イギリス:英仏海峡を渡る移民をルワンダへ送る計画(2022/04/14)
昨年11月、英仏海峡をフランスからイギリスへ渡ろうとした移民が乗ったゴムボートが沈没し、少なくとも27人が亡くなった。このような渡航者は今も増加しており、イギリスでは、オーストラリアやデンマークをモデルに、難民申請者の一部を、ルワンダに移送し申請プロセスを行う計画があるという。
4月14日付英国
『BBCニュース』:「亡命希望者をルワンダに移送し難民申請へ」:
ボリス・ジョンソン首相は14日、プリティ・パテル国内務相の署名する前に、ルワンダとの難民合意を発表するとみられる。合意が成立すれば、英仏海峡を渡ってきた難民のうち、単身の男性は強制的に国外へ送られることとなる。
ジョンソン首相はケント州での演説でこの政策を発表し、海峡で横行する危険な人身売買抑止への効果を説明するとみられる。...
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4月14日付英国
『BBCニュース』:「亡命希望者をルワンダに移送し難民申請へ」:
ボリス・ジョンソン首相は14日、プリティ・パテル国内務相の署名する前に、ルワンダとの難民合意を発表するとみられる。合意が成立すれば、英仏海峡を渡ってきた難民のうち、単身の男性は強制的に国外へ送られることとなる。
ジョンソン首相はケント州での演説でこの政策を発表し、海峡で横行する危険な人身売買抑止への効果を説明するとみられる。この合意で、ルワンダには120万ポンドが支払われるとされるが、全体的なコストはこれを上回るとの見方もある。
英支援団体「難民評議会」は、この政策を「非道」だと撤回を求め、労働党はこの政策を「非倫理的で法外、上手くいかない」とし、自由民主党は、「税を圧迫し、危険な越境の阻止にならず、密輸人身売買への対策にはならない」と批判している。
英仏海峡では、英国の保護を求める難民数千人が小型ボートに乗り、フランスから海峡を渡ってイギリスを目指して渡航している。昨年の渡航者は28526人、2020年は8404人だった。この危険な渡航者の数は増加しており、今月13日だけで600人に上っており、今後数週間で、一日の渡航者が千人に達するとみられている。
このルワンダでの難民申請プロセス案は、政府のブレグジットに伴う「不法移民対策」長期計画の一環。小型ボートでの渡航は増加している一方、昨年には、フランス側のカレー港でのイギリス警察の取り締まり強化などにより、別の方法での渡航は減少しているという。
ルワンダとの難民開発パートナーシップ合意は、ブレグジットがより移民対策の側面があると公約した英国政府にとっては痛手となる。ルワンダへの移送は、賛否がある上、法的課題も多い。ルワンダ自体が、人権問題を抱えており、昨年国連は殺人、行方不明者、虐待などの調査を英国に要請している。
難民を海外へ移送する案は昨年から報じられており、ヨーロッパ圏外への難民移送法を既に通過させているデンマーク当局と、内務省が協議してきた。国内では、英仏海峡を渡る難民と密輸業者摘発対策である「国籍と国境法案」がデモや批判で難航していた。
4月13日付米『FT』:「ルワンダが海峡難民の受け入れを合意」:
プリティ・パテル国内務相は中央アフリカのルワンダを訪問し、合意の最終調整に入っている。一方、難民の権利保護団体等はこの合意に反対している。
英国は木曜にもルワンダとの合意を発表する意向。内務相はオーストラリアが行っているような近隣国での移民プロセス整備を検討してきた。候補としては大西洋のアセンション島等があった。
昨年にはデンマークと共同で、申請手続き中の難民が滞在する共有センターをルワンダに開設する方向で協議を進めてきた。今月13日当局は、今週ルワンダを訪問している同氏が同国との「難民と経済開発パートナーシップ」を締結したと発表。この合意は一部の申請者に関連するが、最終決定案ではないという。ルワンダ政府からのコメントはない。
今月12日だけでも海峡渡航者は600人。政府によると、数週間で1000人単位に達すると予測されている。昨年11月にはボート転覆で27人が溺死。今後も難民死者の増加が懸念されている。
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ロシアのウクライナ侵攻、中国の暗黙の承認で可能に(2022/03/04)
米保守系シンクタンクのハドソン研究所のロバート・スポルディング上級研究員は3月3日、米
『エポックタイムズ』の取材に対して「今回の真の支点は中国だ」と述べ、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、西側諸国の中国に対する対応の課題点を語った。
スポルディング氏は、「ロシアは中国の暗黙の了解がなければ、侵攻はできない。中国は基本的にロシアにオリンピック中に侵攻するなと伝え、侵略することを知っていた。ただ、オリンピックを台無しにされたくなかった」と述べた。
スポルディング氏はまた、中国共産党は西側諸国が出した制裁に加わっていないことを指摘し、ロシアがウクライナ戦争を中国共産党に依存していることは、欧米諸国が中国に制裁を加えるだけの経済的勇気があるかどうかという重大な問題を提起していると指摘した。...
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スポルディング氏は、「ロシアは中国の暗黙の了解がなければ、侵攻はできない。中国は基本的にロシアにオリンピック中に侵攻するなと伝え、侵略することを知っていた。ただ、オリンピックを台無しにされたくなかった」と述べた。
スポルディング氏はまた、中国共産党は西側諸国が出した制裁に加わっていないことを指摘し、ロシアがウクライナ戦争を中国共産党に依存していることは、欧米諸国が中国に制裁を加えるだけの経済的勇気があるかどうかという重大な問題を提起していると指摘した。
中国はロシアにとって「安全弁」の役割を果たしており、世界中がプーチンの資金源を枯渇させようとしているときに、中国がキャッシュフローを提供していると指摘。ロシアが侵攻した初日に、中国政府はロシアからの小麦の輸入制限を解除し、それ以来、モスクワとの貿易は通常通り継続されている。
一方、米国と欧州などの同盟国は、ロシアに対し、一部のロシア大手銀行を国際決済システム「SWIFT」から追放し、中央銀行の外貨準備高6400億ドルへのアクセスを制限するなど、数々の制裁措置を発表している。しかし、スポルディング氏は、ロシアを支持している中国共産党指導部を、西側諸国が団結して罰することができることを疑問視している。「中国共産党は、自由世界のエリートを懐のうちに取り込んできた。彼らの富の多くは、中国との関係に縛られている。ある国を思い通りにしたいのであれば、その国のエリートに圧力をかける必要がある。そして、中国はエリートの財産に絡むことができた。そのおかげで、エリートに圧力をかけ、頼りにすることができるようになった。これが問題だ。」
スポルディング氏は、中国共産党とのビジネス上の結びつきを何としても維持する必要があるという考えが、世界中の民主主義を弱体化させており、アメリカの中国への依存がアメリカ国内の権威主義を助長していると指摘した。「人々は、今は中国が何でも作っているから中国とは縁を切るわけにはいかない、と言う。もし、商品を受け取り続けるために、社会を民主主義社会から権威主義社会へと変貌させなければならないとしたら、それは本当に問題だ。」と指摘している。
またスポルディング氏は、1999年8月から2000年4月までの第2次チェチェン紛争で、ロシアが行った無差別爆撃により、数万人の市民が犠牲になったことを指して、「人々はロシアがチェチェンで何をしたか忘れている。ウクライナでは、チェチェンで都市を破壊するために使われたのと同じ戦術を使うだろう」と語った。
そして、未来の虐殺を防ぐためには、米国とその同盟国は、権威主義国家間の同盟関係の拡大が国際秩序にもたらす脅威を認識することが不可欠であると述べた。「これは長期的な取り組みであり、中国、ロシア、イラン、北朝鮮、その他の権威主義的な政権に立ち向かい、経済的に孤立させなければならないことを自由世界が認識するかどうかにかかっている。そうでなければ、世界は権威主義に飲み込まれるだろう」と述べた。
米『ブライトバート』は、ロシア制裁について、今週は国際関係において「国ごとキャンセル」するという新しい現象が登場したと伝えている。
「2週間前、ロシアは国際金融システムおよび世界経済において、ごく普通のマイナーな存在だった。中央銀行は世界の通貨を準備し、商品はロンドンの取引所で取引され、メキシコ湾やハワイの港に運ばれ、コネチカット州などの公共部門労働者の年金基金はロシア政府が発行する債券を所有していた。しかし、今は違う。技術輸入の制限、主要銀行への規制、通貨防衛のための中央銀行の外貨準備高へのアクセス制限など、ロシアには多くの制裁が課せられている。しかし、それ以上に顕著なのは、民間企業の多くがロシアとの取引を拒絶し、自己制裁と呼ばれる一連の動きを見せていることである。」
「シェブロンとエクソンモービルは、ロシアでの事業から撤退することを発表した。BPは、250億ドルの価値があると言われるロスネフチの20%近い株式から撤退する予定であると発表した。ボーイング社は、ロシアの航空会社が所有する航空機にサービスを提供しないと発表した。ウォルト・ディズニーとワーナー・ブラザーズは、最新作のロシアでの公開を取りやめた。アップルはロシアでのApp Storeを停止し、販売を一時停止している。世界銀行はすべての業務を停止した。ゼネラルモーターズは、ロシアへの自動車輸出を停止すると発表した。フォードはロシアでの合弁事業を停止した。
原油も、10数年ぶりの高値を更新する中、3日連続でロシアの原油は入札されなかった。一部のトレーダーが、原油がさらなる制裁措置の対象になることを懸念していると見られている。また、荷主や精製業者などは、ロシア侵攻に対する国際世論の影響で、ロシア産の原油の取り扱いに消極的になっているとも言われている。
『ブライトバート』は、こうした動きによって中国が大きな受益者となる可能性が高いと伝えている。「世界中がロシアの石油を敬遠し、中国が唯一の顧客となる。そして、米国企業が手放そうとしている金融資産やその他の資産を、中国は喜んで買い取ることだろう。一方、ロシアへの技術や製品の輸出は制限されており、中国が優位に立つには絶好の市場となっている。つまり、ロシアを排除しようとする世界的な動きは、中国共産党にとっては大きな利益になっている。」
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