トランプ政権は昨年12月半ば、その公約に従って、オバマ前政権が導入した“インターネット中立性(N-N、注後記)”原則の撤廃を決めている。これによってインターネット通信会社(ISP)の収益力が高まり、技術革新、更には過疎地の通信サービス向上への設備投資を促すことになると自画自賛している。しかし、今年1月、21に及ぶ州司法長官ら、更に複数のインターネット企業が、N-N原則撤廃を決定した米連邦通信委員会(FCC)を提訴するに至っている。そして今週、ワシントン州が全米で初めて、新興ネット企業や低所得者保護の観点からNN原則を州法化することを決定した。
3月5日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「ワシントン州、全米他州に先駆けてN-N原則を州法化して発効」
ワシントン州は3月5日、トランプ政権が昨年12月に撤廃を決めたN-N原則について、全米の他州に先駆けて立法化の上発効させた。
同州法に署名するに当り、ジェイ・インスリー州知事(67歳)は、連邦政府ができないことを、州が率先して消費者保護のために実行するものだと表明した。...
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3月5日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「ワシントン州、全米他州に先駆けてN-N原則を州法化して発効」
ワシントン州は3月5日、トランプ政権が昨年12月に撤廃を決めたN-N原則について、全米の他州に先駆けて立法化の上発効させた。
同州法に署名するに当り、ジェイ・インスリー州知事(67歳)は、連邦政府ができないことを、州が率先して消費者保護のために実行するものだと表明した。
N-N原則は2015年、オバマ前政権の下で規制化されたが、トランプ政権の意を汲んだFCCが昨年12月、ISP大手のコムキャスト、AT&T、ベライゾンの思惑に沿う形でN-N原則の撤廃を決めている。
ワシントン州は他20州とともに今年1月、FCC決定を不服として提訴している。
なお、同州の他オレゴン州がN-N原則に関する立法化手続きを取り、また、ハワイ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、モンタナ州、バーモント州では、知事による執行命令の形でN-N原則を貫こうとしている。
一方、3月6日付英『Yahooニュース英国版』(『マッシャブル・インターネットブログ』配信):「更に大手のインターネット企業がN-N原則に関わりFCCを提訴」
更に6社の大手インターネット企業が3月5日、FCCがN-N原則を撤廃したことを不服として、ワシントン特別区連邦控訴裁判所(関税や知的財産権等の特定分野の事件を管轄する全米12ヵ所にある裁判所のひとつ)に提訴した。
6社は、エッツィ、エキスパ、キックスターター、オートマティック、フォースクエア、シャッターストックである。
キックスターターのキャンデース・マーティン商事顧問弁護士は、今回の提訴は市民の選択の自由を獲得するためと、IT技術の更なる発展のための戦いだと述べた。
また、フォースクエアのマーク・エレンボーゲン法務担当役員は、全ての人にはインターネット上で様々な情報・人・ネット空間にアクセスする権利があり、更に、インターネット企業自身にも、ニーズ・トレンドを調査して開発していく環境が求められると語った。
N-N原則に関しては今年1月、大手インターネット企業のアマゾン・グーグル・フェイスブックがFCCを提訴している。
(注)N-N:ユーザー、コンテンツ、サイト、 プラットフォーム、アプリケーション、接続している装置、通信モードによって差別や区別されることなく、インターネットサービスプロバイダー(インターネット接続業者)や各州当局が、インターネット上の全てのデータを平等に扱うよう求める理論。
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