利益追求に連綿としていると非難。
・具体的には、喫煙率の低いアフリカ諸国をターゲットにして、財政支援等の手段を用いてタバコ販売増に注力していると強調。
・また、電子タバコ利用者が直近4、5年で急増していて、米・英国では150%増となっている。世界全体で3億6,200万人となっているが、データ不足であるため実際にはもっと多いと警鐘。
・特に子供も手にしやすいバニラやグミ等の電子フレーバーを付けて販売していることから、若年層にも広がっていて、将来の喫煙者予備軍が作られていると警告。
・以上を踏まえて、各国に対して、喫煙率減少を促進するためにタバコへの課税強化、販売広告の禁止や規制強化等の政策実施を訴えるのに加えて、電子タバコを禁止していない国については、子供が電子タバコに触れられないような厳格な規制導入を求めると強調。
(注)電子タバコ:化学物質が入った液体を蒸気化して吸うタバコ。バニラやグミ等何千種類もの電子フレーバーが付けられたものも販売されていて、若年層にも広がっている。
(編注)世界各国の喫煙率(2020年データ):(1)ナウル48.5%、(2)ミャンマー44.1%、(3)キリバス40.6%、(4)セルビア39.8%、(5)パプアニューギニア39.3%、(6)東ティモール39.2%、(7)ブルガリア39%、(8)レバノン38.7%、(9)インドネシア37.6%、(10)ラトビア37%、・・(19)フランス34.6%、・・(41)ロシア26.8%、(44)中国25.6%、(65)米23%、(71)ドイツ22%、(80)韓国20.8%、(88)日本20.1%
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2023年は、コビッド19が普通の病気として扱われる上での新たな段階を打ち立てた年となった。2022年からこの傾向が表れていたが、今年はさらに加速した。世界保健機関(WHO)も今年の5月からコビッド19を世界的な緊急課題としては見なさなくなった。WHOはコビッド19感染症が長引くので注意を促していたが、緊急課題扱いを行わなくなったことは、象徴的な意味があるという。
さらに、今年は「ゼロコロナ政策」を止めた年でもあった。...
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2023年は、コビッド19が普通の病気として扱われる上での新たな段階を打ち立てた年となった。2022年からこの傾向が表れていたが、今年はさらに加速した。世界保健機関(WHO)も今年の5月からコビッド19を世界的な緊急課題としては見なさなくなった。WHOはコビッド19感染症が長引くので注意を促していたが、緊急課題扱いを行わなくなったことは、象徴的な意味があるという。
さらに、今年は「ゼロコロナ政策」を止めた年でもあった。この究極の政策を適用した超大国、中国は感染流行をくい止めるだけでなく、減少させることを狙っていた。この中国も、今年初めにこの政策を放棄した。
それでは、コロナ19感染流行を普通の病気扱いにした理由は何か?
理由は、コビッド感染が2020年当時の3密キャンペーンが盛んであった頃に比べて、危険度が低下した。これは2021年以来の高性能ワクチン接種によるもので感染流行に対抗する形で人々の体にウイルスに対する抗体が形成された。
ジュネーブ大学の感染学者フラフォルト氏によると、コビッド19感染後の致死率は、ワクチン接種前に数パーセントであったのが1000分の1以下と、かなり低下したという。この致死率は、季節性のインフルエンザに相当するという。
しかし、それでもなお、コビッド19感染症の特異性のため、公衆衛生上の重要な問題として取りざたされている。インフルエンザと異なり、コビッド19は感染力が強く、年間を通じて感染流行が予想される。さらに、オミクロン株に代表されるような変異種を作りやすいことも感染力の強さの原因となっている。
ちなみに、1年を通じて、インフルエンザには5~10%の人が感染するが、コビッド19にはそれ以上の人が感染するので、致死率が低いとしても、一定人口当たりのコビッド19感染での死亡率はインフルエンザ以上になる可能性があると指摘されている。
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