【日本の世相と世界の動き・・No.115<憲法改正>】(2017/05/03)
<憲法改正>
安倍晋三首相は5月1日、超党派の国会議員らでつくる「新憲法制定議員同盟」が開いた大会で、「いよいよ機は熟してきた」、「日本国憲法の施行70周年という節目の年に、必ずや歴史的な一歩を踏み出す」と語った。
更に同首相は5月3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明している。
連立与党が衆・参両院で絶対安定多数を確保しており、なおかつ、直近の世論調査でも安倍内閣の支持率が5割を超えていることを背景に、自他ともに改憲論者と任じる安倍首相が、強気の発言に打って出ているものとみられる。...
全部読む
<憲法改正>
安倍晋三首相は5月1日、超党派の国会議員らでつくる「新憲法制定議員同盟」が開いた大会で、「いよいよ機は熟してきた」、「日本国憲法の施行70周年という節目の年に、必ずや歴史的な一歩を踏み出す」と語った。
更に同首相は5月3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明している。
連立与党が衆・参両院で絶対安定多数を確保しており、なおかつ、直近の世論調査でも安倍内閣の支持率が5割を超えていることを背景に、自他ともに改憲論者と任じる安倍首相が、強気の発言に打って出ているものとみられる。
しかし、
『朝日新聞』などは、自社の世論調査の結果を踏まえて、改憲必要との回答者が41%に対して改憲不要は50%だったことを挙げて、「改憲不要の世論が非常に少数」とみている安倍首相を批評している。
ただ、他の大手メディアの直近の世論調査は以下のとおり、概ね改憲賛成者が反対者を上回っている。
(各メディア世論調査結果) 改憲賛成 同反対
・共同通信(3~4月、郵送) 60% 37%
・フジテレビ(4月、電話) 52.9% 39.5%
・讀賣新聞(4月、郵送) 49% 49%
・NHK(3月、個人面談) 43% 34%
・朝日新聞(3~4月、郵送) 41% 50%
なお、日本国憲法は、第96条で定めているとおり、憲法改正の発議に衆・参両院で3分の2以上の賛成が必要で、かつ、国民投票で過半数の支持が条件付けられていることから、“硬性憲法”と言われ、これまで一度も改正されたことがない。
しかし、米国・ドイツ・フランスなども“硬性憲法”として日本国憲法と近似した厳しい条件が付されているが、後述どおり、実情、あるいは時代に合せるためか、改正は度々行われている。
●米国:①改正回数 6度(1951/2、1961/3、1964/1、1967/2、1971/7、1992/5)、②改正条件 上・下両院の3分の2以上の賛成、かつ、全州の4分の3以上の州議会の承認で発議、国民の過半数の賛成で改正。
●ドイツ:①60度(但し、技術的な改正が主で、人間の尊厳の不可侵等基本的条件はそのまま)、②連邦議会議員の3分の2及び連邦参議院の表決数の3分の2の賛成で改正(国民投票は不要)。
●フランス:①27度、②国民議会・元老院両院の過半数以上の賛成で発議、国民の有効投票の5分の3以上の賛成で改正。
●カナダ:①19度、②上・下両院の承認及び3分の2以上の州議会の承認、かつ、承認した州の人口が全州の過半数である場合に改正(国民投票は不要)。
●イタリア:①16度、②1議院の議員の5 分の1、50 万人の有権者又は5 つの州議会の要求がある場合、憲法改正が国民投票に付され、有効投票の過半数の賛成で改正。また、国会の各議院の2 回目の表決で、議員の3 分の2 の特別多数で憲法改正が可決された場合は、国民投票は行われない。
●韓国:①9度、②国会議員の在籍議員の過半数又は大統領の発議による提案に基づき、国会の在籍議員の3 分の2 以上の特別多数による議決、かつ、国民投票における有権者の過半数の投票と投票者過半数の賛成によって改正。
●中国:①4度(1982年憲法;1988/4、1993/3、1999/3、2004/3)、②全国人民代表大会(全人代)常務委員会又は全人代代表の5 分の1 以上による提議、かつ、全人代の全代表の3 分の2以上の賛成を以て、全人代の職権によって改正(国民投票は不要)。
●豪州:①3度(1946/12、1967/8、1977/7)、②憲法改正案が議会の各議院において、それぞれの総議員の過半数で可決された後、各州及び特別地域で行われる国民投票において過半数の賛成で改正。
閉じる
米・シンガポール・香港・中国メディア;安倍夫妻に飛び火した国有地スキャンダル(3)-籠池理事長国会証言の波紋(2017/03/27)
3月10日付
Globali「安倍夫妻に飛び火した国有地スキャンダル(2)」の中で、“その後更に「森友学園」の粉飾業績見込み表に基づく学校認可申請や、校舎建設費用の虚偽報告を行っていたこと等が明らかになるにつれて、(安倍昭恵夫人の関わりまで疑念を抱かれることになり)安倍首相にもついに厳しい逆風が吹き始めたと、各国メディアが一斉に記事を掲載している”と報じた。そして、籠池泰典理事長の国会での証言、更にはその後の外国特派員協会での
会見において、安倍首相個人からの同学園への寄付の話や、安倍夫人付スタッフの学校認可への関与の件まで言及されることとなり、海外メディアには(これまでの同理事長の数々の疑念ある発言・行動はさておいて)安倍夫妻のスキャンダルだと決めつけたような報道が散見される。
3月24日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『ロイター通信』配信):「安倍首相、スキャンダル絡みの学園との関係を責め立てられ痛手」
「●籠池泰典学園理事長は3月23日、国会の証人喚問で、安倍晋三首相からとして、安倍昭恵夫人から100万円(9,000ドル)入りの封筒を受け取ったと証言。
●これに対して安倍首相は3月24日、事実と異なる話だと再度否定し、また、安倍夫人もフェースブックで、寄付行為をしたことはないと表明。...
全部読む
3月24日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『ロイター通信』配信):「安倍首相、スキャンダル絡みの学園との関係を責め立てられ痛手」
「●籠池泰典学園理事長は3月23日、国会の証人喚問で、安倍晋三首相からとして、安倍昭恵夫人から100万円(9,000ドル)入りの封筒を受け取ったと証言。
●これに対して安倍首相は3月24日、事実と異なる話だと再度否定し、また、安倍夫人もフェースブックで、寄付行為をしたことはないと表明。
●最大野党の民進党は、安倍夫人の証人喚問を要求。
●
『讀賣新聞』が行った今週の世論調査では、一連の醜聞で安倍首相の支持率は▼10%下落して56%となったが、依然危機レベルまでは至っていない。」
3月25日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』:「安倍首相、同氏夫妻に関わる証言を“悪意に満ちたもの”と非難」
「●籠池理事長の国会証言について安倍首相は、同理事長は正直な話をしておらず、首相夫妻を貶める“悪意に満ちたもの”だと非難。
●同首相は、同氏夫人と籠池夫人間のメール交信記録を公表し、同理事長のいうような100万円(1万2,600シンガポールドル)の寄付の話など一切交わされていないと主張。
●更に、国有地売却に関わったとされた首相夫人付スタッフのファックス通信についても、“単なる通知”であって関与などと解されるものでは全くない、とも強調。
●また、麻生太郎財務相も3月24日、森友学園への国有地売却の話は適正に行われたと説明。
●なお、野党4党は共同で、(籠池証言で名前の挙がった)安倍首相夫人と松井一郎大阪府知事の証人喚問を要求することで合意したが、絶対多数派の連立与党はこれを拒否。」
3月24日付香港
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース(『AFP
通信』配信):「日本の安倍首相、学園への寄付金スキャンダルの火消しに躍起」
「●安倍首相は、籠池理事長が証言した森友学園の寄付について、首相夫人のメール交信記録を公開することでその話を否定し、また、同学園の国有地取得への働きかけについても再度否定。
●専門家は、寄付行為そのものは違法とは言えないが、スキャンダル絡みの同学園への寄付という話だけで、支持率への影響は大。
●なお、野党が要求する、首相夫人の国会証人喚問について、与党は拒否しているが、
『日本経済新聞』は社説で、首相夫人のみならず関係する官僚・政治家の喚問が必要だと論評。」
3月25日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「野党、安倍昭恵夫人の証人喚問を要求」
「●野党民進党の蓮舫党首は3月23日、籠池理事長の証言で森友学園問題の幕が閉じられるのではなく、正にこれからが正念場だと発言。
●
『朝日新聞』は社説で、同理事長証言で言及された寄付疑惑について、安倍昭恵夫人の国会証人喚問が必要だと論評。
●絶対多数派の連立与党は、野党4党による首相夫人及び松井大阪府知事の証人喚問要求を拒絶。
●一方、参議院は3月24日、同学園への国有地売却決定当時の官僚2人を、宣誓が不要の参考人として招聘。
●なお、安倍首相はこれまで何度も、同学園への国有地売却や学校認可申請に一切関わっていないとし、もし首相夫妻が関わっていたような証拠が出てくるなら、首相のみならず国会議員も辞めると宣言。」
閉じる
その他の最新記事