フランス世論調査、4人のうち3人はゴーン被告に対して悪い印象を持つ
日本だけでなくフランスメディアでもゴーン被告に関する報道が毎日続いている。そんな中、フランスラジオ局
『RTL』とテレビ局
『M6』が世論調査を実施した。その結果、フランス人の4人中3人は、元会長に対して悪い印象を持っているということが明らかになった。
『RTL』によると、「RTL」と「M6」は13日月曜日にオンラインで世論調査を実施。ランダムサンプリングで抽出された18歳以上の1,020人が回答したという。
はじめに、ゴーン被告に関するニュースを聞く時、真っ先に思い浮かべる言葉は?という質問に対し、「お金」「詐欺師」「正義」という3つの言葉の回答が多かったという。次に回答が多かった言葉は、「泥棒」「ボス」、「暴利を貪る人」だった。
そして調査参加者のうち、4分の3がゴーン被告に対して悪い印象を持っていると回答した。...
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『RTL』によると、「RTL」と「M6」は13日月曜日にオンラインで世論調査を実施。ランダムサンプリングで抽出された18歳以上の1,020人が回答したという。
はじめに、ゴーン被告に関するニュースを聞く時、真っ先に思い浮かべる言葉は?という質問に対し、「お金」「詐欺師」「正義」という3つの言葉の回答が多かったという。次に回答が多かった言葉は、「泥棒」「ボス」、「暴利を貪る人」だった。
そして調査参加者のうち、4分の3がゴーン被告に対して悪い印象を持っていると回答した。これは、左派よりの人(81%)や極左(86%)、あるいは右派(75%)よりの人により高い傾向として出ており、極右(59%)と中道派(64%)でより低い傾向が見られたという。
また『RTL』によると、全体としては、回答者の22%のみが元会長に対し「良い印象」を持ち、4%が「非常に良い印象」を持っていると回答。 逆に、40%は「悪い印象」を持っていると答え、34%は「非常に悪い印象」と回答したという。
更には、フランス人の58%がゴーン被告のレバノンへの逃亡に「驚いた、憤慨した」と回答し、56%は、「金持ちは正義を逃れることができるという証拠である」と回答した。しかし37%は今回の逃亡方法に感心したと回答している。
最後に、今回の逃亡の「理由を理解するかしないか」については、過半数を少しだけ上回る人が、理解できないと回答。 45%は「日本の司法制度はゴーン被告が的確に弁護ができるようにはさせていなかった」と回答したのに対し、55%が「カルロス・ゴーンが自分に責めるところはないと考えるなら、日本の法廷で自分を弁護できたはずだ」と回答。
この回答は前の質問と同様に、左派(62%)、極左(72%)、右端(56%)寄りの人の間で高く、右派(36%)と中道派(38%)では低くなっている傾向が見られた。
なお、今回の世論調査では、無罪だとは思っていないが、全ての人と同様に自分を適切に弁護する権利があるというコメントが寄せられた一方、ルノーや日産で業績回復の実績を出した人ではあるものの、司法から逃れることは容認できるものではないとコメントした人もおり、フランス人の中でも意見が分かれているようだ。
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カルロス・ゴーン記者会見、フランスメディアは冷静に評価
8日、レバノンで開かれたカルロス・ゴーン日産自動車元会長の記者会見。世界中のメディアが詰めかけ、元会長の説明に肯定的な反応を見せたと言われている。しかし、フランスメディアは、会見を冷静に評価し、ゴーン側の見解を説明したものにすぎないというコメントや、批判的な意見を報道。
9日の
『RTL』ラジオ報道で、経済専門記者のフランソワ・ラングレ氏は、会見では日産と日本当局によるルノー・日産の前CEOに対する陰謀があったことが説明された。「フランスを代表するルノーのように、日本を代表する日産の支配権を失うことを恐れ、日本人は彼を追い払おうとした可能性が高い。日本の裁判官が、裁判が始まる前から彼を有罪にしたかったのではないかということも疑う余地がない」とコメント。
しかし、同記者は、それは彼が無実であることを意味するか、とは別問題であること指摘。...
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9日の
『RTL』ラジオ報道で、経済専門記者のフランソワ・ラングレ氏は、会見では日産と日本当局によるルノー・日産の前CEOに対する陰謀があったことが説明された。「フランスを代表するルノーのように、日本を代表する日産の支配権を失うことを恐れ、日本人は彼を追い払おうとした可能性が高い。日本の裁判官が、裁判が始まる前から彼を有罪にしたかったのではないかということも疑う余地がない」とコメント。
しかし、同記者は、それは彼が無実であることを意味するか、とは別問題であること指摘。 「必ずしも無実ではない。陰謀と横領の両方が存在する可能性がある。これらの横領に関して、ふれられたくない部分については(ゴーン被告は)答えていなかった。」とコメント。
同記者はまた、なぜゴーン被告は米証券取引委員会(SEC)に対し妥協し、報酬に関する虚偽記載について、昨年9月に課徴金を支払ったのか。日産も1500万ドル(約16億円)を支払っているが、ゴーン被告は課徴金に加え、米国の上場企業の役員や取締役に10年間就けない処分を受けている。これは決して無意味なことではないと指摘している。
更にラングレ記者は、「数年にわたって(ゴーン被告の)姉に支払われた合計100万ユーロ(約1億2000万円)以上の給与についても同様だ。説明は曖昧で、以前説明した内容と異なっている。また、オマーンの販売代理店に日産資金を送金し、一部をゴーン氏保有の会社に還流した疑いについても何も触れなかった。」と付け加えた。
そして、ゴーン被告がこれらの送金や財政上の決定が日本人によって常に承認されていたと説明しているが、「それらが合法であったことの証明にはならない。これは単に、指導者が当時とてつもない権力を持っていたため、誰も彼の意見に反対する勇気を持てなかったことが説明できる。」と述べた。
9日付仏『ル モンド』は、元会長は記者会見を通して自身が日産と日本当局による陰謀の標的になったことを説明し信用を取り戻そうとした。しかし、今回の会見の背景そのものが説得力に欠けていると指摘。
まずは、数百万ドルを支払い疑わしい方法で日本の司法から逃れた人物をどの程度信頼性があると評価すべきなのか?自由な逃亡生活、自分が裁判を受けたい場所の請求、公訴の棄却、その場におらず反論することのできない告発者の避難、質問できる記者の選定。こうした全てをお金で手に入れた中での無罪主張は疑わしいものだと、同紙は指摘。
次に、日本の正義の不公正と、彼が受けた監視の厳しさに対する非難についてだ。 日本の司法に対し客観的に見て問題点を感じるものの、ゴーン被告の逃亡方法を正当化するものは何もない、と同紙はコメント。また監視の厳しさについては、日本当局の監視の目を欺いていとも簡単に9千キロメートルも離れた場所に逃げられたわけだから、厳しさに関しては下方修正して受け止めるべきだと指摘。そして、結局のところ新しい情報は何も得られなかったと締めくくっている。
なお、報道法と国際法専門のフランス弁護士ヴァルラン・ド・サンジュストはフランス語版『ロシアトゥデイ』のインタビューでゴーン被告だけでなくフランス政府をも非難している。ゴーン被告が説明したように、ルノーの筆頭株主であるフランス政府がルノーへの出資比率を引き上げ、経営の重要事項について拒否権を握ろうとしたことが、日産側の反乱を起こし、ゴーン氏を退陣に追いやり、株価が結果的に下落したのであれば、フランス政府には説明責任があると指摘。また筆頭株主のフランス政府が、ゴーン元会長の報酬の高さや7000万円分以上のお金を使ったヴェルサイユ宮殿での接待など、派手なお金の使い方を知っていたにも関わらず、なぜ何も行動を起こさなかったのかと指摘。そして、ゴーン元会長は素晴らしい経営者であった反面、莫大な個人的資産を形成しようとしていた印象は免れない。自らが起こした会社でもなく、大企業と言えども、いち経営者でしかない人物がなぜあれほど莫大な給料をもらえたのか、問題であると批判している。
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