観光による温室効果ガス排出量が予測を上回る(2018/05/08)
最新の研究論文によると、観光産業がこれまでの予測を上回り、世界の温室効果ガス排出量の8%を占める事が分かったという。日本などは観光への投資に力を入れているが、他の経済発展策よりも多くの炭素を排出するため、渡航による影響をオフセットする料金システムへの投資を検討するなど、先進国主導により環境汚染を将来的に減らす対策が不可欠であると指摘されている。国が豊かになると温室効果ガス排出量が増えるため、観光客もその旅行が環境にやさしいか選択を迫られる。
最新の研究によると、観光が世界の温室効果ガス排出量の8%を占める事が分かった。「Nature Climate Change」誌に掲載された論文では、多国籍科学者チームが大西洋横断フライトや安価な土産品に渡るまで、様々な観点から環境への影響を調査した。外食や土産物など消耗品を含む実質的な観光のコストを調べた例は初で、世界貿易機構(WTO)や世界気象機関(WMO)が認識していない点を研究している。189か国の世界観光のフットプリントを交通機関、イベント、ホテル、食べ物、買い物、等の項目で数値化。...
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最新の研究によると、観光が世界の温室効果ガス排出量の8%を占める事が分かった。「Nature Climate Change」誌に掲載された論文では、多国籍科学者チームが大西洋横断フライトや安価な土産品に渡るまで、様々な観点から環境への影響を調査した。外食や土産物など消耗品を含む実質的な観光のコストを調べた例は初で、世界貿易機構(WTO)や世界気象機関(WMO)が認識していない点を研究している。189か国の世界観光のフットプリントを交通機関、イベント、ホテル、食べ物、買い物、等の項目で数値化。10億か所の供給元の気象の影響も考慮し、研究は1年半に及んだという。これまでの研究では、特定の地域や観光活動の一部だけを見たものしかなかった。
当然、炭素排出量の多い国は、富や国の大きさにも比例するため米国、中国、ドイツが首位となった。飛行機旅行が主な原因。世界が豊かになるにつれ豪華な旅行へのニーズが高まる。世界の観光産業は年間5%で成長しており、多国籍貿易の成長を上回るペース。
観光に関連する排出量の少なくとも15%は国際フライトや客船旅行に起因し、パリ協定の規制の対象外だ。また、観光による汚染大国である米国のトランプ大統領は、 パリ協定を支持せず、気候変動にも懐疑的な姿勢を示している。
どの経済セクターより観光産業が伸びると見られる今後は、パリ協定に特定の国へのフライトを追加するなどの対策が急務である。飛行機への炭素税や排出取引も今後の排出を減らす上で有効であろう。(例えば、メルボルンから英国に往復で行くと、オフセットのために425ドル以上の追加料金、シドニーとブリスベンの往復で45ドルの追加料金となると試算。)
国の対策には費用がかかる。多くの国では観光は環境に影響が少ないと考え観光発展のため莫大なインフラ投資を進めており、この傾向は日本、ネパール、ハンガリーで顕著で、短期間で観光客を倍増しようと計画している。
だが研究者らは、この考えには誤りがあると指摘する。気温が上昇すると、スキーリゾートや冬の祭典のような雪や氷を呼び物にする観光地は立ちいかなくなる。これらの問題解決には、大国からの資金や技術支援や予防策が必要であると研究チームは述べている。
同日付米国『マッシャブル』は「休暇もカーボン・フットプリント(二酸化炭素排出量)の要因だと分かっていたが、これほど大きいとは」との見出しで以下のように報道している。
観光は国の経済発展と新しい土地を訪れたい人のニーズが合致した得策なのだが、海外旅行には影の部分もある。今週発表された論文によると、 休暇旅行は以前考えられていたよりも多くの温室効果ガスを排出するのだという。ジェット機や自動車エンジンによる直接的排出だけでなく、観光客に食事や支援を提供する何百のサプライチェーンからの排出量も含めると相当な量となり、毎年排出される炭素の8%は観光に起因するのだという。
これまでの研究では、3%と試算されてきた。
今回の論文は、80万年間で最高の二酸化炭素量を記録した1週間に発表された。研究では2009年~13年の交通機関、食事(農作物)、日用品などを調べたが、7割以上の排出は、(ホテルの電力、飛行機エンジンなど)燃料によるもので、残りの排出は、メタンガス(牛の呼気や、ガス会社が石油をくみ上げる時に排出される)からのものであった。
国別排出量は、米国が1位、ドイツ、中国、インドが続く。中間層の台頭が顕著な中国、インドでは旅行に行ける層が拡大するとみられる。経済成長とは海外旅行やぜいたく品を手にすることにつながる。
この研究では、海外旅行へ行く代わりに国内旅行を推奨する。近くを旅行することで排出量を減らす事が出来るとしている。
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米ワシントン州、トランプ政権の”インターネット中立性”原則撤廃決定に抗って初の中立性原則の州法採択・発効【米・英国メディア】(2018/03/06)
トランプ政権は昨年12月半ば、その公約に従って、オバマ前政権が導入した“インターネット中立性(N-N、注後記)”原則の撤廃を決めている。これによってインターネット通信会社(ISP)の収益力が高まり、技術革新、更には過疎地の通信サービス向上への設備投資を促すことになると自画自賛している。しかし、今年1月、21に及ぶ州司法長官ら、更に複数のインターネット企業が、N-N原則撤廃を決定した米連邦通信委員会(FCC)を提訴するに至っている。そして今週、ワシントン州が全米で初めて、新興ネット企業や低所得者保護の観点からNN原則を州法化することを決定した。
3月5日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「ワシントン州、全米他州に先駆けてN-N原則を州法化して発効」
ワシントン州は3月5日、トランプ政権が昨年12月に撤廃を決めたN-N原則について、全米の他州に先駆けて立法化の上発効させた。
同州法に署名するに当り、ジェイ・インスリー州知事(67歳)は、連邦政府ができないことを、州が率先して消費者保護のために実行するものだと表明した。...
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3月5日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「ワシントン州、全米他州に先駆けてN-N原則を州法化して発効」
ワシントン州は3月5日、トランプ政権が昨年12月に撤廃を決めたN-N原則について、全米の他州に先駆けて立法化の上発効させた。
同州法に署名するに当り、ジェイ・インスリー州知事(67歳)は、連邦政府ができないことを、州が率先して消費者保護のために実行するものだと表明した。
N-N原則は2015年、オバマ前政権の下で規制化されたが、トランプ政権の意を汲んだFCCが昨年12月、ISP大手のコムキャスト、AT&T、ベライゾンの思惑に沿う形でN-N原則の撤廃を決めている。
ワシントン州は他20州とともに今年1月、FCC決定を不服として提訴している。
なお、同州の他オレゴン州がN-N原則に関する立法化手続きを取り、また、ハワイ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、モンタナ州、バーモント州では、知事による執行命令の形でN-N原則を貫こうとしている。
一方、3月6日付英『Yahooニュース英国版』(『マッシャブル・インターネットブログ』配信):「更に大手のインターネット企業がN-N原則に関わりFCCを提訴」
更に6社の大手インターネット企業が3月5日、FCCがN-N原則を撤廃したことを不服として、ワシントン特別区連邦控訴裁判所(関税や知的財産権等の特定分野の事件を管轄する全米12ヵ所にある裁判所のひとつ)に提訴した。
6社は、エッツィ、エキスパ、キックスターター、オートマティック、フォースクエア、シャッターストックである。
キックスターターのキャンデース・マーティン商事顧問弁護士は、今回の提訴は市民の選択の自由を獲得するためと、IT技術の更なる発展のための戦いだと述べた。
また、フォースクエアのマーク・エレンボーゲン法務担当役員は、全ての人にはインターネット上で様々な情報・人・ネット空間にアクセスする権利があり、更に、インターネット企業自身にも、ニーズ・トレンドを調査して開発していく環境が求められると語った。
N-N原則に関しては今年1月、大手インターネット企業のアマゾン・グーグル・フェイスブックがFCCを提訴している。
(注)N-N:ユーザー、コンテンツ、サイト、 プラットフォーム、アプリケーション、接続している装置、通信モードによって差別や区別されることなく、インターネットサービスプロバイダー(インターネット接続業者)や各州当局が、インターネット上の全てのデータを平等に扱うよう求める理論。
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